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薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

俺は薫の大学で銃乱射事件をニュースで知り、青くなった。

ヒスパニック系の若者が乱入し、教師と男女二人を銃殺した。

犯人は未成年だったが実刑は免れないだろう。

被害者もヒスパニック系の3人。

今すぐにでも会いたかったが、色々とたてこんでて行けそうもなかった。

トニーさん達に止められた。

俺みたいな男が出入りしたら怪しまれるからだ。

マヤに明日様子を見に行ってくれるように頼んだ。

すぐに薫に連絡した。

とてもおびえてる様子だったが無事だったので安心した。

「今すぐ会いたい」といわれた。

俺は予定を変更し、今夜ディーンの家で落ち合うことにした。

彼は快く引き受けてくれた。

今夜も依頼主から標的の写真と居場所をトニーさんから指定された。

朝までに片付ければいい。

問題はー。

「あいつ方向音痴だからちゃんとわかるかな」

薫のことだった。

心配なので大学の近くでマクドナルドで待ち合わせをし、起こった事件を話し合った。

日本では未成年の実刑判決はありえないそうだ。

俺はこんな仕事をしていながらなんか納得がいかなかった。

俺達はビジネスでしているが、逮捕されたら死刑だろう。

しかし、刑務所での暮らしのほうがはるかに精神的に安定した暮らしができるし

命の保証はいくらかあるだあろうと夢想した。

「どうしたの?」薫の声で我に返った。

「いや、別に。事件のことを思い出してた、災難だったな、お前も」

「うん、そうだね。」

薫はときどき、まったく別人のような顔を見せるレンに不安を感じた。

ガラスのような冷たい目をこの人は私といてもする瞬間がある。

一緒にいても淋し気な目もする。

なんだかほっておけない。

「ね、今日は私が手料理振る舞うね」と薫が提案してきた。

「ええよ、そんな無理せんでも。その辺のレストランですまそう」

と、少し俺は戸惑いつつ遠慮した。

それに人んちだし。

「いいじゃない。中華料理とかも得意だよ」

と張り切っていたので、さすがに止められなかった。

一緒にスーパーに出かけて材料を買った。

この俺がこんな場所で女と買い物とは。

「俺、辛党だから」とだけ言っておいた。

ディーンの家はロスでは普通の広さだが、薫は「まるで豪邸みたい」と感嘆した。

彼は一晩、恋人とボサノバのクラブでデートすると逆に喜んでいた。

俺は薫が料理を作ってる間、冷蔵庫からビールを取って呑みながら、TVをつけたら

メジャーリーグのベースボール中継をやってたのでみながら

薫の後ろ姿を時々みた。

なんだか懐かしいな、こんな光景。

いつだったか思い出せない。

「できたよー」という声がしたのでテーブルに行ったら和食が食卓を囲んでいた。

「中華作れるんじゃなかったのかよ」

目が点になってツッコミを入れた。

「久しぶりに和食食べたくなったから」と薫。

俺のリクエストはどうなったんだ。

おまけにシャンパンも用意していた。

「俺、チャンポンなる!」といったが、

「でも記念だし」と薫は下を向いた。

それでもグラスにお互いシャンパンを注ぎ、

「あー、中華料理が恋しいな。ま、いいか」と味噌汁を恐る恐る飲んだ。

「うまいじゃないか。」と俺はつぶやいた。

「本当?嬉しい」と薫は大喜び。

焼き肉定食だった。大量のブラックペッパーがふられていた。

「うわ、辛っ。」「だって辛いのがいいっていうから。」と薫。

「いや美味しいよ、全然。ごはんすすむし」といいつつ、もくもくと食べた。

薫は幸せそうだった。

彼女は普通の量のブラックペッパーを焼き肉にふっていた。

今までも女の手料理はごちそうしてもらったが、情事のあとが多かった。

和食ってこんなに美味かったな。

辛いものを食べるときは何かに挑むような気持ちになるのだが、

今夜はもう2回挑むものがあった。

食事のあと、野球をみていたが、心はそれどころじゃなかった。

メジャーリーグ好きなの」といつのまにか薫が隣にきてよりかかかってきた。

そのまま長いキスをしてソファに押し倒した。

薫はベッドで俺の腕まくらで軽い寝息をたてていた。

つい調子にのって第2ラウンドに突入してしまった。

寝床の時計をみたら深夜3時を回っていた。

「そろそろだな」

俺は彼女に気づかれないように起きて、クローゼットからコートとサングラスをとり、

隣の部屋の机の引き出しからピストルを取り出した。

静かに家をあとにして、現場に向かった。

薫は朝起きたらそこに彼の姿がないので焦った。

寝室のテーブルに置手紙がおいてあった。

「ごめん、急用の仕事が入った。食事のお礼はまた今度」と書かれていた。

(またか・・・。)薫はため息をついた。

いつも朝には彼の姿はない。

そんなに今の仕事は忙しいのかな。

(レン・フォーチュン)それとなく本名なのか偽名ならなぜ使ってるのかと

質問したが、偽造パスポートを作って日本人と偽装結婚するのが仲間うちで流行ってたので自分も作ったと言っていた。

日本の成田空港で税関で引っかかったのでそのままパスポートをみせて知り合いのいるLAにきたそうだ。自由がほしかったといってた。

中国から出るのは密航でもしない限り難しいといってた。薫はそのまま信じた。

そのことで一旦は揉めて、帰ろうとしたが「仕方がなかったんだ」と抱きしめられて、

「香港が中国に返還されてから色々と混乱があっちでは起きてるんだ」といわれてそれ以上何もいえなかった。

俺がLAにきてからの半年間はそんな感じですぎた。

名前はどこで聞きつけたんだろう。もっと気をつけなければ。

女は意外と勘が鋭い。

スケジュールはびっしりだった。

来週はラスベガスへ行かなければならない。

なんでLAにいる俺達に依頼がきたのだろう。

そのころ、リンはカジノで負け癖がついていた。

借金が増えていく。

バンド時代から付き合っていた彼女の葵とも最近は喧嘩になり、

別れる別れないで揉めていた。