薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~紫のナイフ23~

杏子が買い出しに行ってる間、娘の林檎と遊んでたら、彼女の前夫、渡辺ナオミという人物がやってきた。

俺は煩わしいとおもい、ドアを閉めようとしたら、足で挟んで開けて「頼む、林檎に会わせてくれ。あと杏子にも伝えてくれ。もう一度やり直したいと。君は彼女を幸せにはできない」と睨んで激しい口調で言った。

「なんだと!?てめえこそあいつを捨てて逃げたのに今更なんの用だ?悪いが杏子さんとはただの友達であんたの想像するような仲じゃない。お互いに割り切った関係だ。

でてけよ」と怒鳴ったら林檎が泣きだした。

杏子がエレベーターを使ってアパートの部屋に戻って来た時にあいつは逃げるように足早に去っていった。

「なんで追い返したのよ。もちろん直己とはやり直す気はないけど」と杏子は逆に怒っていた。

月一で林檎に会わせていたと知って俺は杏子に謝った。

「また来月があるからいいわよ。ガソリンスタンドで今は働いていて真面目だから。まだバイクを乗り回してるけどね。愛車のフェラーリでドライブして帰ってくるときの

林檎ははしゃいでいてご機嫌なの。」と事情を知った俺はレインを思い出して、申し訳ないと直己に対して思った。

「秀美ちんもやっぱ檸檬ちゃんを元父親に会わせてるわけ?」と俺はそれとなく聞いた。

杏子は「そうね、風間さんには一度会ったことあるけど、いまだに定職についてないみたいだし、女のヒモね。DJのバイトはやってるけど。あ、由香利の元彼の山田光彦さんには別れたあと一度もみてない。きっと娘のことも知らないんじゃないかな」と包丁でキャベツをキッチンできざみながら答えた。

秀美の苗字は海野と言った。海野秀美か。ギャルママにしていまだにガングロを貫いてるあたり毒親にならなきゃいいがと少し心配した。

俺みたいのが父親よりかはマシだと思った。

由香利は小野瀬と言った。小野瀬由香利。

豹と今付き合ってる女スタッフも奈緒美という名前だった。

奈緒美が二人。。。俺は吹き出してしまった。

「何ー?もう酔ってるの?」と杏子の声がした。

「お兄ちゃん、あそぼー。」と言われたので林檎を膝の上に乗せて、ストレートの髪を撫でた。

薫とレインの二人を思い出した。

今頃どうしてるだろう。

個展は観に行ってない。

夫の友也は最近、クロムの映画の公開を待たずに新年早々、ヨルダンのシリア難民の

写真を撮りにでかけたそうだ。

薫からラインがきた。

薫は最初心配だったので最初大反対したが喧嘩の末、結局は折れたそうだ。

ルナマティーノの紫音や、イスラム国に公開処刑されたYやHに感化されたらしい。

流石、友明さんの遺伝子を受け継いでるな、と唸った。

それに比べて智宏は瞳と寝たり、六本木のレックスで遊び歩いたり、何やってんだかと呆れた。

ハリウッドに進出するとでかいこと言ってたのに。

上原ナナも「WOMAN」というタイトルで写真集をだして月末に初の個展を開くそうだ。

俺は猫のペットのサイファも連れてきて林檎とサイファがじゃれてるのをみて和んだ。

猫じゃらしも買ったから最近はそれに夢中だ。

アリサのことが気がかりだった。

凛に遥からメールがきたそうだ。

妊娠の知らせだった。

俺は今直ぐ迎えにいけと言ったが、凛が本当に俺の子なのかとアリサに国際電話で聞いてしまい、ますます二人の仲がこじれてしまっていた。

依頼、凛からアリサに何度メールや電話をしても音信普通だった。

ため息をついた。

里緒からはHONEY-Xの撮影がカウントダウンライブで終わって来年公開予定だと教えられた。

楽しみだった。

瞳はクロムの映画を指折り数えて待っていた。

智宏はでないとからかったら赤くなったのでおかしかった。

今日はオフだった。

3月にはリクのソロツアーがあるから忙しい。

あれから上原財閥連続殺人事件の進展は見られなかった。

社員の中にゆゆがバイトで入っていたので、任意同行を求めたらしいが彼女にはアリバイがあった。

その時間にホストクラブ「DIRTY」で呑んでいたのを監視カメラで確認された。

ホストの塚本にちょっかいを出していた。

次の日、FC限定のドレインのライブ中にラインが俺のスマートフォンに入った。

ライブ後、打ち上げに出る前に電源を入れて読んだ俺は顔面蒼白になった。

高美が誘拐されたらしい。

犯人からの動画つきで機械音で返してほしければ、友美の新刊を絶版にしろとの脅迫メールが対策本部の五十嵐のPCに届いたそうだ。

犯人は数人いるらしかった。

ディーンの奴、一体何やってんだよと苛立ちながら、杏子に断りを入れてかんな達の

ところに走って向かった。

リクの警護は最近出所した仲間、タクミに任せた。

高美、無事でいてくれー。

祈るような思いだった。

 

 

 

灰色の街~紫のナイフ22~

俺はバレンタイン当日に杏子からウィスキーボンボンをもらい、林檎を寝かしつけてから、リビングでジャックダニエルのロックを乾杯して呑んだ。

今日も過酷なドレインのライブリハがあった。

あいつらは粗削りだが、パワーは結成して20年も経つのに衰えていなかった。

俺を狙った怪しい奴らはまだ現れなかった。

豹は来年デビューする新人の瑠離(るり)という女性シンガーの作詞をやってほしいと頼まれていた。

高美はきっと彼女を潰しにかかるだろうと老婆心ながら案じた。

今夜も杏子をチョコのお返しにキスをして、ベッドに押し倒した。

「ホワイトデーも期待してるわ」と笑いながら彼女は俺の首に腕を廻した。

今夜はマヤのことが脳裏にかすんだ。

慌てて打ち消した。

どうも、杏子との情事はなかなか集中できない。

杏子は子供が起きないように声を押し殺していた。

翌朝、酒が抜けないまま出社した。

リクはすでにきていたので俺はアンプとギターのニューニングをセッティングした。

「お昼に一緒に飲まへん?」とジャックダニエルを鞄から出して俺を誘った。

「いや、俺は一応本業はリクさんの警護ですから」と丁重に断った。

「お前、俺と瓜二つやから、俺が倒れたら、ライブでてくれへん?」とリクに頼まれて、苦笑するしかなかった。

流石の俺もリクほどの腕はないからその時はエアギターでごまかすしかないなと思った。

「困りますよ、リクさん体調管理はしっかりしてください」と杏子がたしなめた。

他のマネージャーやスタッフは俺達を髪型で区別していた。

同じ髪型はしないでくれと頼まれていた。

コアなfanはさすがに俺達の違いが判別できるようで、流石、リクギャと感心した。

他の4人もそれなりに対応しているようだった。

豹は職業病で5人の経歴を調べて俺達に渡した。

フロッピーデスクにコピーをして。

豹は檸檬に「あ、苺ちゃんパパ」と言われて絶句した。

京也もショックを受けていた。

瞳は爆笑していた。

桐谷とアイジは手下の真世(まよ)という男を新しく迎えて、俺達の動向や、連続殺人事件を見守っていた。

楓もなぜかその中に入り浸っていた。

桐谷に気に入られ、楓はキスをした。

「そちらさんも大変だねぇ」と連日の報道ニュースを観ながら桐谷はいった。

コウも神崎マヤの腰に手をあててTVをみた。

「熟女は嫌い?」とマヤは拗ねたように潤に聞いた。

「若い子が好きだから」と彼は応えた。

「まや子は美魔女だからね」とコウはマヤの胸を見て言った。

「血の匂いがする」とアジトに帰ってきた楓をみてかんなはつぶやいた。

楓は「あの6人の男性の中に必ず星がいるはず。しかも二人をあいつらが殺してる」とかんなに報告した。

「なかなかボロをださないな、さすがテロリストの手下のチンピラ。」と五十嵐刑事は忌々しく言いながら愛読書の「アドラー心理学」を読んだ。

容疑者はすべてアリバイがあった。

楓は五十嵐に「この本も参考にされてはいかがでしょうか」と松田友美の新刊「沈没船の謎」という本を差し出した。

「お、サンキュー、南条くん」と心理学の本に目を通しながら本を受け取った。

響は裕木達に珈琲をテーブルの上に置いた。

彼等にも可愛がられた。

由美子は新たな5人にもテロリストのシミュレーション講習をした。

そして、杏子は何を思ったか三田純という吉永小百合ファンの家政婦を子守りがわりに雇った。

保育園の送り迎えも彼女がしていた。

俺は三田純に一目ぼれされて困ってしまった。

あまりにも熟女すぎた。

毎日頬を染めて俺を見つめるものだからリクの警護をやめたくなった。

相変わらず関係は続いていたが。

 

灰色の街~紫のナイフ21~

トシヤがミリ子に手を出したことで瞳と口論になった。

瞳は何も言わずにトシヤに部屋の中でいろんなものを投げつけたり、頬ぶったりしたのでトシヤはびっくりしたのも束の間、殴り返し、「ふざけんなよ!心の浮気はしてないし、もう関係ないだろ。いちいち女々しい事すんなよ」と言った。

二人はそれきり険悪ムードのまま、今日まで口をきいてない。

新年あけてからばれたそうだ。

瞳は東京にきてから樋口智宏の大ファンになり、ドラマや映画のDVDやブルーレイを集め、写真集まで集めて、舞台に足を運び、追っかけまでしていた。

智宏とは口をほとんど利かなかった。

シャイな瞳のことだからだろう。

仕事の合間をぬっては、打ち上げまで参加していた。

智宏がゲイ相手に体を売ってたのも知ってたのでトシヤへの腹いせに、智宏に100万渡して、彼とワンナイトだけ相手にしてもらい、抱かれた。

トシヤにそれがばれた。

俺は瞳が浮かれてたので何があったか尋ねたら「うち、智ちゃんと寝たわ」とそれまでの経過を頬を染めて俺にだけ打ち明けた。

まったく凛といい、俺や瞳は松本家に振り回されている。

豹まで友明の親戚の松本遥のデザインした鞄や服を着ていたので呆れた。

トシヤもバンド時代、友也のギターが好きだったらしい。

自分のバンドに誘ったが断られた。

友也のライブ映像をみて惚れこんでいた。

RUIにそっくりだった。

それは、ともかくとして、村上誠を始末して以来、自殺願望者が多数俺達のサイトに依頼してきた。

イジメに遭ったものや、リストラされたもの、鬱病患者など様々な職種が多かった。

ブラック企業のリーマンまでいた。

ヤクザまで失敗したからと自殺のかわりに殺害依頼してきた。

一家心中だけは俺は頑なに拒否した。

豹達は俺を仕事に私情挟みままくり、と責められた。

村上誠の大ファンの子ギャルの秀美、ロリータの由香利、ヤンキーの杏子(きょうこ)の仲良しトリオが俺達に村上を殺した犯人を殺してほしいと当時依頼された。

困った俺達は、金で払えないなら、体で払えと、それぞれ好みの当時女子高生だった3人を抱いた。

俺は京子と同じ名前のヤンキーの杏子に欲情し、抱いた。

顔やルックスは京子と正反対で金髪の長髪だったが、特攻服のしたの白い包帯を取ったら、結構胸がでていた。

顔はマヤに雰囲気が似ていた。

凛はコギャルの秀美を抱いた。

アリサとあとで修羅場になったのはいうまでもない。

流香の登場で、堪忍袋の緒がきれたのだろう。

ロリータの由香利は豹が抱いた。

結局3人のホームレスが自殺願望故に殺害依頼をしてきたので、身だしなみをヤクザ風にする条件で殺した。

3人はそのあと、満足して消えた。

だが、3人とも、援助交際をして、女子高を卒業するまで報酬をくれた。

律儀な奴らだった。

俺達は気が進まないまま、かんなや五十嵐刑事、楓に命令されて、ドレインアウェイの身辺警護をすることになった。

上原財閥の連続殺人事件が起きたからだった。

今度は、課長が二人目の犠牲者になってしまった。

彼の飲み物に青酸カリが入っていた。

白鳥は疑いが晴れて釈放された。

友美と抱き合って喜んでる姿に俺は嫉妬した。

独占欲が人一倍強いからかもしれない。

HONEY-Xのメンバーはディーンと、クァン、ガラ、裕木、亜輝(男)が警護することになった。

トニーがみつけた、自衛隊から脱走してきたもの達ばかりだった。

高美はディーンが担当したことに対して、「私が歌詞に煮詰まったらゴーストライターになってもらおうかしら」とジョークを言い、彼が殺し屋であること満足していた。

これを機に豹はみりこを捨てた。

そして、ドーリスを退職してSHINのスタッフになれとミリコに囁いた。

バンギャ上がりのミリコはまた出戻り、朔夜に会えることを喜んだ。

俺達はそれぞれ自分に似ているメンバーの護衛と知って納得した。

豹だけは京也の担当と知って、美女じゃないのでやる気をなくしていた。

が、京也の女スタッフに手を出した。

瞳はSHINと交流があったが、似ていないので不服だったようだ。

ミリコはSHINと関係をもち、リサと3角関係になっていた。

俺はリクの警護をしている時にリクのスタッフになった杏子と再会し、お互いに驚いた。

彼女はバツイチでヤンママを卒業してシングルマザーになっていた。

元不良と結婚したが、ホステスと不倫されて離婚したそうだ。

子供は女の子で名前は林檎(りんご)というDQNネームをつけていた。

杉原杏子という旧姓にまた戻っていた。

杏子の話によると、ギャルママだった秀美もDVの夫から逃げて卒論をだし、男の子の檸檬(れもん)と一緒に二人暮らしだという。

秀美もドレインアウェイの健(たける)のスタッフだった。

凛も居心地が悪いだろうと俺は苦笑した。

ロリータの由香利はいまだに現役で、朔夜のスタッフをやっていた。

彼女もブランド好きの男と別れてから妊娠が発覚して唯一独身のシングルマザーをしていた。

麻衣子や里奈のことも知っていた。

娘の名前は「ばなな」とつけた。

それを聞いた豹に「苺(いちご)はいないんか」と聞かれて、俺は「それは京也の娘!」と答えた。

高美と別れてから結婚して産まれた娘で奥さんがつけたらしい。

この4人の子供は同じ保育園で仲良しだった。

俺達5人はローディーに扮していた。

リクはナルシストなので俺が気に入ったらしい。

迷惑だった。

ライブの打ち上げの時など、リクに「え、手ぶらで帰るの?」といわれたが、無視して杏子を家まで送った。

林檎を寝かしつけたあと、俺達は近くの屋台のおでん屋で2次会をした。

「いいの?リクさんほったらかして」と杏子に悪戯っぽく聞かれた。

俺は「そっちこそ、娘がいるのに夜遊びしてええの?」と注意するようにわざと返した。「時にはお母さん忘れて息抜きしたいことあるもの」と疲れた表情をみせたので、俺は彼女を笑わせた。

杏子はとてもいい女に成長していた。

秀美や由香里も大人の女性に成長していた。

俺はゆずの焼酎を呑みながら大根をつついた。

杏子は熱燗を呑んでしらたきを豪快に食べた。

二人が2度乾杯した。

久しぶりの再会。

酔いが回り、杏子に欲情した。

秀美には新しい男ができたと杏子がうちあけた。

杏子の目にも欲望の色が浮かんでいるのを俺は見逃さなかった。

彼女をマンションにつれていき、朝まで抱いた。

「杏子。。。」一緒にシャワーを浴びながら、かんなや京子の顔が浮かんだが、慌てて打ち消した。

もう強制猥褻で捕まる年齢ではなかった。

成熟した杏子の肉体は素晴らしかった。

俺は珍しく遅刻してリクの男性マネージャーに怒鳴られた。

杏子は何食わぬ顔をしていつもどうりに出勤していた。

さすが元ヤン。

一方、香港で妊娠検査薬を買ってトイレで調べたアリサは愕然として今度は産婦人科へ行くことにした。

何かの間違いで会ってほしいと願った。

診察室で女医さんに無慈悲な宣告を受けた。

「ちょうど8週目に入っていますね。お子さん、順調ですよ。おめでたですね」と笑顔で女医はつげた。

アリサは目の前が真っ暗になり、降ろそうか産もうか思い悩んだ。

デザイナーの松本遥は最近、飲酒しないアリサを気遣った。

「どうしたの?アリサ、元気ないね。お酒を毎日呑んでたのに。風邪でもひいた?」

煙草は凛の為にとっくにやめていた。

「ううん、なんでもない」とアリサは微笑んだ。

遥は道行く親子を眺めるアリサを見逃さなかった。

「ねぇ、もしかして、貴方」と、突然、つわりを起こしたアリサを心配した。

「凛にも誰にもいわないで!一人で産んで育てるから!」とアリサは遥に嘆願した。

遥は困惑した。

同居人のRANも。

 

 

 

 

 

 

灰色の街~紫のナイフ20~

新年を迎え、もうすぐバレンタインデーが来る。

それまでに様々な事がおきた。

あの白鳥透が上原財閥の福社長殺害容疑で逮捕された。

松田友美が昔社長を取材したことがあり、嫉妬にかられて殺害したと勝手にきめつけた。

なぜか、瞳のナイフが現場で発見されて白鳥の指紋がついていた。

彼にアリバイはなかった。

友美に電話がきたのは、犯行前の時間だった。

彼は必死にベートーベンの月光のピアノのアルバムの批評を書いていたといったが、

1人でいた為に疑われた。

刑事はしつこく取り調べをした。

白鳥はすっかりやつれていた。

3日間、留置所にいた。

あのかんなまでがナイフをみて「血の匂いがする。男性の」と言った。

俺は呆然とした。

人を刺したのだから当たり前だろう。

これでは友美が気の毒だ。

仕事仲間の友也までが憤慨した。

凛達も彼が人を殺すようにはみえないと言った。

俺はかんなに何かの間違いじゃないかと問い詰めに会いに行った。

「もちろん、白鳥透がガイシャを殺してないわ。彼は恨みを買ってるんじゃないかしら。婚約者のことで。」とかんなは推理した。

「なら早く出してやれよ。」と俺はいらだって語調を強めた。

かんなはマンションの一室にいた。

「彼、松田友美の婚約者なんでしょ。外に出したら危険でしょ」と俺の目を見つめて言った。

俺は少し照れて目を伏せながらも「たしかに新刊を出してから 高美まで白鳥を心配してたな。命に係わるようなことがあったら敵を殺してくれって凛に頼んでたくらい。」

と言いながら、かんなの思惑に気付いて、声をあげそうになった。

友美の本の刺し止めが犯人の要求か。

上原財閥の福社長はみせしめに殺されたのだった。

「犯人は今は泳がせておく」かんなは自信たっぷりに言った。

高美は凛に詰め寄った。俺達のアジトにわざわざきて。

「どういうこと?これ。約束と違うでしょ!」

「せやかて、アリバイないし、指紋あるしな」と凛は困ったように言った。

「私の依頼を受けたくせに。命買いなさいよ。」と取り乱す高美。

凛は「蓮にも西野さんにも頼んで白鳥さんの無実晴らすからな。安心しろ」としか言えなかった。

そのころ、香港にいるアリサはボルシチを煮込んでいる時に急に気持ち悪くなって洗面所にかけこんだ。

「うっ。。。」胃液しか出なかった。

そういえば、香港にきてから一度も月に一度の生理がきていないー。

最後に凛と寝たのはいつだっけ。

他の男性とは関係もってなかった。

ストレスだとばかり思っていたが最近すっぱいものばかり食べてばかりいた自分を思い返した。

アリサはおそるおそる、香港の街に妊娠検査薬があるか明日探して買いに行くことにした。

凛には内緒にしておこうと思った。

俺は凛から高美の話を聞いて、なぜか、2年前の豹に依頼してきた奇妙な美しい青年を思い出した。

メールで「俺を殺してください」というたった一行と、今迄貯めたらしい貯金。

彼は売れっ子の小説家で、映画化もドラマ化もされて、智宏も脇役で出演して大ヒットしていた。

毎日、女をとっかえひっかえしてたが、最近は婚約者もいた。

どうみても健康そうだったし、両親もそろっていて、何不自由ない人生を送っていた。

昔から人望が厚く、友人も多かった。

俺はきっとネタがつきて書けなくなったからだろうと思って軽蔑した。

彼は昔から漠然とあった自殺願望から逃れる為に小説を書き続けていたが、もう衝動を抑えきれなくなったというのだ。

俺はこういう人種が一番嫌いなので「殺す価値はない」と断った。

彼は平成の太宰治と謳われていた。

しかし、豹は「よかろう。命乞いする奴が多いなか、お前からは恨まれそうにないだろうしな。お前は呼ばれたんだよ、このサイトに」と冷たく微笑していった。

「で?どう殺してほしい?この場ですぐに天国いくか?」と凛も真面目な顔で訊いた。

青年は「最期の小説を書いた。このとうりに君たちが演じて殺してほしい」とだけいい、フロッピーデスクと、連絡先のアドレスを渡してドアを出て行った。

瞳は青年の後ろ姿を観ながら、ナイフを研いでいた。

豹は青年の書いたシナリオを読んで「陳腐な内容やな」と吐き捨てるようにいいながら

「自殺の庭」というタイトルの小説を読んだ。

「結局俺が殺るんかい!」と俺は憤慨した。

ディーンからはなぜか三島由紀夫の小説を教えてもらった。

きっと影響されて作家になったんだろうけど、太宰と言われ続けて不本意だったに違いないといっていた。

その主人公は中々死なない不死身の理不尽な男の話だった。

そいつの希望どうり、ゲイに扮したトシヤとゲイバーで絡み、ナイフで瞳に脅され、

凛の用意したカクテルをがぶがぶ呑み、ほかのニューハーフとキスしまくり、はしゃいでるところに俺が出て行って、本当に奴の額に銃を当てて、殺してあげた。

彼は即死だったが、口元は少しだけ笑みを浮かべているようだった。

TVでは奴の告別式をやっていた。

作家の村上誠(まこと)、他殺と報じられた。

遺族や婚約者、友人達は葬儀で悲しんでいた。

俺は珍しく後味が悪かった。

凛は高美と別れた後、松本友也の「LOVE」というタイトルとジョンレノンのレコードジャケットが表紙の写真集をとりだしてみた。

末期がんの妻と闘病を支える夫のベッドシーンが物議を醸した問題の写真集だった。

そのあと、この夫妻は、ベルギーに渡り、妻は安楽死を選んだのだった。

大好きなジョンレノンの「LOVE」をBGMにー。

あとがきにはそう書かれていた。

凛はため息をついた。

友美はそのころ、婚約者として白鳥透と面会していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~紫のナイフ19~

tourは下関を回って四国、北海道、近畿、東北、関東、ラストの中国地方にきた。

高美達に付き添って食べた広島のお好み焼きは美味しかった。

前のりしてきたので一緒に厳島神社の鹿を観に行った。

凛は「そばめし食いてー」といっていた。

アリサとはどうなったのか気になったが二人の問題なので干渉しないことにした。

ここもパワースポットなのでカップルも多い。

今日はクリスマス。

飛行機で移動だったので楽だった。

凛はいつも税関でひっかかる。

今日は誰かにつけられてる気がした。

彼女達のことは凛に任せて神社をあとにして、大通りにでて走ったら後ろも走ってついてきた。

しつこかったので、レンガづくりの建物の間に隠れて後ろからくる相手の前にでて銃を向けた。

相手は女子高生で顔をひきつらせて黒ずくめのリクと同じファッションをしていた。

俺は安堵し、またかとうんざりし、「あ、今映画の撮影中、俺エキストラ。お前邪魔だからどいて」と無愛想に言ったら、「なんだ、リクじゃないや。声も違う。広島でインストあるからもうきてるのかと思っちゃった。」と独り言を呟きながら俺を無視して去っていった。

これは逆のパターンもあるかもと俺の組織につけられてるであろうリクを気の毒に思った。

実際リクは健と正反対で最近ガラ悪い連中に絡まれて困ってると嘆いていた。

もうホテルに戻ろう。

本当にヤバイ奴が来ると厄介だ。

街は夜になった。

クリスマスのイルミネーションで夜景が綺麗だった。

ベッドにあおむけで寝ながら、弾を入れ直し、スティックのように銃を回しながら、

高美の差し入れのテキーラをロックでグラスに注いで飲んだ。

これは高美のラジオ番組にルナマティーノの下手ギタリストがゲストで出たときに

もらった代物だそうだ。彼のオリジナルらしい。

ライブはとっくに終わり、今頃高美達はクリスマスと打ち上げもかねて盛り上がってるだろう。

ドアをノックする音がしたので銃を構えて足で蹴ってあけたら、なんと井川由美子だった。

「なんだお前か」俺は額の汗をぬぐった。

「なんだは何よ、せっかくはるばるミニスカポリスのコスプレできてあげたのに。」と本当にグレーの迷彩柄のミニスカポリスの恰好で頬を膨らませる由美子。

「はい、差し入れ」とチーズケーキとドンペリをもってきた。

「俺、甘い物嫌いなんやけど。なんかあったんか」と笑わずにいいつつ中にいれた。

由美子は廊下を見回してからドアの鍵を閉めた。

ショートヘアが似合ってて、掘りの深い顔。

由美子はもう一つの袋から、長いソックスを出して俺の前に手を伸ばしてみせた。

「何これ?」と変な骨模様のストッキングだと思いながらのぞいた。

「ああ、リクのブランドよ。あんたと間違われるから何かあったら助けてだって」と、いいながら由美子は又紙袋の中にしまいこんだ。

やっぱりそうか。そりゃそうだ。

スタンガンでも、あの5人に持ち歩くように指示したほうがよさそうだ。

「そんだけ!?」と顔をひきつらせた金髪のリクの顔が浮かんだ。

「あ、ところで例の殺人事件のほうはどうなった?」上原財閥が気になった。

由美子は「豹くんがもってるガイシャのファイルで彼が疑われたけどアリバイがあったから成立した。西野さんがかばったおかげでね。」とチーズケーキを頬張りながら答えた。もうテーブルの椅子に腰かけていた。

俺はミリ子も任意同行で事情聴取を受けたがアリバイがあったのでほっとした。

かんなは血の匂いがしないのでイラだってるらしい。

頬ずえをついて由美子の食べる様子をしばらく眺めていた。

もうひとつのグラスにシャンパンを開けて二人で乾杯した。

結局ケーキを一口食べた。

美味しかった。

「シャワー浴びてくるわ。一緒にはいる?」と笑みを浮かべながら由美子はバスルームへ消えた。

これは、ハニートラップっていうやつか?

部屋をかえようかと思った。

しかし気になる。

残りのテキーラをグラスに開けて、氷をいれて、一気に飲み干した。

由美子はバスローブを着たままでてきて、「あら、今のはジョークよ。貴方って案外ちょろいのね。」と言いながら冷蔵庫の中のミネラルウォーターを喉を鳴らしてペットボトル片手に飲んだ。

喉元から胸元までとても色っぽい。

唇も濡れていた。

「はい」と俺にペットボトルを手渡すと素早く迷彩服とバスローブの上にコートを羽織り、「じゃぁ明日の朝、始発で帰るから」と出て行ってしまった。

仕事がなかったら押し倒すのにと俺は悔しい気持ちだった。

またテキーラを一杯飲んだ。

凛達もいるから大丈夫だろうと思い、酒を飲み続けた。

その凛は、押し掛けてきた流香の誘惑に負け「別れたくない」と泣かれた為に、

一晩一緒に見張りをした。

(瞳達がいるから大丈夫だろう)と思ったそうだ。

瞳はトシヤの誘惑にまけ一緒に風呂に入り「蓮達がいるしね」と楽しんだ。

高美も高広がちょうどラジオのゲストできていた為にホテルで一緒に過ごした。

他の4人のメンバーも無事だった。

次の日ひどい二日酔いで頭痛薬を由美子からもらって飲んだ。

一緒に朝食をとった。

明日は東京に着く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~紫のナイフ18~

東京に帰って事務所に行ったら、由美子が登山から帰ってきていた。

日焼けした肌。

露出度が高めだ。

珍しくディーンが顔を出した。

ディーンは谷崎純一郎の「痴人の愛」と山田詠美の「賢者の愛」を最近は愛読していた。

本を薦められたが愛だの恋だのにはもう疲れていたので断った。

「この奈緒美と直己が面白い。『痴人の愛』は主人公の譲治がミイラ取りがミイラになる。

つまり心を奈緒美に支配されるんだ。

一方『賢者の愛』はヒロインの真由子が心を奪われなかったが体が不自由になる。

どちらも相手を幼い時から好みの男女に調教するんだよ」とディーンは熱弁を奮った。

俺は興味ないので適当に相槌を打った。

動物愛に目覚めたのか、ディーンはハムスターを飼って雄雌2匹をかってそれぞれにナオミという名前をつけた。

双子だそうだ。

「俺は男女を調教することにしたのさ」と待ち受け画像をみせた。

「どっちもナオミじゃぁ区別つかへんやんか」と呆れた。

ディーンは「雄はナオ。雌はナオミ。わかりやすいだろ。」と言った。

俺は顎に手を当ててなるほど、と呟いた。

俺もペットを飼ってるのが恥ずかしかったのでわざとぶっきらぼうに「俺も、、、実は子猫を飼ったんだ。野良猫の母親に捨てられてて、リーマンが虐待しかけてたから頭に血が上ってガン飛ばしたら、怖がって逃げたw子猫は俺になついてきたからほっとけなくてな。名前は迷ったけど『サイファ』。雄だけどな」と早口で答えた。

サイファ、お前それ少女漫画のタイトルじゃないか。」とディーンは笑いを堪えて言った。

俺はディーンを睨んだ。

瞳もポメラニアン犬を飼っていて、皐(さつき)と花の名前をつけてたので吹いたけど他人を嗤えないと思った。

トシヤは兎を飼っていて、キャッツアイと名付けてた。

略してキャッツ。

なんでうさぎなのに猫なんだと聞きたかったが怖いのでやめた。

楓に何か飼ってるか聞いたら「爬虫類全般飼ったが今はみどり亀に落ち着いた」と無表情で言ったのでクロコダイルもあるのかと微笑ましい気持ちになった。

名前を聞いたら「姫」というから、吹き出してしまった。

俺はサイファを飼ってからマンションルームに帰るたびに緊張が解けて和んだ。

サイファは雌みたいな性格だった。

キャットフードをあげたり、またたびをあげたりすると喜々とした。

一時期はミルクすら飲めなくて心配したものだ。

今は腰をトントンすると異常に興奮するし、たまにけっぽんと床にゲロを吐くので参ったが憎めなかった。

爪とぎも買ってやり、ストレス発散させている。

子供を育てるよりよほどいい。

豹は熱帯魚を飼っていたので人は見かけによらないものだと妙に感心した。

「朝から何ペットの話で盛り上がってるねん」と凛がきたので「お前何か飼ってる?動物」と聞いたら「たまごっち」と返事が返ってきたので回りはしんと静まり返った。

「なんてな。セキセイインコかな、ラッシー。」と笑顔で凛は慌てて言いなおしたがみんな無視して現場に戻った。

「あ、響ちゃん、ウィンナー珈琲」と笑顔で頼んだ。

響はカップに珈琲を淹れて俺の前に置いて「私も猫が好きなんです。バニーという名前」と一言だけ笑わずに告げて廊下に出て行った。

髪をかき上げて「ありがとう」とお礼を言ったから照れているんだろうと思うと可愛いと思った。

今日からHONEY-Xのtourが始まった。

九州全県を回り、感動の公演でアンコールが鳴りやまなかった。

募金箱まで用意し、マネージャーのまりあが区役所にもっていった。

SMクラブの千里まで俺達のバスに乗り込んで瞳に抱き着いたのでトシヤは

「きついよ」とぼやいていた。

旅は始まったばかり。

俺達はライブを楽しんでる余裕などなくあたりを見回した。

凛から聞いた、白鳥透と友美が心配だった。

拳銃はむやみに出さないようにした。

スタンガンも持ち歩いた。

友美に変わった様子はないか尋ねた。

今の所彼氏も無事らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~紫のナイフ17~

高美は凛にカクテルを作ってっもらった。

「美味しい。殺し屋やめてカタギになっても十分食べていけるのに」と笑顔で高美が言ったら「戻る気はない」と無表情で抑揚のない声で言われた。

店内はさすが中華風に派手だった。

「そう。怖い。本題だけど、白鳥透を守って。彼、松田友美と付き合ったせいで、彼女の新刊のせいでテロリストの報復に巻き込まれる可能性があって心配なの。

楓さんは同じ顔のドレインアウェイの5人もあんた達5人に間違われて殺される危険性あるからそっちを護衛したほうがいいと提案してきた。

スタッフとしてもう潜りこんでる。」と高美は推理好きを発揮させて一気にまくしたてた。真面目な顔で。

「それなら心配ないやろ。レンが防弾チョッキを5人に渡したそうだから。

リクは苦笑してたらしい。話はそれだけか」と凛はおかわりされたピンクレディーというカクテルをカウンターの上に置いた。

「ここにはオフを利用してきたんか」と凛は高美に聞いた。

カクテルを一口飲みながら「そうよ。ちょうどジャズピアニストのまなみとユニット組んで東名坂ツアー終えたばかりだしね。雪乃の件、解決したよかったわね。」と安堵した表情でいった。

「まぁ、こっちも色々大変やけどな。」といいつつ、アリサに会いにいったが門前払いを食らったことを思いだし、深く悲しい気持ちになった。

「蓮もアリサを慰めに来るって」という高美の言葉に凛は多少、動揺した。

住所は教えたがまさか来るとは思わなかったのでお説介だと思った。

自分もジントニックを作って一気に飲んだ。

凛は流香に会いに次の日東京に戻った。

別れるつもりだった。

一方、俺は由美子が登山が趣味だと聞いて急におかんとおとんを思い出して懐かしさに胸がヒリヒリした。

実際ストレスがたまり、娑婆に開放されてから数年ぶりに山登りということでハイテンションだった。

雪乃からは事件解決のお礼として大量の香水「バトゥー・サン」が届いた。

俺は2~3本もらい、京子用とアリサ用と自分用にとっておいた。

女性にモテるそうだ。

俺は自分でも2重人格を自覚していた。

殺し屋のレンと恋多き男の蓮。

女と情事の最中はいつ敵に殺されて死んでもいいと開き直っていた。

豹に「ミリコは俺がもらった」と意味深のことをいわれて「別にええよ」と言ったら

拍子抜けした表情を浮かべていた。

実際俺のマンションの前で体育座りして待っていたそうだ。

資料を届けた際に。

豹は昔、マヤを俺に寝取られたので復讐でミリコを奪う予定だったらしいが俺が新しい秘書の響 紫(ひびき、ゆかり)に珈琲を入れてとちょっかいを出してる様子をみて、次の機会を狙うことにした。

実際ミリコと豹は寝た。

ミリコを金髪のツィンテールにさせたりイメチェンさせた。

詩集もサイン入りでプレゼントしたら喜んでいた。

俺は「響ちゃん、今日もかわええな」と彼女の机に歩いて行って声を毎朝かけた。

響は元ヤンの婦人警官だが正義感が強すぎて、やはりかんなのようなウヨク思想にハマって、ウヨク団体の街宣やデモを放置したのでここにきた。

次の日、香水をもって京子のと月命日の墓参りとアリサを東京に連れ戻すべく香港に向かった。

6年ぶりに来る香港は相変わらずだった。

高美からのメールでクロムの下手ギターのレイが倒れて大手術したものの、やっと回復したと喜んでいたが俺にはどうでもいいことだった。

アリサに会いに行った。

松本遥にレインの実の父親だと紹介したら部屋にいれてくれて、二人きりにしてくれた。

遥は秋冬のデザインで忙しかった。

アリサは高美がRUIと同じデザインのTATooを右腕の上に彫ったことや目を整形してた事も明かした。

俺と別れた後だった。

クロムに入りたては髪をピンクに染めてたらしい。

友也の姉はネイルアーティストとして生活しているとか世間話ばかりした。

アリサが無口になった頃を見計らって「アリサ。もう凛の所に戻らないのか?」俺は慰めるように聞いた。

「私達夫婦はもう駄目みたい。どうしても凛のした事許せないの。蓮。。。」と俺の胸に顔を埋めてしばらく泣いた。

結婚指輪はしていなかった。

アリサのポニーテールの髪を撫でながら、俺は途方に暮れた。

しばらくしてから俺はバトゥーサンの香水とKワインの赤を2本置いて、遥の部屋を出た。

次の日、宿泊したホテルをでて、京子の墓前に百合と薔薇と蓮の花束を置いて、煙草に火をつけた。

「京子。お前以上に愛せる女にまだ出会ってないんやけど、お前と同じくらい大切にしたいと想える女に会えた。お前が気づかせてくれたんやな。」と独り言を言った。

一緒に住んでた頃にたくさん京子の写真を撮った。

今でもアルバムを大事にしまってある。

娑婆に戻って東京に行って一か月経った頃、俺を狙う刺客は全員殺した。

豹が立ち上げたサイトの依頼を受けるのに邪魔だった。

人妻の依頼ばかり受けた。

凛みたいなギャンブル狂や豹の父親みたいなDV男、アル中の男等、片っ端から依頼がきた。冤罪になった元少年Aも殺した。

冤罪で捕まって真犯人が見つかったときもそいつを殺した。

偶然4年前にマヤと再会し、いきなり組織から逃げてきた、一緒に住んでといわれてすぐ信頼できるわけもなかった。

ゆゆも逃げたそうだ。

男と暮らしてるから問題ないとマヤは言った。

俺は半信半疑ながらもマヤの肉体の魔力に負けてマンションを借りて一年半、半

同棲した。

俺はまたマヤに恋をして今度こそ離さないとあの頃は誓った。

マヤも俺に抱かれてる間は狂おしく激しく求めてきた。

とても幸福だった。

俺を見つめるマヤの目はとても愛しく可愛くて死ぬ時は一緒やと思った。

決して俺に愛の言葉を言ってくれなかったけれど、お互いに必要な存在だと確信した。

俺が出かけている間、マヤは自分の愛に葛藤し涙する日もあった。

それでいてゆゆから携帯がかかって来たときはクールに計画は順調だと伝言した。

ゆゆは友也の専属モデルに成りすましていた。

遥のデザインした衣装をきて東京ガールズコレクションにでたりした。

マヤの作る手料理は美味しかった。

たまにしか作ってくれなかったが。

たまに「どういうつもりだ」と喧嘩することもあった。

マヤは夜はロシア語講師のバイトに出かけていた。

いずれ頃合いを見計らってテロ組織に俺を差し出して、殺す計画だったらしい。

しかし彼女の唯一の失敗は俺を本気で愛したことだった。

時々ぼんやり、部屋の一点を見つめることがあった。

ゆゆとは連絡を取り合っていたらしいが、組織に筒抜けだとは知らなかった。

そして。一年半後、俺達のサイトに「神崎マヤを殺せ」という依頼がたくさんきて、俺や豹達は呆然とした。

何もしらない4人は早速依頼を受けてしまった。

俺は4人に合わせながら、マヤに逃げるように言って、彼女は逃げた。

ゆゆは女性誌に表紙で載ったことがあった。

そしてホテルで連絡を取り合ってマヤと俺は一週間ごとに会っては深くだきあった。

その間だけ、俺はいつ死んでも後悔しないと思った。

その逢瀬も長く続かなかった。

マヤのテロ組織の1人が俺をめがけて銃口をむけてきたときマヤは「逃げて!」と叫んで俺はマヤを置いて逃げた。

マヤは今頃どうしているだろう。

落ち合う約束の場所に行っても会えず俺は身が引き裂かれる思いだった。

マヤと再会していた事を4人は知らない。

あれからもう3年になる。

一方、東京で楓はマヤの素性と経歴を調べ上げてくうちにマヤの父親が俺の家族を殺していたことを知って愕然とした。

そして、俺を拉致した形で香港で育てた親父がマヤの家族を処刑したことも知り、マヤはこのことを知ってるだろうかと楓は暫く考えた。

「じゃぁ、またくるよ、京子」俺は独り言を言って墓地をでた。

飛行機から景色を眺めた。