薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~回想2 香港編

瞳もまた雪乃のことで豹からもらったスカウトマン5人の画像を眺めながら香港での蓮と仲直りしたことを思い出した。

蓮が刑務所に入って半年が過ぎてると知って瞳が賄賂を全額負担して釈放を警察に求めた。

マヤと逃げたはずが蓮だけ捕まったらしい。

ゆゆはテロ組織にまだいたのでつれもどす為だと蓮から聞いた。

折角ロシアのスパイからもアメリカのテロ組織からも逃れるチャンスだったのに。

クッシーからアンジェラとターニャとリョウが自ら自首してしまったと聞き、やっぱり蓮を助けなきゃと思った。

何があったのか知りたかった。

当時俺はマヤに呼び出されて塀のある家の前に行った。

夜だった。

「なんか用?俺忙しいんだけど。」

「お前何者?なんでスパイと嘘を言った?」

立て続けに質問したら顔に銃をつきつけられた。

「あのカンフー男を雇ったのは私よ。これ以上何も聞かないで」

マヤはそういいながら、銃口を俺に向けたままだった。

背後から明らかにロシア人とは違う白人達が前と後ろから歩いてきた。

俺はマヤを羽交い絞めにし、彼女の頭に銃を向けながら「来るな!きたらこいつを撃つ」と大声で叫んだ。

そのまま近くにあったジープに乗り、

二人で逃走した。

「どういうつもり」

マヤはいぶかしげに俺をみて聞いた。

「このまま逃げろ。あんたはシンガポールで俺の命を救ってくれた。

その借りを返しただけ。自由になりたいんだろ」と俺。

運転しながら夜明けまで遠くへジープを走らせた。

日の出が見えた頃「止めて!」とマヤが叫んだので止めた。

頭上をヘリコプターがとんでいった。

マヤは車から降りた。

俺は驚いて「どこへ行く?まさか戻るのか?」

「あんたにも守りたいものがあるように私にも守りたいものがあるの」

草原に向かって走りかけて俺のほうを振り返って少しだけ笑顔で答えた。

「ゆゆか?」

俺はまぬけな質問をした。

マヤはまた笑顔をみせて走って草原の中へと逃げてしまったー。

珍しく最後にみたマヤは迷彩服を着ていた。

俺はハンドルを両手で叩いて顔を伏せた。

そのとき、携帯がなった。

「はい」出たら、クッシー達だった。

「またスパイがきた」

急いで俺はクッシー達のもとへ向かった。

しかし、時すでに遅し。

アンジェラとターニャが香港警察に捕まった。

リョウは警官を撃ったがもう一人の警官に腕を銃で撃たれて怪我をした。

俺はチャドとクッシー達と逃げるのに必死だった。

しかし前後から挟みうちにされて、警官たちに3人を人質にされて銃を仕方なく置くしかなかった。

俺はクッシーとチャドを逃がして、アンジェラ達を助けるために両手をあげて銃を地面においた。

俺は手錠をかけられた。

ターニャとアンジェラとリョウは尋問を受け、拘置所に一日いれられて、次の日にロシアの警察に引き渡された。

俺は青くなった。

どうか無事でいてくれますように。

祈るしかなかった。

そして俺も拘置所に一日入れられてそのあと刑務所に移動させられた。

拘置所にいる間に京子は「もう私がいなくても大丈夫みたいね」と言って姿が

もう透けていた。

「え?おい待てよ、もう行っちゃうのか?」

「生まれ変わったら一緒になろうね」と京子は淋しそうに言うと俺にキスして消えてしまった。

俺は涙が溢れた。

裁判はずさんで理不尽だった。

そして、新しい雑居部屋に入れられて新人いびりが始まった。

そこに琢磨と中林がいた。

あだ名でよびあってたので東京で再会するまで本名を知らなかった。

半年が過ぎて、瞳がきて俺を金で釈放してくれた。

ほかの4人もだ。

豹はマヤと会いたがっていたようだがふっきれていた。

ようやく娑婆にでられた俺は嬉しかったが淋しくもあった。

囚人たちとは不思議な連帯感が生まれたからだ。

瞳をみるなり俺は銃を向けて撃った。

瞳も反射的にナイフを出したが弾に当たって地面に落ちた。

俺は銃口の火薬の煙を息で吹いた。

「これであいこだ、赦してやる。今度俺に手を出したら腕一本落とすからな。」と睨んで言った。

瞳はごめんなさいと小さい声で謝罪して涙が地面に落ち、しゃがんで右手を左手で庇いながらうつむいていた。

豹、トシヤ、凛の3人はその様子を固唾をのんで見守っていた。

そのあとに日本にきてから約5年になる。

「瞳!」呼ばれて彼は我に返った。

トシヤだった。

「今日は豹と一緒にこいつらを尾行するから」といわれて瞳はうなずいた。

もう過去のことは忘れよう。

今は蓮と上手くいってるんだから。

瞳はそう自分に言い聞かせた。

 

 

 

 

 

灰色の街~回想 香港編~

俺は、雪乃を脅した桐生会の奴らを消す為の準備をしながら凛や豹からの指示を待っていた。

西野かんなに会ったせいで京子と一緒に暮らした幸せな日々を思い出した。

体中にキスの雨を降らしたこともある。

愛しかった。

そして、謎のカンフー男まで思いだした。

「ふふ、あんたも相当なワルね。」京子は笑いながらシーツにくるまり抱き合いながら見つめ合った。

俺も笑顔で彼女をみた。

今迄にない深い安らぎだった。彼女がいなくなり、ロシアンマフィアの護衛まで頼まれて毎日スパイと戦った。

マヤとゆゆはロシアのスパイ養成所から逃亡していたので見つかって強制送還されるのではとおびえていた。

「あいつ、とんでもないことしてくれるわね、マヤ姉さん」とゆゆから電話がマヤに掛かってきた。

「本当、やっかいなことになったわ。あいつを止めなきゃ。マフィアなんかどうなってもいいけど、ロシアのテロリストも」

黒いキャミソール姿でマヤはベッドの上に座って足を組んだ。

「蓮にもう一度会ってやめさせる。」とマヤは自信たっぷりに言った。

ムショにいた頃の俺は女子の囚人と出会い、トイレに連れ込んで抱いた。

禁欲生活が始まると、鬱になっていたが、そうでもなかった。

なんでムショ暮らしになったかは、順を追って説明しなければならない。

とにかく俺は香港では女に困らなかったんだ。

 

 

灰色の街~紫のナイフ3~

「私、実はSEX依存症なの」と雪乃はうつむいてペリエを呑みながら打ち明けた。

凛は息を飲んだ。

雪乃が樹を愛しながらも、ファンレターの連絡先にメールをしてお気に入りの男性と会って、何人もの男性と肉体関係をもっていたのだった。

「樹には知られたくない」と涙目で訴えた。

凛は「なんで俺に?カウンセラーにでも行けばええやろ」

とグラスの中のペリエを一気に飲み干して言った。

「あなたの職業を知ったから。私はもうほとんどの男性と縁を切ろうと思って元に戻りつつあるわ」と雪乃は少し怯えているようだった。

「ある男性に脅されたの。私のプライベートを晒すって。多額のお金を要求された。」

そういうことか。

凛は納得した。

「誰や?言えない相手か?俺らには言えるやろ。」

「ある女性の夫を私が寝取ったと不倫を週刊誌に売るとか。バックには桐生会がついてるって。最初はハッタリだと思ってた。でも最近誰かにつけられてる気がするの。私は怖くなった。墨入れた画像つきのラインがきた。もうあることないこと書かれてしまう。私のバレエ人生終わりだわ。」

と雪乃は涙目になっていた。

「人のもんとったんやから自業自得」といいかけて自分の事まで思いだして黙った。

「俺はアコギな仕事しとるから人生外れてるけど、あんたにはそうなってほしくない。

なんとかする。」と約束した。

「ありがとう。」雪乃は顔が明るくなった。

凛は「ほな、もう遅いから帰る。」とマンションを出た。

外に出たら、誰かとぶつかった。

だれかと思ったら高美だった。

金髪の長髪が風になびいて美しい。

いつも白いガーゼシャツに青いダメージジーンズ。

蓮はこんなのが趣味なのか。

遊ぶ女はいつも巨乳なのに。

「お前、わざと二人きりにして嵌めようとしたやろ」と睨んだ。

「ばれた?雪乃みたいな女、私大嫌いなの」と舌をだして肩をすくめてみせた。

「樹に目を覚まさせようとして結人に相談したら、脅した相手がマジで桐生会という所に入ってた堅気じゃない奴だと結人が調べて発覚してまずいと言ってきた。このままじゃ私まで潰されちゃう。どうしよう。」と不安げな高美。

「一回五十嵐刑事に相談してみる」と凛は高美に約束して豹にスマートホンでメールをし、桐生会の会員全員調べるよう頼んだ。

豹は面倒くさそうに了解した。

凛は酔いつぶれているであろう流香を迎えに行った。

 

翌日、俺は凛に呼び出されて五十嵐刑事に会いに行った。

五十嵐は呆れていたが、「まぁいい。テロ事件はまだ起きてないし、ディーンとトニー、南条と西野にテロ組織の件は任せておけ。あと新しい秘書も今日から配置させる。お前ら5人はこの件が終わったら戻ってこい。」と大目にみて言ってくれた。

「なんで私まで?」と不機嫌な様子で西野かんながきた。

相変わらず京子に似てる。声もなんとなく。でもー。

どこか違う。当たり前か。俺は見惚れていた。

瞳やトシヤまで雪乃の事件に駆り出された。

「私達は事件が起きるまでは手を出せないのよ。」

とかんなは腕を組んで言った。

「今から起きるよ」と俺は彼女を外に連れ出して無理やり抱き寄せてキスをしたら、

強く頬をぶたれた。

「今度こんな真似をしたら公然猥褻で逮捕するから」とスーツの奥から手錠を出して

俺の手にかけた。

「お、おい!」俺は焦った。

かんなは「さ、あんた達の事務所を案内して。着いたら外すから」と無表情で歩いて行った。

凛は手錠をかけられた時に外にでてきたので「そういう趣味なん?あの刑事」と

声を出して笑っていた。

俺はがっくりと肩を落とした。

なんか最近女運を使い果たした様な気がする。。。

テロ組織撲滅班に俺達の穴埋めとして元テロリストの井川由美子が配属された。

一時的に女子刑務所から釈放された。

美人で胸も大きかった。

その頃、雪乃はバレエのレッスンを熱心にしていた。

後日、豹が桐生会を調べたら、下っ端に5人のスカウトマンがいることがわかった。

大宮の半グレみたいなスーツを着ていた。

 

 

 

 

灰色の街~紫のナイフ2~

俺はアリサを裏切って流香と不倫している凛が許せなかった。

アリサを泣かす奴はたとえ凛でも許せない。

アリサはまだ気づいてない。

言うつもりもなかった。

高美に知られたらアリサに筒抜けになってしまう。

それだけは避けたかった。

凛は俺とアリサが昔付き合ってたことにまだ根にもっていた。

「お前はいつもアリサの味方だよな。ディーンとの恋愛も応援してたし。けど、アリサは大切な存在。ルカは俺のすべてを受け入れたうえで愛してくれてる。ほんまは元fanは大事にしたかったけど、おとり捜査もこの間の仕事でやってくれたし感謝してる。

あいつの気持は無理やけど体だけでも受け入れてほしいといわれたら断り切れないやろ」とあいつらしくない返事が返ってきてショックを受けた。

俺はわざと「お前がこのままルカと関係を続けるなら、アリサは俺がもらうからな」

と挑発した。

凛に胸ぐらを掴まれた。

俺は「アリサを永遠に失いたくなかったら、今直ぐ流香と別れろ。」と睨みを利かせた。

凛は掴んでいた手を離し、「ちょっと出かけてくるわ」と外に出た。

俺は「頭冷やせよ。」と凛の後ろ姿に叫んだ。

凛はいらだっていた。

アリサを愛しながらもルカに惹かれ始めていた。

もうこの恋は止まらなかった。

俺はため息をつきながら、朔夜に謝罪しに行った。

高美が迷惑をかけたからだ。

女子アナの工藤麻衣子とは朔夜の本命の樋口里奈という駆け出しの元モデルの女優がきっかけで知り合いになっただけだった。

里奈の親友。

里奈はあの友也の母親3姉妹の末っ子の娘で美也に似ていた。

友也がモデルを続けるのを大反対した為に女優に専念した。

朔夜とはMVの共演で知り合い、付き合うようになった。

麻衣子と里奈と朔夜はカモフラージュの為によく3人で出かけた。

樋口といえば高広と高美。

まだ親密な関係は続いているようだった。

妹の里緒がまだHONEY-Xの映画を撮ってる最中だというのに。

里緒が知ったらどう思うだろう。

それを思うといたたまれなかった。

高美もまた今夜は高広とデートでクラシックバレエを観に行くそうだ。

高美がラジオでゲストにでた「ROSE」のボーカルの樹(いつき)の彼女がバレリーナだった。

誘われて観に行くのだった。

俺は勝手にしろと思った。

凛と流香もバレエを観に行った。

キャバクラのお客からチケット2枚もらい、観に行く予定が相手に営業の仕事が入り、ドタキャンになったからだった。

愛媛県出身の北城雪乃という日本でアイドル扱いされてる女性だった。

そこでばったり高広と一緒にきていた高美と出くわした。

凛は高広が既婚者だと知ってたのでお互いに気まずくなった。

すれ違いざまに高美に「あとできて。口止め料払うから」といわれた。

凛は雪乃の踊りに魅せられた。

流香は雪乃の美しさに見惚れた。

高美は子供の頃無理やり親にバレエを習わされて、高校でバンドに目覚めてから親に

反抗してやめて家出したことを思いだした。

当時の彼氏とも別れた。

後悔はしていなかった。

あれ以来、バレエは踊っていない。

里緒の取材で答えた。

舞台で踊った写真だけ親に送ってもらうことにしていた。

4人が楽屋に呼ばれて行ったら樹がきていた。

「ありがとう来てくれて。そちらは?」と樹は凛達をみた。

「私の友達と彼氏」と凛を見て高美は言った。

高広が慌てて「おい、俺がお前の男だろー。」と高美を抱き寄せたので

凛はほっとした。

流香に横目で睨まれたからだ。

樹は笑いながら「相変わらずだなー」と高美に言った。

六本木にあるレストラン&バー「ドーリス」へ行った。

どうやら、凛の元メンバーの嫁が経営している店らしかった。

解さんしてから結婚したそうだ。

元メンと嫁は凛の消息を知らなかった。

嫁と友達の流香が説明した。

高美は「よかったわね。名前だけが残ってて」と皮肉を言った。

HONEY-Xの菜々緒はあてつけるように健と付き合っていた。

6人でシャンパンを飲んでフレンチ料理を堪能した。

凛はアリサの顔がよぎったが無理やり払いのけた。

雪乃と高美は同時にトイレに立った。

化粧直しをしながら雪乃は「樹から聞いたでしょ、私達のこと。」と高美に聞いた。

「ええ、だいたいのことはね。」と高美。

「貴方にお願いがあるの」と雪乃。

二人は互いに見つめ合った。

テーブルに戻ってから高美は雪乃に目くばせをした。

「私達帰るけど、樹はどうする?」と雪乃は樹に聞いた。

樹はすでに酔っぱらっていて、「あ、二人とも仲いいんだ、安心したよ。あ、凛くんは高美のバンドのボディーガードなんでしょ?俺は高広と流香ちゃんが気に入ったから朝まで呑むよ。今後のV系について語り合いたいんだ。」といった。

高広と流香も酔っていたので同意した。

雪乃の目が嫉妬で光った。

高美は困惑している凛とそんな雪乃に意に返さず「さ、送って。ノンアルコールなんでしょ、どうせ」と凛にいった。

3人はタクシーで高美のマンションへ行った。

ベイブリッジに近いタワーマンションだった。

部屋について、3人は酔い覚ましにペリエを呑んだ。

しばらくして高美が「今夜は素晴らしい踊りだった。少し呑みすぎたから夜風に当たってくるわね、二人ともごゆっくり」と部屋を出て行ってしまった。

凛は嫌な予感がして「んじゃ俺も帰るわ。」と席を立とうとしたらいきなり雪乃がキスをしてきた。

「何するんや。そんなつもりできたんちゃう。」と体を離した。

流香に後ろめたい気持ちが湧いた。

雪乃は「ごめんなさい、どうしてもがまんできなくて」とうつむいた。

「酔うとキス魔になるんか」と凛は聞いた。

「そうね、酔うといつもこうなるの」と雪乃がトイレに行った。

凛はその言葉を意味を図りかねた。

雪乃は一息ついてから、部屋に戻り凛に相談を持ち掛けた。

 

俺はその頃、トシヤと瞳も呼び出し、朔夜と里奈と麻衣子に土下座させた。

あとで高美からも朔夜に電話がきて、誤解をさせてしまった事を謝罪した。

高美はブログで軽率な行動を取ったことと、朔夜とは別人であることをUPした。

豹は尚樹の件は引き受けたくなかったが、計画だけ立てて3人に指示した。

また無理難題が来るとは予想だにしていなかった。

久しぶりにのんびり家で映画をみていた。

 

 

 

灰色の街~新宿編~ハートロック~

凛は高美に頼まれた事柄で松田友美からも呼び出された。

尚樹の経営しているホストクラブの取材を持ち掛けられたから一緒にきてくれと。

そこは墨入りの半グレ上がりのホストが多いので有名だった。

常連客も極道の妻でシャンパンタワーでたくさん一晩で50万くらい飲んでホストにおごる羽振りのよさで有名だった。

危険なのでついてきてほしいそうだ。

上原ナナという女性カメラマンと取材するそうだ。

当然、俺に頼めばいいのに友美は水くさい。

いつも食事する仲なのに。

なぜかやらせてくれない相手だ。

なかなか落とせない。

マヤですら俺に体を許したのに。

堪らず凛は俺に相談してきた。

俺は憤慨した。

凛が友美と上原のガードしている間に俺は標的を仕留める事にした。

「で、極妻の名前は?」凛に聞いた。

美人なら食ってやろうと舌なめずりした。

凛はPCから印刷したプリントを俺にみせてくれた。

美脚で巨乳。思わず唾を飲み込んだ。

顔はのりピーだったが髪型がボブでがっくりきた。

「田村千夏(ちか)いうねん。ええ女やろ?」と凛にいわれたが俺は目を背けた。

「ほな俺がもらうで」いやらしい顔つきで凛がいう。

もう一人はSMクラブで働いてるみやび女王様と呼ばれていた。

金髪団子。俺は痛いのは嫌いなので「いまいちやな」と軽くあしらった。

「アホ、そんな趣味ないで、あくまで仕事やし実は性同一性障害。男に性転換するための費用の為に働いてるんやて。加藤流香(ルカ)とダチ。」

凛は自慢げに言った。

「標的の写真の男の相方がこの3人の中におるんか?」と俺は聞いた。

どうやらアリサとも交流があるらしい。

しかし、みやびの本名も知る必要がある。

凛は「池田広子。」とあっさり白状した。

「夫は正男。」MMか。

アリサのフルネームはアリサ・J・ユウガ。

Jはジェファーソンの略だった。ミドルネーム。

マヤの本名も楓が調べて教えてくれた。

ソフィア・K・マイヤー。

ミドルネームのKは神崎の略。

ゆゆのことも調査中とのこと。

香港ではリョウとアンジェラとターニャがロシアスパイに捕まり留置所に入れられている。

クッシーとチャドから聞いた。

あのとき救い切れなかった悔しさが蘇る。

今クッシー達は中林とタクミともうひとり新しい仲間ができたと言っていた。

そのうち会わせると連絡をくれた。

リョウの親父もまだ無事だった。

テロリストから解放されてスパイによってロシア警察に引き渡された。

とりあえず俺達は尚樹の店「夜桜SEVEN」へ向かった。

アイドル顔負けのホスト達が友美達を出迎え、凛を怪訝そうにみた。

「俺、バイだから」と凛は苦しい言い訳をした。

ホスト達は苦笑した。

俺は瞳とも連絡をとって店にくるように指示した。

「六本木やんか」と瞳は声が弾んでいた。

ホストは凛に「ニューハーフもこのお店はOKだよ」とウィンクした。

店の奥では千夏、みやび、流香がホストとシャンパンタワーを楽しんでいた。

案の定3時間たった頃、池田と田村がきた。

瞳は男二人をノンアルコールカクテルを飲みながら様子を伺った。

それまで友美はNO1ホストに取材していた。

上原はカメラを撮っていた。

凛は取材と撮影を見守っていた。

俺はコインロッカーに着替えの服をいれた。

店内から悲鳴が上がった。

俺は黒いサングラスをかけて店内に銃の弾を入れ替えて歩いて行ったー。

 

俺は池田を狙撃して相手を即死させた。

みやびは顔を青くさせて千夏と逃げて行った。

瞳はヤク中の男をナイフで刺し殺した。

凛は田村を撃った。数分後、奴は息絶えた。

俺は急いで返り血を浴びた服を脱ぎ捨てロッカーを開けて別の服に着替え、裏口から逃げた。

凛は流香に正体を知られたのでそれ以来口封じに逢引きを繰り返した。

瞳は無性に男がほしくなり、トシヤのマンションに向かった。

一週間後、沖縄で凛とアリサは身内だけ集めて結婚パーティーをひっそりと行った。

そこに高美がきていた。

「ありがと」と高美は軽く笑顔で俺に礼を言った。

尚樹の店は順調だそうだ。

「ふ、礼なら凛と瞳に言えよ。俺1人じゃ無理やんか」とクールぶって答えた。

トシヤと瞳もきていて、二人だけの世界に入っていた。

浮かれたトシヤは「ねぇ、ハートロックに行こうよ、アリサと4人で」と瞳にささやいた。

瞳は「きついよ」と照れて嫌がったが結局、アリサ夫婦と4人で行った。

俺は少し羨ましく思った。

高美は不思議そうにトシヤ達をみていた。

後日、マンデーに朔夜と高美がスクープされていた。

トニーさんは週刊誌を読んで「東スポに行く必要ないな。事実と違うし」とつぶやいた。

朔夜と高美の事務所に事実を教えたら、「月刊現代」に高美が「魔性の女、女子アナと3角関係」と載っていた。

健は可哀そうにラジオでバンギャルに誤解だと冷静を装って笑って釈明した。

俺は朔夜と女子アナがどうなろうと知ったことではなかった。

なんで高美とトシヤが撮られたのかそれだけが謎だった。

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~新宿編~紫のナイフ~

俺はまたスマートフォンで高美に呼び出されてのこのこと会いにいってしまった。

別に未練があったからじゃない。

もう二人きりで会いたくなかったので凛と一緒にある日本料理店の待ち合わせの場所にむかった。

鏡月」と書かれた暖簾をくぐって中に入ったら彼女は一人でいた。

金色の長い髪は少し色落ちしていた。

「ここもお前には不似合いな感じがするけど」と俺は苦笑して挨拶した。

「失礼ね」と彼女は小悪魔のような笑顔をみせた。

凛も「押忍」と挨拶した。

お座敷に座り、おしながきをみて、凛と同じ鯖のフルコースを頼んだ。

「ここ、今の季節は松茸の御吸物が絶品なのよ」と高美は俺達にウィンクした。

凛は無視した。

今迄無理なお願いをしてきたのだから当然か。

そして勧められるまま、料理が運ばれてきたので3人はぎこちなく乾杯して食べた。

俺は熱燗は苦手なので一人だけビール、二人は熱燗を一本ずつ頼んで一口飲んだ。

御吸物は絶品で思わず「うま!」と声に出してしまった。

「ね?美味しいでしょ」高美は首をかしげてほほ笑む。

俺は凛と高美が打ち解けて食べ物について話し合っていたので意外に感じた。

凛は時々ちらりと俺をみた。

「3人で囲むなら鍋にすればよかったわ」と凛。

「まだ早いでしょ。秋刀魚の季節だし」と両目を瞬きしながら無表情で秋刀魚に舌鼓をうっていた。

「いや、鍋もええで。」と凛。

「じゃぁ、今度はアリサさんもいれて4人で鍋ものにしようか。」

高美がそういいかけたとき、若い板前が「らっしゃーい!」と威勢よく女性客二人に声をかけた。

「あら鏡(きょう)様、今夜も一段と男前ね」と一人の女子が浮かれて話しかけていた。

女性客はカウンターに座った。

俺はなんだか面白くなかった。

高美がまったく意にかえしていないようだったので狙ってないんかと意外に思えた。

俺達は他愛もない世間話をした。

ひととうり、料理を食べ終えた頃。

「もう帰ろうか」と高美は俺をみた。

凛は慌てて、「俺送るわ」と高美を促した。

「そう?ありがと。呑みすぎたみたい。」と凛を見つめた。

その眼はわずかに光っていて俺のほうが焦った。

「ほな行こか」と凛は高美の腕をつかんで立たせて、店をでた。

俺も後ろからついて行った。

嫌な予感がした。

冷たい汗が背中を伝って流れた。

凛に嫉妬しているわけではない。

初めて俺をホテルに呼び出した時の獲物を捕らえる時の目に似ていた。

「じゃぁ俺はこの辺で。凛、後は頼むね」と二人に背を向けて足早に去った。

もう一軒いこうと思い、トシヤをスマートフォンで呼び出し、彼の行きつけのBARに酔寄った。

凛はビルの最上階の綺麗な夜景の見えるBARに高美といた。

「なんや、ホテルやないんか」とわざと冗談をいう凛。

「そんなに急かさないでよ。大事な話があるんだから」とジョークで返す高美。

「まぁどんな話にせよ、内容によっては無理やから。どんなに大金を掴まれてもな」

と少し口を尖らせた。

「体で払っても?ふふ、嘘よ。貴方には可愛い奥さんがいるものね。

体に名前彫るくらい彼女に惚れこんでるんだって?」

今度は高美の言葉に凛の顔が火照った。

「蓮から聞いたんか!あいつ酔うとなんでもしゃべるし、あとで泣かしたる」といいつつ、一気に残りのグラスの焼酎を煽った。

高美は笑いを堪えながら、しかし真面目な表情に変わり、

「彼はそんなにおしゃべりじゃないわよ。私の友達に尚樹っていう元ホストが経営している歌舞伎町のホストクラブがあるの。そこの新人がやらかしちゃったの。」と重要な秘密を打ち明けるように言った。

凛はだまって聞いていた。

「でね、ホステスに入れあげて、彼女の借金を肩代わりしたの。そこまではよくある話ね。でもそれ、全部嘘。半グレのヒモ男に貢いでたの。ブラジリアンに。可哀そうでしょ。彼。自殺未遂しちゃったのよね。許せないって尚樹がいってたわ。」

凛はその新人ホストを気の毒に思ったが、何故自分に話すのか謎だった。

「で、借金取りが尚樹の店にきちゃってね。そのクレジット会社は暴力団に頼んで今週中に払わないと店と潰すと脅されたの」と高美は凛に助けを求めるように見て相談した。「その暴力団を貴方一人で始末してほしいの。貴方なら簡単にできるでしょ。こんなこと、蓮には頼めない。だって昔の男だもの。ね、お願い」と、両手を挟んですがるような目つきで嘆願した。

凛は冷静になって「悪いけど、他当たってや。今俺ら忙しいし。わかるやろ。例のテロ事件や。」と席を立とうとしたとき、いきなり腕を掴まれて耳元で「ね、元ドーリスのギタリストのRINさん。お願い」といわれ、驚いて高美の方を振り返ったらドーリスのCDとDVDをカウンターの上に置かれた。「私の耳はごまかせないわよ。健(たける)の後輩でしょ、あんた。よく似てると思ったわ。声までそっくり。動画にUPされたギターと声。BooKOutに行ったら中古で売られてた」と無邪気に笑っていた。

「もし断ったら?」とごくりと唾を飲み込んで凛は聞くと「誰に教えても信用してもらえなかったけどね。」とスパーリングワインを呑みほした。

凛はほっとした。「ほな、帰るで」と席をたった。「お勘定。払っといて」と恨めしそうに言った。

凛はため息をついて「わかった。昔のことは忘れといてな。」と言い残して勘定を払ってからBARをでた。

エレベーターがきて中に入ったら滑り込むように高美は入ってきた。

凛はぎょっとした。

エレベーターの中で高美は凛に抱き着いて唇を強く当ててきて、舌を流し込んできた。

狭い空間の中で凛は抵抗できず、きつい香水の匂いの中で力が抜けた。

下半身が反応するのがわかった。

エレベーターが止まり、ドアが開くのと同時に二人は体を離した。

白人達数人が入ってきた。

そのまま一階のフロントまでエレベーターは降りていった。

廊下に二人はでて外の出口を無言で歩いて行った。

「安心して。アリサさんには何もいわないから。私も今彼氏いるから知られたくないの。」高美の強い視線にたじろいだ。

凛は観念して「わかった。奴らの組織は?場所はどこがええ?」

高美は何事もなかったように「あとでLINEで知らせる」と髪をかき上げて答えた。

凛は急いで絨毯を敷かれた廊下を歩いた。

「ねぇ」後ろから高美の声がした。

「どこまでが友達でどこからが浮気だと思う?」と聞かれて「キス以上が浮気や」と振り向いてい答えたら高美は「そう、わかった」と凛をみないでどこか遠い目をしていた。

(なんやこいつ。わけわからん)と凛は香水の匂いをアリサにどう言い訳しようか必死に考えを巡らせた。

蓮はトシヤと呑みながら高美に初めてホテルに呼び出された日のことを思いだしていた。「BooKoutに寄ったらね、私達のCDが置かれてたの。中古で。今をときめくHONEY-Xよ。私それみたらなんか今までやってきたことすべて否定された気がしてやりきれなかった。気づいたら全部買ってた。」高美の言った言葉がなぜか頭から離れなかった。「なんでそんなんで死にたくなるねん」とひとりごちた。トシヤが「何?」と聞いた。「いや、こっちの話」と一杯飲み干した。トシヤは首を傾げた。