薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街 

桜のように散った恋もあれば薔薇のように咲く愛もある。

百合のような残り香を思わせる情事もあったー。

今まで忘れていた記憶は新宿の2丁目で松本友也に出会うまですっかり忘れていた。

弟の智宏の店に来るまでは。

 

タクヤは一人豪邸に残してきた西村豹が気がかりだった。

もどろうとする彼を俺達は無理やり引きずるようにして逃げた。

彼は次の日の朝、朝刊をファミレスでみて落胆した。

豹は警察に被害者として事情聴取を受けたがしばらく放心状態で何も話さなかった。

今も黙秘を続けているそうだ。

FBIは彼がショックで一時的に失語症に陥ってるか記憶障害があるとみて今日明日に

でも精神鑑定する見込みだとLAタイムズに書かれていた。

俺達は次の新刊が出るまで待とうとしかタクヤを慰めることしかできなかった。

ちょうど注文を聞きにウェイトレスがきた。

そのウェイトレスをみた瞬間、俺は一目で恋に落ちてしまった。

元モデルの樋口美也に面影が似ていた。

俺は太ももが気になって仕方がなかった。

年齢は俺より少し年上かもしれない。

3人ともコーヒーだけ注文した。

リンは「綺麗なおねえさんて感じ。なんか葉月とかいう女優に似とるな。一晩すごしたい」と言い、俺は無視して彼女を目で追った。

タクヤは「お前よくこんなときに女に欲情できるな。」とリンを軽蔑するまなざしで言った。リンは「こんな時だからだよ。癒し系って感じやな」とタクヤのほうをみていった。彼女はコーヒーを注文をとってきたあと、同僚に「ね、さっきの3人組の赤い髪の人、かっこいいかも。」と言った。「里緒、なんかやばそうな感じじゃない?あの3人組。絶対ギャングかマフィアよ。気をつけたほうがいいよ。それよりも、もう映画は撮らないの?」と聞かれて「もういいの。ハリウッドでは私の監督した映画は通用しなかったし」と目を伏せた笑顔で答えた。

コーヒーをもって「お待たせしました」とまた俺達のテーブルにきた。

名札には「HIGUCHI」と書かれてあった。コーヒーをおいてまたいなくなった。

俺は思わず「ひぐち・・・!」とつぶやいた。

リンは「何?知り合い?なら紹介しろや」と俺の反応をみて肘をつついた。

「いや、たぶん見間違いやと思う。名札をみただけ」と彼女に見惚れながら言った。

タクヤは「なんだよ、朝から二人して。俺はもう豹君が心配で」

俺は「警察に保護されてるから大丈夫やろ」と上の空で答えた。

家へ帰る道すがら、俺は亡霊に出会ったのかと思った。

店に来てからも彼女のことが頭から離れない。

我ながらこんな自分に呆れてしまう。

薫と別れたばかりなのに。

「二人とも元気ないわね」アリサが俺とタクヤをみていった。

「いつものこと」と瞳はいう。

「え?仕事のあとはいつもこうなの?」と瞳に聞いた。

瞳はディーンの方を振り向いた。

「ああ、また始まった。」とディーンは俺のほうを見て言った。

「何が始まったんや」とリンも尋ねた。

「恋わずらいだよ」とディーンは笑みを浮かべた。

「そうか、まだ元カノのこと忘れられへんのか、しゃぁないよな。」とリンは納得したように言ったら「違う、新しい女の匂いがする」とディーン。

それを聞いたタクヤとリンは「誰!?」と瞳やディーンに聞いた。

「俺が知りたいよ」と肩をすくめるディーン。

俺は恋の傷は恋でしか埋まらないと何かの本で読んだけど、またカタギの女が相手じゃな、とため息をついた。

「何考えてんだよ、あいつ」とリンは呆れていた。

タクヤは「如月のことはもういいのかよ・・・あいつが気の毒」と小声でつぶやいた。

「地雷踏んじゃ駄目よ。彼女のこともまだ好きだと思う。」と口元に人指し指をもっていって俺の様子を伺っていた。

俺はトニーが来るまで心ここにあらずだった。周りの声も聞こえないくらい。

「今夜はどうする?」と聞かれ、我に返った俺は「え?あ、もちろん殴り込みっす」

と慌てて答えた。

ネガも無事取り返したしあとはアジト襲撃するだけや。

「そうか。明日から本業に入りや」と言って店をでていった。

香港にいた頃もこんな感じだった。

あいつら、絶対に許さへん。

気つけにビールを一杯煽った。

「今度の相手は誰?ロスのコギャルとか?」と瞳に真面目に聞かれたので

「マヤ達の倉庫に決まっとるやろ。相手はあの怪盗Rを狙う。コギャルとか何いうてんねん」と仕事の話をしたのだが瞳は「いつからバイになったの?」と意味不明なことを言ってきたので「あいつバイなのか?ならお前と気が合うな」とからかったが、

タクヤは「話がかみ合ってない」と笑った。

「何がおかしいねん」と俺はわけがわからなかった。

豹は自宅に帰ってから銃を右手にもって頭にあてて引き金を引いたが、弾は入ってなかった。「・・・あほらし。たかが女一人の為に死ぬとか」とひとりごちた。

そして荷物をまとめて自宅を跡にしタクシーを呼び空港へと行き、NY行きのチケットを買って昼の便で旅立った。

俺はそんなことも知らずに瞳とリンとタクヤとディーンやアリサも加わり、

マヤ達のアジトへとバンで向かった。

俺達は互いに銃をもって中のドアを蹴り、中に入って、注意深くあたりを見回したが

倉庫のどこにもいなかった。

物音がしたので、そこへ銃で一発撃ったが野良犬が逃げただけだった。

2階にも階段を上って探したが逃げた形跡しかなかった。

俺は「一足遅かったか」と悔し紛れに言った。

向こうも俺達同様あのあとすぐに逃げたようだった。

リンは「本当にここにおったんやで」と横目で俺を見て言った。

俺は「わかるよ。人の住んでた形跡あるからな」と辺りを注意深く見回しながらいった。

「ひとまず帰ろう。」とタクヤ。

瞳はじっと置き忘れた冷蔵庫をにらんだ。

アリサは冷蔵庫の中身を調べたが何もなかった。

ディーンも奴らを逃した悔しさで地面を銃で撃った。

「念のためずらかろう」とひとまず俺達は解散した。

マヤ達は新しいアジトにいた。

マヤは一人部屋の中に入ってからドアごしにぐったりとすわりこんだ。

「なんであいつを消さなかったの?自分の身を危険にさらすかもしれないよ?

もしかして惚れちゃったとか?」とロイに冷たい微笑を浮かべながら聞かれたが

否定した。ネガを盗られたかわりに薫たちの写真を彼にみせた。

ロイは満足そうだった。

「男3人相手じゃしょうがないか。ま、これをダシにダイをおびきだせばいい」と

マヤから写真を受け取った。

なぜあのときわざと外したのか自分でもわからなかった。

あの目をみたとき思わず手元が狂ってしまった。

次の日の朝刊に「被害者が行方不明」と書かれていた。

探す気はなかった。自殺したかもしれないし、

FBIに正体がばれたら高跳びすればいい。

ロイはとうとう新薬をみつけて手元においていた。

あとは薬の設計図を探すだけ。

マジマジと新薬を見つめていた。

俺は仕事が終わるたびに毎朝ファミレスにタクヤと一緒にあの女に会いに行っていた。