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薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~彼女と過ごした冬5・~

俺は今日もいつもの場所へ行き、スコープ越しに警備員を狙っていた。

亡命者の男が一人国境を越えて逃げてきた。

つれもどそうとする警官を遠くから狙い、一人、狙撃した。

俺はため息をつき、新しい弾を入れた。

「相変わらずのいい腕前ね」と聞きおぼえのある声がした。

振り向いたら神崎マヤがいて俺の横で腕を組んで見つめていた。

俺は驚いた。

「なんでここにお前がいるんだ」

マヤは笑顔を浮かべて「今は香港の警察よ。中共政府が不審な動きが北との国境であるらしいと疑ってるみたいね。また会えて嬉しいわ」と答えた。

おれはいぶかし気に彼女に聞いた。

「今度は中共のスパイってわけか。また金目当てか。」と軽く笑みを浮かべてみせた。

久しぶりに再会したマヤは相変わらず胸が大きく、年齢も感じさせないほど美しかった。

「ここにきたのはただの偶然よ。今は他の不審者を探しに来たの。貴方とは無関係よ。他に貴方とおなじ事をしてる殺し屋が何人もいた。奇遇ね」。

「そうなんや」俺達は互いに見つめ合った。

瞳やトシヤが偶然、その現場に居合わせたが、慌てて建物の影に隠れた。

「みつけた」、と瞳は駆け寄ろうとしたがトシヤに引き留められて仕方なく様子を伺った。

俺とマヤは二人で国境付近をあとにした。

トシヤは「なんで撃たなかったの。らしくないね」と皮肉たっぷりに言った。

瞳は軽く不敵な笑みを浮かべて「最期の逢瀬だもの。楽しんでからのほうが彼も思い残すことはないと思うの。マヤの真意は測りかねるけど」と言ってのけた。

「あの二人がそうなるとは思えないんだけどな」と少し考えてからトシヤは瞳に尋ねた。

「女の勘。あの二人はお似合いよ。マヤと一緒にあの世へ逝けたら本望じゃないの。

あの女、昔からずっと蓮だけをいつもみてた。」とこともなげに言う瞳。

トシヤは仰天した。

瞳はそんなトシヤを一瞥して「鈍感」と一言だけ言って二人の跡をしばらく目で追っていたがすぐに香港へ戻った。トシヤも「ねぇ、いつから気付いてたの!?」と瞳を追いかけて走った。

たしかに俺は死と隣合わせにいつもぎりぎりで生きてきた。

マヤもそうだっただろう。

俺達はあの時はどうかしていた。

いつ死ぬかわからない極限の状態で再会した。

京子の存在を忘れて、夜の街をマヤと歩き、マヤの宿泊しているホテルに泊まり

見つめ合いながら抱き合った。

今度こそ生身の女だと思った。

マヤは何もいわずに身を任せてきた。

その夜はお互いに激しく求め合った。

あんなにも憎みあっていたはずなのに。

事が終わったあともずっと抱き合っていた。

これから俺達はどうなるんだろう。

マヤはずっと無口だった。

俺も何も話さなかった。

朝がきた。

「帰るわ。仕事に戻らなきゃ」マヤは素早く着替えて部屋を出ようとした。

俺も素早く着替えて「じゃ、また。いつ会えるかわからへんけど」としか言えなかった。

マヤは後ろ姿で手を振って廊下を歩いて去っていった。

自分が宿泊しているホテルの部屋に戻り、煙草を吸った。

「あの女、誰なの?」と声がした。

ぎょっとして後ろをみたら京子がいた。

「ずっとみてたんか。」焦った。

「私は何もみてないし貴方にも未練なんかないわ

安心して。でもまだ成仏できないから帰ってくるのを待ってた。」

と意外に冷静だった。

「じゃぁ、なんでここにおるん!?俺はあいつの事はなんとも思ってないしずっとご無沙汰だったし」と幽霊相手に言い訳しつつ聞き返した。

「こっちが知りたい。なんでここにいるのかわからない」と言われて困惑した。

「あの女は警察にチクったりしないから大丈夫よ。彼女は他の人のスパイで頭がいっぱいだから」。俺は呆気にとられた。

京子は他に理由があってまだこの世をさまよっているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~彼女と過ごした冬4 「IV」~

トシヤは香港に来た頃、ルナマティーノが再結成記者経験をしたので香港のTVで観れて感激した。

それと同時にもうあのころの自分には戻れない淋しさも感じた。

でも、また絵を描いてみようと思い、油絵用の絵具とカンヴァス、スケッチブック、4Bの鉛筆を用意して書き始めた。

モデルはもちろん瞳。

前みたいに裸婦像を描けないので残念だった。

瞳以外の人間を描く気にはなれなかった。

でも画家としてもう一度やり直すには名前と顔を出すのはもう不可能だった。

自分の絵を気に入ってくれてなおかつ、名前を売りたいと思っていて信頼できる

人間をネット上で探したがなかなか返信が来なかった。

自分はゴースト画家として生きていこうと決めた。

ジョージに連絡してみようかと思った。

彼なら信頼できるし、いいパートナーになってくれそうだった。

しばらく瞳だけを描いていたが、レンを描きたくなった。

地べたに寝ていて蓮の花びらがたくさん体の上に置かれている絵だ。

デッサンを描いてる最中に不意に涙がこぼれた。

生きていてほしいー。

そう願いながら瞳とレンの対決を阻止したい気分だった。

 

一方、西村 豹も2010年にLAから日本の京都に帰国していた。

一時期は東京にいたが、如月薫の個展や松本友也の個展をみて、

刺激を受けた。

いい詩が書けそうな気がした。

それに「DRAIN AWAY」の京也の詩集も読んでみたが、プロ顔負けの

文才と詩人という概念にとらわれない自由な表現に衝撃を受けた。

こいつは面白いと思い、個展を見に行ったら写真や絵もあり、友也の写真と薫やトシヤの絵とは違う魅力を感じた。

周囲にいる詩人と違って豹は京也に邪道だとかいう怒りや嫉妬はなかった。

豹は詩人デビュー後、毎年行っていた退屈な自作の「朗読会」をsukerinoという名前の仲間とやったあとに食事をして、次の日に生まれて初めて自分の出版される詩集の表紙の挿絵を自分で描いた。

中身は今までLAやNY、シンガポールで書き溜めていた詩にした。

発売記念のサイン会が終わった次の日、京都に里帰りした。

自分の原点に戻りたいー。

そんな気分だった。

今は1人でいたかった。

そんな彼が11年末に香港に出向いた理由は瞳が病み気味だというトシヤのメールが

届いたので見舞いがてら、観光に興味ないが、リンの店にも行こうと思ったからだ。

レンとマヤのことなど思い出したくなかった。

皮肉にも一緒にまたトシヤ達と仕事をすることになった。

トシヤ達の話を聞いてるうちにこの裏社会を詩に書いてみたいと思った。

 

「フェイ」にレンが来ないと知った瞳とトシヤは今度は「ジャッキー」という店にレンを暗殺しに行った。

アリサとも久しぶりに会ったが二人はとても食欲がわかなかったので飲茶だけ頼んだ。

台湾料理店にも中華料理コーナーがあった。

「レンはよくここに来るの?」と瞳が聞いた。

「来るけど、昨日と今日はみかけなかったわ。」

「そう」瞳がいい、トシヤはため息をついた。

トシヤはいつになく饒舌にアリサと会話をした。

「そういえば今はカタギなんだってね」

「まぁね。貴方達も色々と大変みたいね。」とアリサ。

「それほどじゃないよ」とトシヤは笑顔で言った。

飲茶を食べた後も瞳は無言でレンが来るのを待ったが来なかった。

今日はこの店が血祭りにならなくてよかったー。

トシヤは安心した。

瞳は相変わらずあまりしゃべらず、笑顔だけみせてたが、その表情はいつになく固かった。

「美味しかったよ」とトシヤは気さくにアリサに挨拶をし、瞳は「また来るね」と一言だけ言ってそれぞれ帰った。

アリサはウェイトレス仲間から色々噂を聞いていたがレンのおかしな言動をトシヤや

リンには伝えなかった。

レンは今までずっと隠れていた。

「あいつら、もう帰った?」とレン。

「ええ、帰ったしもう来ないと思うけどあんた達どうしたの、喧嘩でもした?」とアリサ。

「ま、そんなとこ。俺も理由は知らないけどね。」

「瞳は気まぐれだから貴方のどこが癪にさわったのかしら」

「さぁ(こっちが知りたい)」とレンはいい、サングラスをかけてあたりを伺いながら裏口から出て行った。

京子から気をつけろとはいわれてたが、なかなか理由を教えてくれなかった。

急に隠れろと言われて、アリサにいたことを言わないように頼んで影に隠れて様子を伺っていた。

たしかに何かがおかしかった。

俺を探してるみたいだったがー。

殺し屋の勘が働いて今は瞳達に会っても声をかけたくないと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~彼女と過ごした冬3~

俺は霊能者を探しても見つからなかったので仕方なくホテルにチェックインした。

やはり受付係には京子はみえてないらしく「シングルですね。」といわれた。

京子は「セミダブルがいいなー。」と自分は寝る必要もないのにつぶやいていたが

聞こえないふりをした。

部屋に入り、ベッドに座って、ライフルに新しい弾を入れた。

自動銃の拳銃にも入れて弾が入ってる部分を手で回した。

そして撃つ仕草をした。

ため息がでた。

部屋をでるときに用心深くあたりを見回しながら外にでた。

電話ボックスに入り、シャオミンに電話をした。

リックと義理の兄が名乗っていたのでその名前で呼んだ。

「香港で有名な霊能者いないか」と俺は聞いた。

リックは「なんだ、変なもんに憑かれたか。」と笑っていた。

「本当にヤバイんだ。女性で」とだけいった。

「女の霊にまでモテるのか。羨ましいな」とからかわれたので

「冗談いうな。知ってるなら教えろ」と聞いた。

「あのばあさんなら知ってるよ。シナという霊能者。」

と電話番号と場所を教えてくれた。

九龍にいったらシナという霊能者がいた。

彼女に霊視とお祓いを頼んだ。

お金ならいくらでもある。

シナは「悪い霊でもなさそうだね。あんたを守ろうとしてくれている。

しかし、いつまでも一緒にいたら身がもたないだろうから一応除霊してみるよ」と

言って、別室に案内されて、俺はベッドに寝かされた。

そして太くて長い線香に火をつけて煙で全身を包んだ。

何かの灰を体に撒かれた。

ばあさんはお経を唱え始めた。

しばらく経ったあとすごい勢いでシナは風で吹き飛ばされた。

その間俺は京子に抱きつかれていた。

体が透けて感触を感じなかった。

京子は白いワンピースをいつも着ていた。

どうやらお祓いは失敗したようだ。

俺に水をかけたあと、「彼女はあんたに危険がなくなるまで離れる気はないようだ。

彼女を成仏させるにはあんた次第だね。」といわれて、いつもの半額を要求されて金を払って店をでた。

俺はなんだか落ち込んで「ジャッキー」に行き、台湾料理を一人分注文して食べた。

ホテルに戻ったあと、京子を抱きしめようとして手を伸ばしたが体が透けて通りすぎてしまった。

なんで最初だけ感触があったのか謎だ。

京子に聞いてみた。

「ああ、それは私が強く念じたからよ。今は体力が落ちてきちゃった。

ずっと貴方のそばにいたのに気づかなかったの?」としょうがないという表情でいった。

俺は呆然としてしまった。

「とにかく余計なことはするなよ」と言ってシャワーを浴びてベッドに寝た。

京子はバスルームを覗きにこなかったので複雑な気分だった。

なんだか怖さよりも切なさがこみあげてきた。

もう抱くこともできないのか。

 

 

 

 

 

 

灰色の街~彼女と過ごした冬2~

依頼主は「場所は中共と北の国の国境付近にいるはず。奴は必ずその場所にくる。

それ以外は何処にいるかわからない。奴は『レッド・ウルフ』という名前で

香港マフィアの間では恐れられてる。

ここ半年足らずでターゲットは必ず仕留めるからな。

気を付けろ。報酬は500万ドルだ。」

それだけいうと、ボスは部屋を出て行った。

レッドウルフー。

赤い狼。

髪の色からそう名付けられたんだろう。

瞳は息を呑んだ。

かつては片想いしたこともあった。

いつも彼にはいじられてばかりいた。

でもそれで恨んだことは一度もなかった。

明日にも国境付近に行ってみようと決心した。

「彼の死体には蓮の花を添えるからたくさん用意しといて。」と無表情にトシヤに一言だけ言い残してホテルの部屋に戻った。

トシヤは頭を抱えた。

瞳はその夜、涙が溢れて止まらなかった。

リンならこんな時どうするだろう。

アリサやディーンは?

レンには教わったすべてを駆使するのがせめてもの友情だろう。

次の日、国境付近にトシヤと行って自分達を雇った組織を狙撃するレンの姿を望遠鏡

越しに覗いたがこの日に限ってきていないようだった。

ほっとしたような安堵の気持ちがあった。

蓮に会っても動揺しないように鏡をみて訓練してきた。

「よかった。今日はきてないようだね。」とトシヤは安心して言った。

「よくない。トシヤまでこなくてもいいのに。」と瞳は目を伏せて言った。

トシヤは「意地っ張り。花は用意しておいたから。」とため息をついた。

瞳達は偶然「フェイ」に立ち寄った。

ウェイターがリンだったので瞳とトシヤは驚いたが笑顔を作り、

「こんばんわ。久しぶり。」と挨拶をした。

トシヤも同様に会釈した。

リンも「久しぶり。瞳は相変わらず細くて綺麗やなー。トシヤもかっこええで。」と

日本語で愛想よく迎えた。

瞳は褒められて嬉しかった。

赤ワインを注文した。

「お、今夜はピッチが早いねー。」とリンは瞳の呑みっぷりに目を細めた。

トシヤはコロナのビールを注文して一気に飲み干した。

トシヤは「レンはいつもここに来てるの?」と真顔で聞いた。リンは

「いや。ここ一か月来てへんし、おうてへん。」と正直に答えた。

喧嘩して以来。

「そっか」と安心したトシヤ。

「ワインもう一杯」と瞳は注文した。

リンは何も知らずに用意したがなんか様子がおかしい。

「なんかあった?レンと。」と瞳に聞いた。

「別に何も。レンがきたらすぐに連絡して。会いに行くから」とトシヤは瞳と自分の携帯の番号を教えた。

「わかったけど。いつくるかわからへんしな」と答えた。

「あの人達は?」後ろのガラの悪い客達をみてトシヤはリンに尋ねた。

瞳は相変わらず無口でずっと呑みながら、辺りを見回していたが、

トシヤに目くばせをした。

リンは紙に書いて彼らの素性をコースターのかわりにワイングラスの下に挟んで渡した。

瞳はそれを読んでレンを雇っている組織の名前だとわかり、仲間の1人がトイレに行くのを見計らって瞳も男子トイレに行った。

トシヤもビールを呑むピッチが早かった。

瞳はトイレの中で小型ナイフで脅し「フォーチュンは何処?レッドウルフよ。」と聞き出した。男は「知らねえよ。」と言った途端、ナイフで頬を撫でられた。

男は「本当に知らないんだ。こいつだけはいつも突然にボスに呼ばれて現れるからな」とだけ告げると瞳は頬にナイフを傷つけて血を流れるのを見てトイレを出て行った。

トシヤはその間勤めて明るく振る舞い、「そういえばアリサは元気?」と尋ねた。

リンは「ああ、もう足を洗って”ジャッキー”という台湾料理店のウェイトレスをやってんねんけどな。」と言った。

トシヤはもう二人に迷惑はかけられないと思い相談するのをあきらめた。

瞳がトイレからでてきて「もう帰る」と言って店をでた。

トシヤは慌てて勘定を支払い「あいつは割り勘にしようって言ったのに」と言って瞳の跡を追ってでていった。

リンは二人の後ろ姿をみて胸騒ぎがした。

「灰色の街」~彼女と過ごした冬~

俺はほとんど毎日のように中共と北の国の国境付近に行き、斜面の死角からスコープ

越しに亡命したきた家族を強制送還しようとする警備員を見て1人を狙撃した。

その後ため息をつきトラックに乗って香港に戻った。

とてもハードだった。

マフィアも亡命した家族に普通の人間を装って近づき、少女が一人でいるところを

みつけて誘拐した。

無理やり手紙を家族宛に書かせて(生活費を送ると言う内容のもの)、キャバクラ、

ホステス、売春宿まで斡旋した。

俺は雇い主のボスに彼女達の様子が知りたいと言ったらあるキャバクラを紹介してくれた。クラブなども。売春目的で男に近づく仕事だった。

俺はクラブやキャバクラに入って、彼女達の働きぶりをみた。

上手くやっていてこっちにきたときよりも体がふっくらとしていた。

外見も泥だらけだったのに綺麗に着飾っていて別人のようだった。

章子は悲し気に彼女達を眺めていた。

ホテルに戻り、下のレストランで章子と食事をして部屋に戻り、

彼女を抱きしめた。

彼女の体温はなぜか冷たかった。

京子を忘れたかった。

彼女のはだけた胸をみたら銃で撃たれた痕跡があった。

情事が終わった後、「ごめん、どうしても我慢できなかった」といいながら

まさかと思い背中をみたらなんと京子が撃たれた背中の痕跡もあった。

俺は驚愕した。

「お前、生きてたのか!?京子」と俺はありえない言葉を口走った。

章子は「一度は死んだ。正確にいうなら貴方が心配で戻ってきたの。貴方以外に私はみえないから気を付けて」と抱きついてきた。

これは夢ではなかった。

「京子。。。。」俺は強く彼女をしばらく抱きしめた。

数分後、我に返って彼女を突き飛ばした。

もしかして幽霊っていう奴じゃないか、これは。

「お前、成仏してなかったんか!?俺を迎えにきたのか」

章子、いや京子は「違う!貴方を助けにきたの。命があぶないから」

俺は恐怖と再会できた嬉しさと心はごちゃまぜになって頭は混乱していた。

「本当は双子はいないの。瞳とトシヤに気をつけて。もし会ったら。」

そういうと京子は消えたかと思ったら一階に瞬間移動して

また戻ってきた。

「ふぅ。幽霊は便利だわ。貴方を狙う奴がいないかみてきた。今夜は大丈夫よ。

安心して。」と笑顔で言った。

いや、安心しろって言われても幽霊と一緒にいるのに無理。

「私のこと怖い?スナイパーなのに」と京子は悲しそうに聞いてきた。

「俺霊感ないはずやし、夢かもしれへん。」これは夢なんだ、朝になればこの女は

双子の章子に戻ってると言い聞かせながら寝た。

朝目が覚めたら章子が俺の胸の上に覆いかぶさってきて俺の首筋にキスしていた。

体重は恐ろしく軽く上半身裸の彼女の背中の痕跡があらわになっていた。

「うわぁ!」俺は急いで跳ね起きた。

「何よ、今更」京子は腕組みをして微笑を浮かべていた。

「頼むから成仏してくれ。章子は何処だ!?怖くて逃げたのか?」

京子は「あれは貴方を怖がらせない為の嘘よ。章子は私。いつも行ってる台湾料理店の

店員にバレてしまったらまずいからあえて真実を語っただけ。映画のようなロマンチックな展開を期待してたのに。嬉しくないの?私はずっと会いたかった。」

「な・・・!俺もたしかに会いたいとずっと思ってた。これじゃ、仕事に支障が出るわ!幽霊と一緒に永遠に暮らせというんか」京子は「貴方が殺し屋をやめたら成仏するかも。」と京子は無理難題を押し付けてきた。

たしかに俺は京子が死んでから心が凍り付いていた。

人を殺すことをなんとも思わなくなっていた。

今回の依頼は北の国から亡命した家族を救い、2度と飢えないように衣食住を与えるかわりにマフィアは弱みにつけこんでひどいことをしてる奴らに雇われた。

いちいちそんなことを気にしていたら今の仕事ができなくなる。

この世界で生きてく為には情を捨てるしかない。

もう「Lotus」も聴いていなかった。

心を鬼にして生きると誓った。

もう誰も失いたくなかった。

「京子。。。会えて嬉しかった。でも、もう俺は以前の俺じゃないんや。忘れてくれ。

そしてあの世に戻れ」と俺は京子を銃で何発も撃った。

銃弾は京子の体が透けて数発、壁に埋まっただけだった。

彼女は笑いながら「そんなんじゃ私はいなくならないわ。

だってもう死んでるんだもの」銃声を聞いてホテルマンがドアを叩く音が聞こえた。

俺は恐怖とホテルマンに見つからないように窓から飛び降りて逃げた。

もう別のホテルに変えなきゃ。

俺はトラックに乗って国境付近へ行こうとしたら京子が「行かないで。私を1人にしないで」と黒髪を風になびかせて、目が紫色に変わった。

逆に今行ったら取り殺されるんじゃないかと思い怖くなり、とりあえず、今夜泊まる

ホテルを探した。

それから香港で有名な霊媒師も探し歩いた。

 

そのころ、瞳はある組織に雇われていて、次の依頼を受けて愕然とした。

標的はなんとレン・フォーチュンだった。

顔もやっぱり師匠として教えてくれた人物に間違いなかった。

スナイパーは標的を命令されたら、たとえ親兄弟、友人、恋人だろうと任務遂行しなければならない。

その組織はレンが邪魔だった。

国境付近の警備員と連携を保っていたからだ。

トシヤは「瞳、断れよ!お前の兄貴的存在だろ」と青くなって止めようしたが、

「ううん。殺る。場所はどこ?」と依頼主に聞いた。

やるしかない。

今までたくさんの標的を狙撃してきたがここまで心を乱されたことはなかった。

トシヤは自分もスナイパーなのを忘れて(人を愛することはできても、瞳の心は悪魔でしかない・・・?)と運命を呪い、絶望した。

蓮はどうでるだろう、瞳から逃げられるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街 シンガポール完結編2~

ロイと生き残った手下達はシンガポール当局の警察逮捕されて、身柄は

後日、日本に引き渡されることになった。

ローズとは相談役をしていたが、ここにもストリップの店があるので

働くと言っていた。

またトシヤに会いに来ると言っていたがあれ以来会っていない。

 

俺はロスに帰国してから豹は無事なのか探そうとしたが、ディーンによると自宅に帰ってきていて数日間部屋に籠ってるという。

そっとしておいたほうが今はいいだろう。

何を言っても言い訳になってしまう。

それよりも今はもう一度里緒に会って話をしようと思い、彼女の働いてるファミレスに行ったらもうやめていた。

新しい住所を引っ越しをしたらしく教えてくれた。

「サンキュー。」俺は会計係に礼を言って里緒のアパートメントへ向かった。

里緒に会うなり俺は彼女に頬をぶたれた。

「ごめん。2年間、記憶を失っててわけあってシンガポールにいたんだ。」とだけ告げたら彼女は泣いていた。

「生きてたのね。無事でよかった。。。」

部屋に入れてもらい、紅茶を入れてもらった。

俺はしばらく香港に帰ってまた仕事をするとだけ告げたら

里緒は「まだ続けるの?もうこんな仕事はやめて。私は蓮が生きていて

くれればそれでいい。」と言ってくれた。

お互いにやり直す気はなかった。

里緒はまた映画を撮ってハリウッドに挑戦すると言った。

新しいファミレスでウェイトレスをまだしていたが。

俺は「ごめん。まだやめれない。なんでだかわからへんけど。

人を殺しても罪悪感とか考えないようにしてる。

これしかないんや。冷たい人間かもしれへん。俺は」

と突き放した。

「そう。。。なら好きにすればいい。もう2度と会うことはないわね、私達。」

「ああ」しばらく二人は無言だった。

俺は「じゃぁ帰るよ。」と言って里緒に最後のキスをした。

アパートメントを出る時、もう一度ドアのほうを振り向き、里緒のことを忘れようと必死に言いきかせた。

 

俺は豹の様子を聞きにリン達のところに向かった。

彼はもう立ち直っていてPCに向かってフェニックスの情報をまとめていてトニーに報告書を書いていた。

 

俺は再出発しようとして荷物をまとめて置手紙をおいて空港へ向かった。

空港で音楽雑誌と美術雑誌を買って読んだ。

薫のことも気になったが会う気はなかった。

今度は誰かが俺の跡をつけてないか念入りにあたりを見回しながら。

そこで薫の画集の記事と滝沢さんのバンド初期の名前

「Lotus(ロウタス)」の再結成を知って嬉しく思った。

薫に子供がいるのを知ったのは画集のラストページのプロフィールを見てからだった。

いてもたってもいられずに会いにいったのはいうまでもない。

 

香港で京子と運命的な出会いをしてから一緒に「Lotus」を聴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~シンガポール・完結編1~

「出来た!」

ロイは新薬「フェニックス~不老不死~」の薬を遂に完成させた。

そして俺の部屋に薬の小瓶をたくさん並べて入れた黒いケースをもって入ってきた。

「これを飲んでみて。それからメイを始末しろ。」と命令して出て行った。

そのときだ。

どこから嗅ぎ付けたのかアリサがドアを蹴破って入ってきて俺がケースの中身を調べてる最中に瓶の全部を銃で撃ち、粉々に割った。

その衝撃で俺はすべての記憶を取り戻した。

薫や里緒との思い出。豹達を守るためにあえてRの仲間になったこと。

マヤと一緒に仕事をして賄い係やロイと彼女が肉体関係にあったこと。

俺とはいつも朝に二人で会話したりしてついに夜に一線を越えてしまったこと。

マヤはロイの仲間のふりをして危険な新薬フェニックスを米国で保管することにしていたこと。

金庫の鍵を開ける仕事やロイを狙うSPを狙撃していた日々。

アリサは「いいかげんに目を覚まして!ダイ!リンと豹ディーンもトニーも助けにきてるわよ」と叫んだ。

俺は我に返って「メイは?あいつはどこだ!?助けなきゃ。」

ユゆは新薬の一部フェニックスを入れた黒いケースを持ち出して逃げた。

メイの部屋に行き、殺されかけていたのを俺は助けて、ロイの仲間を撃ち殺し、

「早くこれを使って逃げろ!」とタイムスリップ用の腕輪を彼女に渡した。

メイは「ありがとう。もうひとつあるんだけどこれは蓮にあげる。さよなら。どこかであおうね。」と涙目になって別れの挨拶をした。

俺はメイから宝石のブレスレットをもらい、「ありがとう、またいつか会える日をまってる」というとメイは俺の頬にキスをして窓へ向かって走ったかと思うと目の前から消えた。

俺はマヤへの怒りを覚え決着をつけようと思ったがアリサが「豹が会いにいってる」というと聞いて急いで場所を聞いて走った。

もしかしたらマヤと心中するかもと危惧した。

一階ではロイの手下達とリンとトニー、ディーンが銃撃戦と殴り合いをしていた。

マヤと豹は海の浜辺にいた。

「久しぶりだな。マヤ」と豹は拳銃を彼女に向けていた。

俺は「やめろ!復讐をしても無意味なだけだ。」と叫んだ。

豹は俺にも拳銃を向けて「お前は俺の気持ちを知ってて裏切ったやろ。」と冷笑して言った。

「二人で俺を笑いものにしていた、、、違うか?」

「待て!俺も記憶を失ってて何もしらなかったんだ。ごめん。こいつとは何もなかった。」とつい嘘をついてしまった。

シンガポールでも初めて結ばれたときは嬉しかったのは否定できなかったからだ。

俺は愚かだった。

豹を笑いものにした覚えはなかった。

誘惑に負けてしまっただけ。

豹はマヤを撃とうと銃口を彼女に向けて一指し指で引き金を引こうとした時だ。

「私を殺してもかまわない。でもレンだけは撃たないで!お願い!」と叫んだ。

俺は耳を疑った。

この女は何を言ってるんだ?

豹は信じられないという気持ちとショックで顔が青覚めていた。

豹は空砲を鳴らして逃げた。

「マヤ、お前は今度は何を企んでる?まだ俺は利用価値があるのか」と今度は俺がマヤに銃を向けた。

「私を撃ってごらんなさいよ。貴方に撃てる?最初はフェニックスが目的で貴方やロイに近づいた。でも心が揺れた。これは事実よ。でも仕事に私情を挟まないのが私達の流儀なの。貴方の仕事もそうじゃないの?貴方はスナイパー失格よ」とゆっくりと俺の目を見据えて言った。

「お前は俺が記憶喪失なのを知ってて何も教えてくれなかったじゃないか」

「フェニックスの方が大事だから」と黒いケースをもってみせた。

俺はマヤを撃とうとしたが躊躇してしまった。

それもつかの間目をつむって彼女に向かって引き金を引いた。

マヤも殺して俺も死のう。

なぜかそう思い詰めた。

豹のためにも。

弾は黒いケースに当たった。

彼女は笑いながら投げキッスをして走って逃げた。

俺はその場にすわりこんだ。

「ちくしょう。」

俺は砂浜に涙を一滴零した。

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次の日、もう一人決着をつける相手がいたのでチャイナタウンの方へと向かった。

スーだ。彼女は待ち構えていたように黒いチャイナドレスをきて微笑を浮かべ、

俺に向かって銃を向けると弾が飛んできた。

俺は器用によけて、スーをスコープ越しに狙って撃った。

丁度、胸に当たった。

彼女はそれでも倒れながら「私の新記録。。。!」といいながら俺をめがけて撃ってきた。

俺はスーを哀れに思いもう一発撃った。

彼女は唇から血を流して絶命した。

死に顔はとても美しかった。

俺はリン達と帰りの飛行機の中にいた。

豹だけは別の便でLAに帰ったそうだ。

リン達に俺は謝った。

「ごめん。俺、お前らの事。。。」といおうとしたがトニーが止めた。

「この世界ではよくあることだ。あまり愛着を他人に持つと危険とリスクを伴う。

俺達みたいにな」と笑ってみせた。

俺は冷血なスナイパーにはなれそうもない。

LAの空港に着くと瞳とトシヤが出迎えてくれていた。

瞳は「ばかね」と言って俺にだきついて涙をみせた。

トシヤは「お帰り、蓮」と笑顔をみせた。

俺は胸がいっぱいになった。