薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街 ~現在・過去2~

高美まで今度は2丁目の俺達のアジトへくるようになった。

豹に俺たち4人は「お前ら、いいかげんにしろや。色ボケしとる暇があったらちゃんと仕事しとけ」と突っ込まれた。

たしかに俺達4人は10年前から仕事以外は恋にうつつを抜かしていた。

特に俺は酒と女くらいでしか気を紛らわすことができない。

しかし、必ず仕事の成果は上げていた。

標的は俺は今まで失敗したことは数えるほどしかない。

高美はソロプロジェクト「ダイ・ザ・ ビューティ」という名義で

男女ボーカルでドラムに女性を入れるという基地外じみた編成でやるそうだ。略して「ダイビュ」。

しかも「DRAIN AWAY」というカノンがプロデュースしてメジャーデビューを果たし、しかも所属事務所の社長があのヤクザの息子。そのバンドのギタリストのリクと

組みたがったが断られたそうだ。

リクは自分のソロに女性のバイオリニスト、あゆゆを入れたことで高美と喧嘩していた。

偶然滝川マエストロの楽団にいたのに目をつけた。

リクはひとりで歌っていた。

高美は元彼の結人もギターが弾けるので頼んだが歌は歌えないがギターなら弾いてもいいと言ってきたそうだ。

「新宿2丁目に化粧が上手くて歌えるキーボディストの男性とかいないかしら」と聞いてきたので智宏は仕方なくゲイやレズビアンの従業員のリストや店を紹介し、高美は

毎日その資料を片手に奔走していた。

SEIJIと一緒にバンドを組んでた女性ドラマーにも声をかけたが断られたそうだ。

リンは「あいつは何やってんねん」と呆れてしまった。

俺も実は誘われた。ギターが弾けるかと聞かれて弾いてみせたらプロ顔負けともいわれた。

でも顔が割れるとまずいので断った。

元彼と組むのはリクに対する嫌がらせともとれる。

女の嫉妬は怖いと思った。

「ヴァイオリン入れへんの?」と俺は笑いをこらえて智宏に聞いた。

「たぶん絶対入れないとおもうよ。佳とのトラウマもあるし、それに・・・

プロになる前に死んだ親友が場末のスナックのピアニストだったそうだからたぶん

彼女と一緒にプレイしたかったんじゃないかな。だからキーボディストを探してる」と智宏は訳ありな表情で言った。

俺はそのことが気になった。

彼は自分の映画で彼女のバンドが主題歌で使われたきっかけで仲良くなった。

俺はリンのバンド「ドーリス」が「横須賀事変」というタイトルのアルバムを出してたので「縁起悪いタイトルやから解散においこまれたんちゃう?」と昔突っ込んだら

えらい怒られた。

そのとき高美がいきおいよくドアを音を立てて開けて中に入ってきた。

「決まったわ!ダイビュのドラマーとキーボディスト」と顔を輝かせて智宏に言った。

智宏は「誰?」と聞いたら「ドラマーは奈緒。女性よ。VO兼キーボディストはV系のジュリア。男性だけどゲイでお化粧してたから間違いないわ」と智宏に顔写真をみせたら彼は笑いながら、「奈緒は戸籍上は男だよ。今は体も心も女性だけど。だから力強いドラムに定評があるんだ。ギャルバンだけどね。ジュリアは体は男だけどバイセクシャル。男性バンドやってて性別は男にしてあるけどね。男専門のウリやってるけど、女性のおこぼれをたまにもらってるんだ」と説明した。

俺達は瞳とタクヤを交互にみた。

「なんだよ」とタクヤは言い、瞳は俺の「お前と一緒やな」という言葉に眉間にしわをよせたが何もいわなかった。

高美は絶句していたが「でも、美女二人には違いないわ。」と顔をひきつらせて言った。瞳は「どこで見つけたん?」と珍しく高美に聞いた。

高美は「あんたの店」と瞳をみて言った。

瞳はやっぱりという表情をしていた。

瞳の店のアルバイトのウェイター、ジュリーだった。

ドラマー候補には里緒の兄もいたがバンドが多忙でソロをやる暇がなかった。

ベーシストは「DRAIN AWAY」のメンバーでサポート。

「HONEY-X」が活動休止中なので急遽ソロをやる時間ができたそうだ。

結人は興信所で探偵の仕事をしてたはず。

もしかしたら俺達のことやまだロイを探してるのかもしれないと思った。

SEIJIの死の真相も探っていて突き止めたらしい。

しかし、松田友美まで興信所に尋ねてきても何も教えなかった。

彼はなぜ沈黙を守っているのだろう。婚約者には教えた。

婚約者は時期がきたら真相を伝えるとSNSで公表していたが遺族が反対していた。

松田友美も婚約者と同じく南の島まで行って取材をした。

幼い頃に母親を造船の沈没事故で亡くし、その事故が不審ということで

ずっと連載をしていて生存者を取材して記事にしていた。

父親と二人の家庭で育った。

そのことまで連載記事に書かれていた。

俺は滝沢さんがルイの元バンドのメンバーといまだにバンドをやっててルイの曲を

やったのでそのCDだけは買って聴いた。

彼らしいアレンジだと思った。

俺はまさか10年前に豹と新薬繋がりで再会するとは夢にも思っていなかった。

 

2006年、秋ー。

西村 豹はNYでネットで購入した睡眠薬ODをして、病院に運ばれたが、

夜中に体が回復しだい抜け出してきた。

昼間の路上で「不老不死、若返りのまま百年美を保てたまま生き延びることができる新薬」というキャッチコピーで小瓶に入った液体を売っている美少女と出会った。

彼女は「メイ」と名乗った。ポニーテールをしていた。赤メッシュをしていた。

「おにいさん、イケメンだね。これのむと身長も伸びるし可愛さも100年もつよ」と

言われ、むかついて「小さい言うな!可愛いいうな!そんなんいらん!そこまで長生きしたいと思うやつの気がしれへんわ!」とキレた。

10代くらいのガキにいわれたくない言葉だった。

「あ、そう。もったいない。じゃ、消えて。商売の邪魔だから」と言って群がる女性達相手に商売をしていた。

なんや、そのバッタもん。それにどうみても家出少女にしかみえへん。

豹はそのまま去ろうとしたが彼女のあどけない可愛さが気になり、しばらくその光景をみていた。おせっかいにも「お前、それ単なる水やろ。詐欺容疑で逮捕されるで。ポリスにみつかったら」といってやったら「違うもん。本物だよ。クレームもまだきてないし、お客さんの口コミのおかげで生活できてるし。」とむきになった。

豹は彼女が嘘をいってるようにみえなかったので逆に今度は「ほな、それは危険な媚薬や。誰が発明したん?」と聞いてみた。

信じ込んでるところが精神的に病んでるようにみえた。

「うちのパパ。作り方はもうメイ一人しか知らない」と目つきを鋭くさせて言ったので

「お前は最終兵器彼女か。それが本物やったら歴史が変わるで。」と突っ込んだ。

「そう。猿島の地下室で生まれて15年間そこで過ごして、両親殺してやっと地上にでてこれたの。おかげで東京、ロシア、LA、NYまでパスポートだけもって自由に旅できたわ。メイが悪さをしないようにってパパに教えてもらったから盗みとか売春できないからこれを作って売って生活費にあててるの」と大変なことを無邪気に言った。

「今してることも悪さのひとつ。って殺した時点で悪さ十分あるやろ」と豹はとんでもないことをした彼女に恐怖を覚えた。「殺したってのは嘘。ある日、変な集団が地下室に降りてきてパパとママの仕事仲間全員射殺されたの。パパとママは私だけは逃げるように言ってくれた。あとで会おうって。それが最期。どんなに待ち合わせ場所で待ってても現れなかった。もう一度地下室に行ったら、二人の体が冷たくなってた。きっと心中したのね。」と平然と過去を語ったので「お前、悲しくなかったんか」と質問した。

「ずっと外の世界に触れたかったから自由になれたと思うと嬉しかった。」と大きな

カバンを閉めて言った。豹は帰ろうとした彼女を「おい、待てよ」と追いかけた。

彼女の真意を測りかねていたのと、物書きの習性で逆に好奇心が湧いてしまった。