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薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~彼女と過ごした180日間~

帰りに京子に瓜二つの女性に出会い混乱した。

「京子!と思わず名前を呼んだ。

彼女は笑みを優しく浮かべて「私は章子(しょうこ)よ。京子とは双子の姉。

よく電話や携帯メールで貴方のこと聞いたわ。双子のせいか男性の好みまで似てるみたいね。」と言って俺に抱きついてきた。

俺は彼女を受け入れ、最近長く滞在しているホテルに一緒に入って泊めることになってしまった。

その後、章子と一緒に「フェイ」という名前のBARに入って二人でカウンターに座った。

ウェイターの顔を見たらリンだったのでお互いに驚いた。

「お前、ここで何してるんや」と俺は問いただした。

リンも「お前こそ久しぶりにやな。ずっと気になってたんや。とうしてたか。」と目を丸くして逆に質問攻めにあった。

俺たち二人はお互いにここ一年の近況を語り合った。

瞳達がどうしてるか彼も知らなかった。

リンはなぜか俺の隣にいる章子のことを誰なのか聞かなかった。

俺も出会ったばかりの女性だったので気恥ずかしくて紹介するほどまだ親しくなかったのであえて何も答えなかった。

章子は何も注文せずに黙ってうつむいてきながら俺たちの話を静かに聞いていた。

「そうか。色々と大変やったな。お前も。俺も色々あったしな。せやけど少女売春斡旋は不味いやろ。犯罪や。それにあの娘らが可哀相やと思わへんの?」とまたリンは偽善者ぶって綺麗事を言って俺を責めた。

こいつは昔からそうだ。

いつも偽善者ぶる。

自分もカタギじゃなかっくせに。

俺は「せやけど俺はあくまでも強制送還する奴を狙撃するだけやで。あとは俺のボスの仲間が店を彼女らに紹介するだけや。俺は狙撃以外のことはせえへんから関係あらへん。生活費の為や。」とリンを見据えて言った。

リンはあきらめたようにため息をついた。

「ほな、勝手にせい。俺はただ、お前のことも心配なだけやからいうただけや」

と、ガラにもないことを言われた。

「俺は一度死にかけたから怖いもんは何もあらへん。アリサによろしく。ほな、さいなら」と一言だけ告げて「フェイ」を出た。

アリサの勤めている高級台湾料理店に行ったが彼女は非番らしく見かけなかった。

俺は章子と二人で食事した。

「ここの料理えらい旨いな」と章子に話しかけた。

章子も食べておいしそうにうなずいた。

ウェイトレス達は楽しそうに会話してる俺達をみておびえているようだった。

やはりカタギじゃないのバレたかな。

会計を二人分支払い、店を出た。

ウェイトレス達は「あのお客さん、独り言をいいながら食べてたわ。」「意外と大食いなのね」とひそひそ声で話していた。

 

 

 

 

 

灰色の街~彼女と過ごした121時間~

http://ravianrosex.hatenadiary.com/entry/2016/09/09/125501

(「シンガポールに来た招かれざる客」の続き)

香港に再び戻ってきて約一年が過ぎた。

立花が去った後、2011年になろうとしていた。

俺のことがなんと日本の正月スペシャル番組で全国放送で

元FBIの人間とリモートビューイングと霊視ができるサイキックがゲスト出演したので未解決事件の特集が組まれたとインターネットの動画サイトであとで知り辟易した。

俺のことが30年前の神戸の華僑のチャイナタウンで起きた、

やくざと香港マフィアの抗争に巻き込まれた一家殺害事件として

ていた。

当時は一人生き残った少年蓮(れん)君が神隠しに遭うと東京スポーツ新聞を始めとした全国の新聞に載っていたらしい。

警察が俺の死体と生存確認の為に捜査したらしいが当然国内で見つからず、未解決事件としてお蔵入りになりファイルされていた。

彼らの霊視や調査はTVだけあって全く的外れな捜査や発言で俺にはいかにも胡散臭い内容にしか感じなかった。

だが、何者かに連れ去られ、今でも生きているとだけは当たっていた。

俺が助けを求めてるという声をサイキックは聞いたらしいがそんなことを言った覚えはない。

殺し屋をしている以上はなんども死にかけたが。

(このおっさん割りと誰でも思いつきそうなことばかりいうてはるわ。まぁ一応視聴者は面白がるやろな)

少し不愉快な気分になってハイボールを煽った。

サイトのコメント欄には信じる派と信じない派と真っ二つに分かれていて興味深かった。

別に助けてほしいとも見つけてほしいとも思わない。

あの行方不明の少年が今は殺し屋になってるなんて誰が想像するだろう。

事実は小説よりも奇なり、だ。

俺はまた別の組織の香港マフィアに雇われた。

このボスは少し変わり者で北の国から中国に逃げてきた美少女

を売春宿に送る為に北の国に強制送還させようとする大陸の人間を全員殺すか、他のマフィア達も狙ってるだろうからそいつらも殺れと命令された。

お金は大金で400万ドル報酬としてやるといわれた。

俺は俄然やる気になった。

彼女達は食べ物と衣類と生活費がでるといえばついてくるだろう。

その仕事は俺じゃなくそのマフィア達の仕事になってるから

俺は強制送還する奴を狙撃するだけでいい。

トシヤと瞳も今年からリン達を探して香港に来て瞳はスナイパー、トシヤは見張り役と瞳に報復行為をしようとする奴に

インク入りの万年筆や鉛筆で刺して追い返していた。

トシヤはいつのまにか女装が趣味になっていて仕事のときに活用した。

再会した時はよく似合っていて爆笑した。

どこのマフィアに雇われてたのか知らず、

中々会う機会がなかった。

俺は初仕事で北の国と中国の国境に行き、強制送還する奴を

一人狙撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~リベンジ~

6年前、京子が死んで葬儀がすんだ数日後に俺は九龍(クーロン・カオルーン)という場所で謎のイタリアン・マフィアのボス立花(立花)という男に出会った。

彼には数人の白人美女の取り巻きが数人いて、秘書という名目のデイジーというイタリア人女性と暮らしていた。

彼は推定50歳だというのにとても若くみえた。

香港にイタリアマフィアの裏切り者が逃げてきたので探しに来たといっていた。

彼は俺の評判を聞いて、京子を殺した男を知ってるといってきたので「オードリー」というワイン専門のイタリアンレストランで待ち合わせをした。

話を聞いたら俺を雇っていた組織の奴らだった。

俺の代わりに殺した男だった。

俺は立花から名前を聞いてすぐに顔を思い出した。

怒りと憎しみが俺の心を襲った。

「どうする?」といわれた。

俺は早速お礼を言って店をでようとしたら「今度は俺の下で仕事をしないか。ここが気に入った。裏切り者は俺の隠し持ってる財産を持ち逃げしたんだ。人手不足でね。

あいつを捕まえて財産を取り戻すまでだけでもいい。お前を気に入った。

いい顔してるよ。あんたは」と屈託のない笑顔でいわれた。

俺は話をしているうちに彼に魅力を感じた。

舎弟が一人いた。イタリアのローマではコーディネートをして手下たちに慕われていた。本名を聞いたが「立花X」といった。

日系人らしいがなぜ今までローマに住んでたのかは教えてもらえなかった。

逆らったら殺されるんじゃないかと思い、引き受けてしまった。

英語とイタリア語と日本語を流暢に話す男だった。

俺はそいつをボスと呼ぶことにした。

早速殺した相手が泊まってるホテルを教えてもらい、あるビルの屋上から窓ガラスごしに銃を持ち、映った奴がホテルのプールで酒を飲んでるところを狙い、狙撃した。

プールの水は血に染まり、仇は即死した。

立花は俺を気に入り、結局彼の下で半年仕事をすることになった。

「オードリー」という店は地下にクラブがあり若者たちが踊る娯楽の場所でも

あった。

クァンとはあれ以来会ってなかった。

どこかでのたれ死んでるだろうと思った。

立花は行きつけの店「フェイ」というBARを気に入っていたが、

よくデイジーと二人でデートをそこでしていたので俺も含めた手下たちは一度も連れていってもらえなかった。

俺はその店に行く暇はなかった。

まさかそこでリンがウェイターをしているとはずっと知らなかった。

立花がウェイターのリンのなじみ客になり、ロマネコンティをボトルキープしていた。

アリサのいる台湾高級料理店にも俺は一度も行かなかった。

立花とリンは打ち解けてよく話しをするようになっていた。

コーディネート役の舎弟も時々行っていたらしい。

俺は立花Xによく「オードリー」でシャンパンもたくさん呑まされたがなかなか酔えなかった。

その店以外の香港の居酒屋ではすべての酒を飲みつくし、出入り禁止になったほどだ。

彼は裏切り者がいそうなホテルやクラブを探して、俺に匿っている奴を全員殺すように命じた。

俺は仲間らしい奴を次々と殺し、居場所を聞いたがまだ見つからなかった。

顔と名前は聞いてたのでいそうな場所をしらみつぶしに探した。

敵も必死で立花Xの命を狙っていたので刺客がよく俺のところにきて殺そうとした。

俺はそいつを容赦なく銃で殺した。

一人、300万ドルの報酬をもらった。

オードリーには猫が一匹住みついて、店主が面倒をみていたので俺もその猫を可愛がった。

猫をかわいがっているときだけ心が癒された。

当時の俺はアレックスと名乗っていて、縮めて「アレン」と立花やその仲間に呼ばれていた。

「裏切り者」はしぶとくて、立花の手下を何人も殺されたので、俺は居場所を突き止めることが困難だった。

そいつの仲間は俺のことも恐れていた。

裏切り者の居場所を運よく突き止めて場所へ向かったりもしたが、必ず守る香港の殺し屋が俺を殺しにきて銃撃戦になり、殺し屋を殺して奴のいる場所へ向かったがいつも

逃げたあとだったので悔しい思いをした。

立花に合わせる顔がなかったが、それでも俺の業績をねぎらってくれてよくオードリーで酒と食事をおごってもらった。

酔った立花に酒をたくさん勧められて、トイレで吐いてしまったこともある。

よく手下たちと呑み比べをさせられた。

立花はその光景を笑ってみていた。

若いころはよくマフィア同士で殴り合いもローマでしたらしい。

舎弟から武勇伝を聞かされた。

その関係は約半年くらい続いた。

とうとう俺はその裏切り者がみつけて、お互いに銃を撃ち合ったがなかなか弾が当たらなかった。

弾がきれたとき、俺は近くにあった棒で殴り、向こうはナイフを持ってたので刺された。

俺はナイフを逆に奪い、刺し殺した。

ふらふらしながら、オードリーに寄り、マスターに医者を呼んでもらい、

アルコールで怪我の手当てをしてもらい、命だけは助かった。

立花は俺に500万ドルを報酬としてくれた。

立花は復讐を果たし、財産も取り戻してローマに帰国した。

そのときに「一緒にこないか。お前とまた一緒に仕事がしたい」といわれたが、

俺は京子のいる香港を去りたくなかったので断った。

立花は「今度ローマに遊びにこいよ。案内してやるよ。いいコーディネーターもいるしね」といって高飛びした。

今でもあいつは生きてるだろうか。

高美のボディガードをしながらそんなことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~温泉宿の刺客~

2014年、ちょうど俺達が東京にきて2年がたった頃だ。

俺は6年前からストイックに殺し屋の仕事を黙々とこなし、その筋のプロからは外見

だけでも殺気を感じるといわれるほどになった。

新宿や横浜を主に暗躍し、政治家や経済、その他もろもろのHPに寄せられた、生きてる価値のないと思う標的を選び依頼主から多額の大金を報酬にもらって暮らした。

日本は法治国家だから世界一楽で平穏な仕事しかこないと思っていたが甘かった。

闇社会は思い切り暗く、連日の報道はナイフを使った殺人ニュースで溢れていた。

まだ銃社会じゃないからマシだが、軍隊は自衛隊という名前で誰も真実を知らない平和ボケの奴らが多かった。

震災後の原発事故や政権交代、被災地での強姦や強盗も多くて俺達のHPに殺しの依頼が殺到していることに驚きを禁じえなかった。

それでも、まだ水が飲めるだけマシだった。

店員の対応も素晴らしく、建物も香港と違い、頑丈にできていて安心できた。

ひきこもりやニートという言葉も初耳だった。

無職の殺人ニュースも目立つ。

そんなエネルギーがあるなら就活しろと俺は思い、携帯でトニーさんに「こいつら全員スナイパー予備軍にせぇへん?見込みありそうな奴多そうやで」とジョークを飛ばしたほどだ。

銃社会じゃないのでナイフでの刺殺が多く射撃場の数は限られていた。

トニーは呆れて「ほんなら拉致して米軍の軍事訓練に行かしたほうがまだマシやろ」と笑われた。

豹の作った殺しの代行HPもニートからの依頼が多かった。

お金もないくせに。

その中で本当の殺人依頼もあるから人間は怖い。

そんな中、松田友美や智宏との出会いがあった。

そして西村がそのときに選んだのが政権交代で幅を利かせていたある政治家のSP的存在の右翼の暴力団で一番やばそうな3人を殺してほしいとの左翼団体の活動家からの殺害依頼が舞い込んできた。

西村はそれをチョイスして、俺達に一人ずつ殺すようにと提案してきた。

俺は香港で上海で起きた愛国的な民衆による抗日運動の日本店襲撃事件をTVでみたり、

アメリカの愛国的な国歌をよく歌う奴らを実際みてきたのでかなり戸惑った。

この国では国歌を学校で教師が歌わなかったりかなり信じられないニュースなどが報じられている。

アメリカや香港やシンガポールではそんな教師はクビにされるがこの国では逆だ。

しかし、依頼主が在日の韓国人と知って納得した。

ここでも民族どうしの争いがあるのか。

リンは否定していたが。

「日本人はみんな韓国大好きやで。タクヤをみてみぃ。好かれとるやん」とアリサや俺にむきになって言った。

アリサもフランス国歌はフランス人が大好きなのでなぜ日本人が国歌を歌わないのか疑問だった。

瞳もそこだけさすがに疑問を持ったようだった。

リンは「日本は戦時中は軍国主義君が代はその象徴だからや」と説明した。

俺はそれならなぜ国歌を新しく作らないのかとリンに質問したら「そんなん知らん。

天皇の圧力ちゃうの」と言葉を濁した。

たぶん台湾と一緒なのだろうと俺は思った。

香港と上海は一国2制度なので言葉も違う。

それと一緒だろうと思った。

俺は育ててくれた家族の影響で大陸の人間を田舎者扱いしていた。

野蛮でどうしようもない奴ら。

香港は独立すべきと勝手に思っている。

広東語が俺のもうひとつの母国語や。

闇社会だけしか知らない俺はあまり新聞も読まなかった。

ところで狙撃場所はどこかと思ってたら別府温泉街にある桜屋旅館に決まった。

来週あの3人は温泉に宿泊予定だ。

豹がハッキングして調べた。

奴らのサイトがあったから。

たしか「宇野翠会」という団体だった。

なんだか、陰謀論にでてきそうな名前だった。

俺は別府の真っ赤な血の池地獄温泉のチラシをみて、「ええなぁ。一度いってみたかったんや。松田友美さんと温泉デートといきますかいな、誘って。」と楽し気につぶやいた。

アリサは「あんた今まで禁欲してたんじゃないの。それに正体バレたらまずいって」と

軽蔑のまなざしで俺を責めた。

豹は「あの旅館の向かい側の旅館に泊まれ。紅屋(べにや)旅館な。血の池地獄温泉は日帰りで入ってきたらええ、紅屋は個室温泉もあるさかい。」と不敵な笑みを浮かべて命令口調で言った。

俺は「でも、向かいの旅館は入れ墨お断りちゃうの?リンとか俺とかまずいで。それに瞳は女湯と男湯どっち入るんや」と笑いをこらえて聞いた。

瞳はすかさず「個室温泉」とパンフレットまで用意して答えた。

「俺なら血の池地獄余裕でOKだね。彫ってないし」と余裕の笑顔をみせて俺達3人をちらりとみて楽しそうにパンフを眺めながら言った。

俺は頭にきてふと瞳に目をやったら、あいつは無言だったが怒りで体を小さく震わせていたので吹き出しそうになった。

よほど絶景の夕焼けが見える露天風呂に行きたいのだろう。

俺は瞳に「一応、遊びに行くんちゃうからな。あくまで仕事やから。忘れんといてや」と念を押した。

瞳は素直にうなずいた。

タクヤは病み上がりなので瞳の仕事の見張り役をやることになった。

アリサはリンの狙撃の見張り役。

俺は単独犯、のつもりだったが豹が見張り役をすることになった。

やはり友美を誘ったが断られた。

「今それどころじゃないの。また今度ね。」とそっけなくスマホを切られた。

いよいよ、狙撃の当日。

「宇野翠会」御一行様が桜屋旅館に宿泊した。

俺達は向かい側の「紅屋」旅館に宿泊した。

早速俺は血の池地獄の温泉を満喫した。

女将に俺はすごんで「なんであかんねん!俺ら海外からはるばるきたんやで」

と今度は中国のパスポートをみせたら急に態度が変わって男湯に案内された。

瞳は、だいたんにもアリサと仲良く女湯に入った。

豊胸手術と下半身の性転換手術をいつのまにかしていてちゃっかり裏声を出した女性と間違われていた。

露天風呂の中でリンは俺に「残念やったな、混浴やのうて」と言った。

俺も「ほんまやぁ。目の保養になったんに。瞳とは入りたないけどな」とわざとタクヤを見て言った。

「なんだよ、俺だってあいつとはいやだってば」と奥へと行ってしまった。

そのとき「きゃー。誰か死んでる!死体!」という悲鳴が女湯から聞こえてきたので

急いでリンと全裸のまま女湯に走ってしまった。

タクヤは「あの姿、瞳にみせたら喜ぶよね。。。」といいながら後に続いて

腰にタオルを巻いて脱衣所に行った。

俺とリンは慌てて女湯にタオルも巻かずに行ってしまい、

また女性客から悲鳴あがり、俺達は我に返って顔から火がでそうになってタオルを取りに男湯の脱衣所にもどった。

タクヤは男湯の脱衣所で様子を伺っていた。

たぶん、瞳やアリサを狙った刺客かもしれない。

俺達は自分達を狙った刺客だったらそいつらもまとめて撃とうということにした。

豹は一人びびっていた。

夕食も美味しくいただき、いよいよ決行の夜がきた。

俺達はこっそり、隣の桜屋に泊まっていた豹に客間を教えてもらい、

俺は寝ている右翼団体のヤクザを一人掛布団を狙い、撃ち殺した。

足音も立てずに急いで紅屋にもどってきて何事もなかったように布団を敷いて寝た。

酔わない程度にビール瓶1本を呑んでから。

豹は俺を見張りつつ、「さすが」とささやいた。

リンはアリサが見守る中枕を首に置き、音を立てないように銃で撃ち殺した。

紅屋にもどってきて何事もなかったように眠った。

瞳もタクヤがあたりを見張ってる隙にナイフで胸を突き刺し、桜屋をあとにした。

次の日の早朝、俺達は殺された死体を野次馬に混じって見学しに行ったら、地元警察がきていたので、刺客は刑事に任せることにして隣の旅館にもどりもう一度朝風呂に

浸かり、朝食をとって、旅館をあとにした。

昨日も俺は熟睡できなかった。

それは2年たった今も続いている。

日本のカラオケは一度しか行ったことがない。

そんな余裕はなかった。

東京から九州までの強行スケジュールだった。

後日、TVやネットでニュースをみたら大分の温泉殺人は俺達の殺した相手までその女性客を殺した連続殺人事件との地元警察がみており、犯人はまだ捕まってないようだった。

結局刺客だったのか単なる地元人の犯行だったのかわからない。

しかし、俺のポストに封筒が一通届いた。

封を開けたら「裏切者」と一行だけ書かれた手紙が入っていた。

差出人も住所も不明。

誰なのかいまだに検討がつかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~妄想彼女~

友也と薫は薫の弟のクラスメイトがバーテンダーをやっている冬子さんと一回りも年齢が離れてるのに付き合ってるということで好奇心でこのレストランに高校時代にデートで行ったのだった。

未成年だからお酒を注文してもたしなめられた友也はすねていた。

俺はその事実に衝撃を受けたが薫の当時の人脈の広さに驚いた。

今冬子は、同じ年齢くらいの出版関係の編集者とつきあってるそうだ。

薫と冬子は再会して当時の思い出話に花を咲かせていた。

ヨシキがここでバイトをしたこともあるので彼の話題でもりあがった。

ヨシキはよく薫の高校に友也に会いに昼休みの間だけ制服を友也に借りて

遊びにきたり友也のバンドの練習スタジオにも隣のスタジオで練習してて休憩時間にも遊びにきたりしてたのでどんだけ俺のこと好きなんだかと友也は薫に自慢してたが

ヨシキは「沙耶さんのことを知りたくて遊びにいってたの!」と薫には言い訳をしていた。

友也と薫が再会したのは、レインが3歳ごろだったので蓮が香港に戻ったあとだった。

ちょうどNYのファッションショーの写真を撮りにきた頃だった。

子どもがいたので結婚してると思ったらしいがシングルマザーだと知ると

「また悪い男に騙されてすてられたのかよ」とわざと意地悪をした。

実際昔はプレゼントに「これ俺の気持ち」と言って友也の愛用してたエタニティの香水をプレゼントされたり、お揃いでつけたらなぜか「学校でつけるなよ、バレちゃまずいだろ。」と逆キレされたり、ツンデレだった。

しかも「お前を抱けるのは俺だけ」と殺し文句までいわれたそうだ。

バンドのメンバーには「物好き」と友也はからかわれたが無視して付き合いつづけた。

再会した友也は相変わらず最近の仕事の話や音楽の話しかしなかったがクロムハーツの再結成の話で盛り上がり、昔の恋人同志のような気持ちになった。

ちょうど北米ツアーをやってたので一緒に観に行った。

子どもを千秋達に預けて。

その夜に久しぶりにお互いに酔った勢いで朝まで過ごしてしまった。

「俺、沙耶とは別れたから。あいつは結婚したよ。」と一言だけ言った。

薫と別れた原因は沙耶と関係が復活したからだった。

薫はひどく当時は傷ついた。

結局二人は元サヤにもどり、再び交際が始まった。

もう一人前の新米カメラマンとして駆け出しだったが薫の画集は褒めてくれた。

ちゃんと買ってみてくれていた。

結婚は出来婚だった。

でも指輪をもらった時はさすがに嬉しかった。

レインの父親のことはスナイパーとだけいって名前はいわなかったそうだ。

男女の双子が生まれて名前は美雨(みう)と秀人(ひでと)にした。

やたら雨にこだわるなぁと思ったらクロムの曲からつけたのだった。

薫は蓮に別れを告げて、レインと一緒に帰った。

1人取り残された俺は冬子さんが綺麗だったので、

カウンターに一人座って飲み物を頼んだ。

「ビール一杯。」冬子には「貴方、いかにもカタギじゃないって感じね。」と

いわれた。

「あ、わかった?俺スナイパーの商売やってんだ。なんか用事あったらいって。」と

名刺を出そうとしたら冬子は笑って「何それ。映画の観すぎ」と軽くあしらわれた。

どうやら日本には殺し屋なんかいるはずがないと思い込んでるらしい。

俺は「バレたか。本業はスカウトマン。あんた美人だし俺の店こない?

売れっ子の嬢になれるよ」と軽い口調で言った。

「あいにくだけど、この仕事気に入ってるの。他当たってくれない?

フミちゃんのスナックとか」と他の店をなぜか紹介された。

「何それ?よりどりの売れそうな美人がよく飲みにくるのか」と逆に質問した。

「ええ。横田基地の近くにあるの。貴方みたいな流れ者がよく寄る呑み屋よ。

私も仕事帰りによく飲みに行くの。彼氏とね。おばあちゃんがママさんだけど

とても面白い人で米兵にもモテるのよ」と言った。

ベースキャンプの近くのスナックか。米兵といえばトニーさん思い出すなぁ。

俺は物思いにふけった。

店の名刺までもらった。

「スナックFUMI」か。今度寄ってみようかな。

俺はそのころにはもう高美と別れるつもりでいた。

もう自分に嘘をつくのにも疲れた。

自分の気持ちをごまかせなかった。

高美は完全にたかひろに夢中になり、マジでセレブ婚をすると夢みて

俺がいるのにモーションを積極的に彼にしていた。

あいつの本心は測りかねたが、どうも京也があいつに一番似合うような気がした。

俺は健の自伝を読んだリンのことを思い出した。

「ノイズになってしまった転校生の部分がおもろいで。お前も俺も所詮ノイズなスナイパーになってもうたな」と自嘲気味にいっていた。

俺達は健たちや滝沢さんや高美達とは真逆の闇社会にいる。

カタギにはもう戻れない。

俺はもう滝沢さんのサウンドを聴いても更生しようとか思えなかった。

むしろ必要ないとすら思っていた。

リク達と俺らは違う人種なんや。

瞳もSHINやリサと過ごして同じことを痛感したようだ。

覚醒不能な人生。

生まれつきの性分だと俺は自分を分析した。

たとえ今、家族が生きていてもいずれはこの裏社会選んでいただろう。

俺達5人はそれぞれ家庭にも普通の社会にも居場所を見つけることができなかったのだ。

この闇の社会にしか居場所がない。

俺はまた独り身かー。

ビール2杯目を呑んで冬子さんからFUMIちゃんというおばあちゃんについて

聞いてみた。

自分の今の恋の話までしてしまった。

冬子は「それもひとつの立派な恋よ。いいじゃない。私は彼女みたいな人は嫌いだけどね」とはっきり言った。

俺はその男前な性格が気に入った。

冬子は彼女というよりも同性の友人として気が合いそうな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~サイドストーリー5~クロムラヴァーズ~

松本友也は薫と出会うまで禁断の恋愛の苦い思い出を背負っていた。

両親を交通事故でなくし、父の弟になる叔父夫婦にひきとられて、

姉の沙耶(さや)とその弟と兄弟同然に育てられた。

中学に入るまでは自分の両親と血が繋がってると思っていた。

従姉とは知らずに姉を慕っていた。

しかし、叔父から父の遺品のカメラをプレゼントされて

カメラで写真を撮るのが昔から好きだったり、なぜか優しい両親と兄弟だったのに

居場所がないような気がしていた。

中学に入りたての頃になぜか家族と血が繋がってないと思い込み

母親がわりの叔母に「本当におふくろと親子なのか!?臍の緒をみせろ!」と

おもいつめて問いただしたことがある。

叔母は困り果てたようにして友也の臍の緒をみせた。

美也が遺した形見だった。

友也は安心したが、実の両親の友明がなくなって15周年を迎えたときに

マスコミが友也が横浜に住んでると週刊誌で記事にした。

実名はなかったがまるで自分のことじゃないかと直感で感じた。

姉の沙耶は真実を知っていたのでずっと友也を弟のようにかわいがっていたが、

15歳になった頃友也を愛し始めてる自分に気づいた。

友也は戸籍を調べてみようかと思いつめていた。

友也も姉の沙耶に恋していた。

友明のことはおじさんとずっと友也は思っていたが親しみを感じた。

美也にも。

沙耶と友也は家族がいない二人きりになったときに関係をもってしまった。

ルイが生きてた頃クロムハーツはまだ現役だったので、

よく友明の甥っ子扱いでライブに行くたびに打ち上げにでれて、

ルイ達と話すことができた。

ルイは写真を撮るのが趣味という友也に対して酔った口調で「お前はバンドマンじゃなくてカメラマンになれ。友明さんにはクロムの前のバンドやってた頃に写真を一度だけ撮ってもらったことがあるんだよ。死んだときはショックだった。」と語った。

友也はクロムやルナをよく聴いていてギターもつま弾いていたので心外だった。

しかし綺麗な夕焼けや風景を撮るのも好きだった。

打ち上げ写真の模様も撮ったりした。

それは部屋に保管している。

コスプレチームのファンにもお願いされてドーム会場でよく撮った。

ネガはあとで送った。

薫もそのころにコスプレチームを組んでいた。

ある日、沙耶との関係が両親にばれて、高校に入学するころに二人の仲は引き裂かれてしまった。入学をきっかけに一人暮らしを余儀なくされて戸籍標本を引っ越すのに必要な書類をとりに行った際にみせてもらった。

友也は叔父夫婦に生まれたばかりに引き取られていることを

知りやっぱりと思ったが実の父母の名前をみて衝撃を受けた。

母、美也、父、友明と書かれていた。

一瞬眩暈を覚えた。

そのことを叔父夫婦や弟にはいわなかった。

沙耶だけに伝えた。

従姉同志だから結婚できると。

沙耶はすでに知っていた。

もう終わりにしようといわれてショックだった。

友明の遺産は全部友也名義になっていてバイトする必要もなく家賃はタダ同然だったが、それもしゃくにさわったのでファミレスでバンドの練習が終わった頃に深夜まで働いた。

放課後は写真部に入っていたのにも関わらず幽霊部員だった。

顧問の先生が友明の大ファンで友也の才能を認めていたからだった。

だが友也はバンドでギターを弾くのが好きだった。

とにかく親父のジュニアと呼ばれることをすごく嫌った。

女遊びを覚えたのもこのころだった。

友也はすごく荒れていた。

美人の女性しか相手にせず、煙草や酒を覚えたのもこのころ。

ピンクの髪に染めたのもこのころだった。

そのころ、沢田アキラや隣町の高校のヨシキと出会ってバンド仲間になって一緒に

ライブハウスで打ち上げでクロムの真似でよく酒を呑んだ。

ヨシキはカノンびいきで金髪で髪を伸ばしていた。

アキラはSEIJIびいき。

3人はよく悪さをして遊んだ。

ヨシキは週末は族の集会にでていた。

そして高2になったころ、友也と同じ年のヨシキは沙耶に片想いをしてしまった。

沙耶は一年ぶりに友也のアパートに訪れて中学時代のことを謝り、普通の姉弟にもどりたいと言ってきたのでそのとうりにした。

よく朝食や夕食を作っては大学生になったので冷蔵庫に入れてコンパなどで派手に遊んでるようだった。

もちろんそのころにはお互いに冷めていて、一緒に食事をしても何もおこらなかった。

高2の6月ごろ、入学したてだというのにアキラはヨシキと同じ高校だったのに

校舎の窓ガラスを割ってしまい、退学になり友也の高校に転校生としてやってきた。

それも薫のクラスに。みんなは当然怖がっていた。

薫は当時いじめられっこだったがアキラに「お前、負けんなよ。外見から変わればいい。やられたらやりかえせ」とアドバイスされて何を思ったのか、次の日なんと薫は薄化粧に金髪という外見で登校した。友也は既に薫に恋してたので仰天した。

クラスメイトのいじめっこたちはビビッてそれいらい薫にちょっかいをださなくなった。それまで薫は彼女達にパシリをさせられていた。

アキラに彼女達は「てめえらいい加減にしろ!」と腕をつかまれ睨んですごんでみせた。彼女達は「な、なによ松本先輩といい沢田くんまで如月びいき?」と恐怖に顔をひきつらせていた。

茜も「やるじゃん、沢田くん。薫まるでカノンみたい。」と髪型を褒めた。

友也はそれまでハラハラしながら薫を見守っていたが一緒にパシリをさせられた時に

つきあうとかそれしかできなかった自分に悔しさを覚えた。

何もできなかった自分に。沢田に嫉妬すら覚えた。

友也は「ぷっなんだよ、その髪と化粧」とからかったが髪をさわったりあくまでも沢田の友人として接した。

アキラにも「お前入学したてなのになんで俺んとこにきてんだよ」とびっくりした。

友也は薫会いたさに沢田に用事があるふりをしてよく薫のクラスに休み時間にきた。

秋ごろまでに茜とアキラはライブハウスなどで出会い急接近した。

友也はその間、薫相手に悶々としていた。

友也は薫が自分と同じルイファンだと知ると「なんで俺と同じ趣味なんだよ」と文句を言っていた。

しかし手紙をもらってから清水寺から飛び込む気持ちで「今度原宿のマスカレードショップにいかない?」と夜に電話をしてデートの約束までこじつけた。

薫はすごく嬉しくてそれまで使っていなかったラルムの香水をつけてでかけた。

何を着て行こうか迷ったが、結局白レースのワンピースにした。

友也は案の定、ガーゼシャツにジーンズだった。

どうみても美男と野獣といった感じでじろじろみられてる気がして友也は恥ずかしがった。

同じ高校の奴らと会わなかったのが救いだった。

薫も初デートで緊張した。

 

 

 

 

 

 

 

灰色の街~サイドストーリー4~

如月薫は数年ぶりに蓮と再会し、彼とレインと会わせた。

蓮はレインをしゃがんで抱きしめた。

レインはきょとんとしていが、薫は「このお兄ちゃんは子供好きなのよ。」と笑顔で

取り繕った。

薫が高校時代によく通っていた喫茶店で。

まだ、店長の冬子(とうこ)さんは健在でいい年のとりかたをしていた。

そこでの思い出を薫は語った。

薫は実はそのレストランでよく松本友也とデートをしていた。

海の浜辺で泳いでるレインを二人でみつめながら、高校時代の思い出を話した。

最初友也は学校一のハンサムですごく人気があった。

あのルイにそっくりなルックスとピンクの髪。

よく学校側が許したと思ったら彼は松本友明のジュニアで有名だった。

薫はといえば、当時は学校一のブスとして男子の間で有名だった。

母親がピアニストだったからだ。

薫は当時入学したばかりで性格美人だったので友也のクラスメイトから注目を浴びていた。

薫が友也の元カノの本を返してもらいに教室に行ったときだった。

薫は友也にすてられたクラスメイトに同情していて女たらしで評判悪かったので

「先輩みたいな女とっかえひっかえする人だいっきらーい」といってあげた。

友也は怒って「俺もお前みたいな容姿コンプの女なんかだいっきらーい」と言い返された。

それで終わったが友也のクラスメイトの男子がざわざわした。

「うわー、俺なら如月にそこまでいわれたら自殺するレベル」

「友也、大丈夫か?しっかりしろ」と慰められたらしい。

友也自身はひきつった表情で「なーに、負け惜しみだろ。俺に相手にされないの

わかってるから、身の程わきまえてんだよ。くくく」と平静を装っていた。

しかも薫は当時レイラというバンギャネームでライブハウス通いをしていた。

ビジュアルメイクをしていたので友也のライブに行っても彼は可愛いなレイラちゃんと思ってただけでまさか薫だとは知らなかった。

そんな二人がなぜ付き合ったのか人生はわからない。

きっかけはライブハウスじゃなかった。

友也は美術室の向かいの廊下で薫の貼られてる絵にみとれてたら、友也のクラスメイトの森下かすみに「これ如月さんが描いたのよ。気に入った?」と聞かれ、彼はすごくうろたえた。

「別に。天は2物を与えずって思っただけ。」とぷいと横を向いて放課後だったので帰った。かすみは「なんで男はみんな外見で判断するのかしら」とため息をついた。

かすみは普通より美人だったのでモテた。薫と不倫していた美術教師が6月に不倫疑惑が発覚して転任して新しい不細工の教師がきて美術部の顧問になった頃だった。

友也は高校入学してから高2の6月ごろまで、毎日女をとっかえひっかえしていて一緒に連れて帰る女性は日替わりメニューで一人暮らしなのをいいことにアパートに連れ込んでは一度寝ただけで別れるという最低な生活をしていた。

薫と当時親友だった山田茜(あかね)はそんな友也をみて最初は二人で最低と悪口をいいあっていて話の種にして楽しんでたが、女性と二人連れの友也の目は笑顔でも女性といるのに笑っていなかった。

時折淋しそうな目をしてるのを見逃さなかった。

「先輩・・・淋しそうな目をしてる・・」と薫はつぶやいた。

茜は「え?松本先輩が何?」と聞かれたが「なんでもない」と答えた。

友也のほうはまた春の放課後、薫をみかけて「げっ如月薫。目を合わせないようにしよ。」

とそそくさと帰ろうとしてふと薫をみたら、散った桜の花びら拾い「綺麗」とうっとりとみとれていた。

その表情をみた瞬間、友也はなんと薫に恋をしてしまった。

それ以来、美人にみえた。

あばたもえくぼだ。

かすみに気持ちがばれて他所の高校のバンド仲間にはよくのろけてたが、クラスメイトの前では嫌いなふりをしていた。

かすみは友也の唯一の女友達。寝たこともなかった。

彼氏がいたからだ。

クロムの宏夢似だった。

かすみは「不毛な片想いね」といった。

「俺はあいつとは両想いだとしても寝る気もないし付き合う気もない。一緒に連れて歩けるかよ」と

言っていた。まだ10代の若者なので全員幼すぎた。

ある日、薫は偶然同じ電車で友也と一緒になり立って隣にいたが妊婦に席を譲ったときに「如月、お前って優しいな」と笑顔で友也にみつめられていわれたとき、胸がときめいてしまった。

それ以来、友也のことが頭を離れなくなった。

秋ごろ、思い切ってラブレターを下駄箱に入れた。

当然、友也はみんなの前では「あとで捨てておこう」と興味のないふりをしたが

しっかり持ち帰り、当時の彼女と一緒に封を開けて途中まで読み、ごみ箱に捨ててしまった。「なんで?まだ全部読んでないじゃん」といわれたが、「お前帰れよ。もう十分楽しんだろ、俺達」といって無理やり返した。彼女は「ひどい!すけこまし」と毒づいてドアを乱暴に閉めてでていった。

友也はその後、空のごみばこから手紙をとりだして、最後まで読んだ。

もちろん告白の内容だったが、鋭い洞察力で友也に対する想いが綴られていた。

「あの野郎・・・!」と一言つぶやいた。

当然友也からはなんの返事もなく薫は失恋した気分で落ち込んだ。

しかし、いつも茜と昼食をとる外のベンチに友也が現れて「よ、如月。」

と言われてびっくりした。「お前美術部だろ。絵みたよ。よかったらスケブみせてよ。」といわれて「な、なんで先輩に?」といったら勝手に鞄からスケブを取り上げられて、じっとページをみて絵を眺めていた。

真面目な表情だった。

茜は「先輩、勝手に観るのよくないですよ。それにもう弁当食べたんですか?」と

文句をいった。

友也は無視した。

「結構上手いじゃん。今度俺の似顔絵でも描いてよ。そういうの一番得意だろ、お前。くくく」といたずらっぽく笑い、薫が顔を赤くしてるうちに行ってしまった。

茜は「だから手紙はやめとけって言ったのに。でもまんざらでもなさそうね」と意外そうに薫に言った。

当時茜は友也の親友の転校生の不良の沢田アキラとつきあっていた。

薫は茜につきあってアキラのバンドをみにライブハウスに出入りしていた。

「そうかな、きっとからかってるのよ。だってメアドも携帯番号も書いたのに返事くれないし」とドキドキしながら言った。

そのころ、友也はもう女性と一緒に帰ることはなくなった。

他校に彼女がいるという噂だったがまた昼休みに遊びにきたので「姉貴に控えるように怒られたから。それに親にバレたら独り暮らしできねえじゃん?バラすとかいいやがった」と口を尖らせていっていた。

かすみと友也はよく休み時間に窓辺で話をする仲だった。

先輩の教室に行ったらとても仲よさそうだった。