薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街

せいせいするほど俺は今までたくさんの依頼された人物を殺害してきた。

たぶん21世紀史上最高の大量殺人犯になるだろう。このまま行けば。

人生やり直すチャンスはいくらでも訪れるが一度逃すと2度とこない場合もある。

バッドトリップのベーシストSEIJIがそうだった。

タクヤが崇拝する人物「ルナマティーノ」のベーシストKが兄貴と慕っていたルイの

盟友だった人物。

彼がまだ生きていたころ、俺達はロスで暗躍していてタクヤはKの影響でSEIJIが書いた自伝を読んでいた。

俺は画家を目指していた彼がなぜロックを聴いていてベースが上手かったのか今なら

わかる。

タクヤはクスリをやめる決心をしてはいつも挫折しそれでも3日間はやらなかった。

いつもその繰り返し。

それでも仕事前は恐怖を和らげるためだけにSLDの注射針を使って打ってしまっていた。

俺はマヤの勤めていたコンビニに押し入り、レジを打っていた店員に銃をつきつけ彼女の新しい住所を聞いたがなかなか口を割らないのでみせしめに奴を撃った。

奴は死なず、致命傷にはならなかったが多くの客が店から逃げる騒ぎがおきた。

俺はそのまま手下の運転する車で逃走した。

次の日の朝刊で西村豹が行方不明になってることはとっくに知っていた。

奴のところにいるのではと推測したがマヤの性格上それはあり得なかった。

マヤは贔屓目にみてもあいつに情がうつっていたのかもしれないと思った。

なぜなら奴を撃たずに逃がしたからだ。

スパイ失格だ。

詩集と豹のプロフィールを調べたが彼女のことをばらすような性格でもなさそうだ。

男女の仲は二人にしかわからない。

俺は憂さ晴らしに行きつけのBARでブランデーのロックを煽った。

薫との出会いを思い出した。

まだ未練が残ってるのか、俺は。

そして昨日も会ったいつも朝食をとるファミレスのひぐちという女性を思い出した。

彼女にも会いたい。名前を聞いて食事に誘った。

連絡先を書いた住所も渡した。

俺にしては珍しく積極的だった。

気持ちは抑えられない。

彼女との夕食が楽しみだ。

薫と里緒、二人の女性を同時に愛し始めたのもこのころだった。

西村豹はひとり、NYの高層ビルの一室にいた。

バスルームで何度もカミソリで手首にためらい傷を作り、傷跡をリストバンドで隠して

ルームサービスをとった。

こんな時にでも食欲がわく自分に苦笑した。

たまにMMのロックを聴いた。

浴槽に流れ落ちる自分の血を見つめながら、ドクドクと流れる脈の鼓動を感じていた。

まだ生きてる自分を感じた。

マヤへの想いを傷口に埋め込むように人生を終わらせたかった。

それでいてマヤと同じ目線で世の中をみてみたい気もした。

スパイ、かー。

洋画でしかみたことがなかった。

女スパイの恋愛要素も入っていた。

現実はあまりにも残酷。

ロマンスなんかあってたまるか。

そのころ、薫はある日本の大物V系バンド、BTのVOのA氏から彼のソロアルバムの

ジャケットの挿絵を頼まれて浮かれていた。

実際に会って金髪をかきあげながら話す甘くて低い声と美形で自分を誘惑するような目にうっとりしてしまった。

自分の絵をたまたま、日本で二科展に佳作として入選した絵をみて気に入ったそうだ。

捨てる神もあれば拾ろう神もある。

薫はすっかり彼に恋してしまっていた。

千秋とジョージは呆れていた。

まだ男に痛い目に遭っても懲りてないのかと。

アリサはもう近くのボディツリー店で例の教団の経典を買ってきていて、

俺達は回し読みをした。

「ゴッドゲイト」いうタイトルだった。

タクヤは豹のことを心配しながらも経典を読んだ。

ディーンは読み終わったあと「これは10年前のカルト団体の集団自決事件の内容にそっくりじゃないか。パクってやがる。」と感心していた。

俺は知らなかったので聞いたら当時は日米でも騒がれていて全米でその教本が各CNNで流れて有名になったそうだ。名前は「ヘブンスウェイ」。

山奥で集団生活を送っていて天国への道を探して教祖まで瞑想してるうちに信者を全員道連れにしてしまった。

宇宙の事も書かれていたそうだ。

「ああ、それなら俺も知っとる。衝撃やったな」とリン。

トニーは俺に「もしこいつがただのイカサマ教祖なら俺達には手出しはできない。

だが、もし中東の国のトップと教祖が連絡をとっている証拠の確認は俺がとれたらお前がそいつを殺れ」と俺に支持をだしてきた。

俺は従うしかなかった。

戦場カメラマンはあの写真で何を訴えたかったのかわかる気がしたが、命令には逆らえないので胸が痛んだ。

俺達の新しいアジトの店の名前は「芽楊(メイヤン)」。

瞳の彼氏が勝手に恋人の名前をつけていた新しくできた店。

スナック風だった。

俺は瞳に「お前もずいぶん出世したなぁ。自分の店を持つことができて」とわざと

日本の関西弁でいうところのいじりをやった。

タクヤも「そこまで想われて男冥利につきるよね」と無邪気に便乗してきた。

瞳は「メイで十分」とタクヤをにらんだ。

香港では女性名でメイと名乗っていた。

本名の苗字なのだが。