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薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街 決意

「ええ!?学校やめるって?」千秋、ジョージと薫はびっくりした。

タクヤは「うん、他にやりたいこと見つかったから」と曖昧に答えた。

まさかスナイパーになるとはいえなかった。

薫は「そんな、なんの為に私留学したのか」とつい本音が出そうになって焦った。

一年半前、日本で彼が二科展入選したときの絵と写真つきのプロフィールをみて

一目ぼれをして高校卒業後、わざわざロスまで留学してきたのだ。

しかし、彼女がいると知って失恋した薫は絵を描くことに没頭したのだった。

そして約半年前にレンと出会った。

レンに振られたときは死にそうなくらい落ち込んだが彼にも慰めてもらった。

「そういうことだから。」

と言って薫だけ外に連れ出した。

「何?話って」薫は心配して尋ねた。

「ダイのことだけど」タクヤは秘密をすべて話してしまった。

これでもうレンのことは忘れて立ち直るだろうと思ったからだ。

タクヤは二人が別れたのはレンの正体がバレて警察に捕まるからだろうと思っていた。

薫はショックのあまり言葉を失っていた。

「俺の描いた絵記念に如月にやるからこいよ。お前俺の絵のファンだったろ」

といって大学を早退した。

既に彼は退学届けを出していた。

薫は青くなった顔で教室に戻ったら千秋達は「どうだった?」と心配そうに聞いてきた。「うん、やっぱり説得しても無駄だった。ジョージ、あとはお願い。私も早退する」ジョージは「わかったよ。授業が終わったら様子を見に行って止めてくるよ」

といってくれた。

千秋は何が何だかわからなかった。

ジョージは午後にタクヤを説得しに行ったが彼の意志は固かった。

「ドラッグをやめられなくなったからか」とジョージは聞いた。

タクヤは「ばれてたか。俺入学したときから全然他の奴より才能ないって思い知らされたよ。一年留年しちゃったし。」

ジョージは「でも、絵は続けたほうがいいよ。薬はやめとけ」

タクヤは首を横に振った。

「どっちも無理。絵は描き続けるよ。趣味で」

タクヤは自嘲気味に言った。

ジョージはため息をつき「これからどうする?」と聞いた。

「わかんないけど。。。バイト先を探して引っ越す」

タクヤは自分がこれからどうなるか不安だった。

ジョージは「またくるよ」と言ってタクヤの家をあとにした。

数日後、荷物の整理をしていたら薫が訪ねてきた。

「なんの用?」タクヤは冷たくいった。

「止めても無駄だってわかったから。せめて一枚だけでも絵をちょうだい。それに

見送りにきたの」と薫。

「いいよ、送別会なんて。俺がどこに行くかみんなにはいってないだろうな。」

と念を押した。

「言えるわけないよ。だって。。」

俺はタクヤが逃げるんじゃないかと思い、本気で仲間になるか確かめにタクヤの家に

偶然入った。

薫と鉢合わせしてしまった。

俺と薫は思わぬ再会にお互いに一瞬みつめあっていたが気まずいムードが流れた。

タクヤは(やばい、俺どうしよう、二人きりにすべきかどうか)と迷っているうちに

薫は「あ、あたし帰るね、タクヤ君。絵ありがとう」と言って走って帰ってしまった。

だめだ、私まだダイのことが好き。忘れるなんて無理だよ。

薫にはまだ彼がスナイパーだということがとても信じられなかった。

涙があふれ出た。

俺は薫をおいかけようとしたが、タクヤに腕をつかまれて止められた。

「もう危険な目に遭わせたくないんだろ。追いかけないで演技貫き通しなよ。」と

タクヤに厳しい目でいわれ俺は「演技じゃねぇ。ほんまに飽きたんや。お前たちの邪魔したかなと思って」と俺は下手ないいわけをしてベッドにうつ伏せになってため息をついた。相変わらず綺麗だった。忘れた日は㏠もなかった。

夢にまででて俺を苦しめた。

「・・・で?もう心の整理はついた?」と俺はタクヤに確認した。

「そっちこそ。如月のことふっきれたの?」逆に返されて「俺のことよりてめえの心配しろや。絵はほんまにやめるん?」ともう一度訪ねた。

「わからない。趣味では描くかも」というタクヤの言葉を聞きながら彼の描いた油絵をみた。かなり上手い。心を奪われた。リンの言葉が蘇った。

「ほんまにええんか。今ならまだ間に合うで。絵を売って生計立てたらええやん。トニーさん達には逃げられたことにしといたるさかい」

「もういいよ。ほっといてくれよ。俺は人一人殺しちまったんだぜ?

それに、ジャンキーだしね。」タクヤは天井をじっとみて何か考え込んでいるふうだった。

「ほな、勝手にせいや。どうなっても知らんからな」と俺はドアのほうに向かってもう一度タクヤの方を振り向き、外に出た。

またやりきれない思いになった。

タクヤはどちらの道を選んでも破滅するだろう。

一度ドラッグに手を出すとなかなかやめられない。

俺は香港にいた頃、ドラッグにハマり自滅していく奴らを何人もみてきた。

ロスのようにちゃんとした更生施設も整っていない。

俺は自分でこの道を選んだ。

必要悪もあると思っていた。