読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~温泉宿の刺客~

2014年、ちょうど俺達が東京にきて2年がたった頃だ。

俺は6年前からストイックに殺し屋の仕事を黙々とこなし、その筋のプロからは外見

だけでも殺気を感じるといわれるほどになった。

新宿や横浜を主に暗躍し、政治家や経済、その他もろもろのHPに寄せられた、生きてる価値のないと思う標的を選び依頼主から多額の大金を報酬にもらって暮らした。

日本は法治国家だから世界一楽で平穏な仕事しかこないと思っていたが甘かった。

闇社会は思い切り暗く、連日の報道はナイフを使った殺人ニュースで溢れていた。

まだ銃社会じゃないからマシだが、軍隊は自衛隊という名前で誰も真実を知らない平和ボケの奴らが多かった。

震災後の原発事故や政権交代、被災地での強姦や強盗も多くて俺達のHPに殺しの依頼が殺到していることに驚きを禁じえなかった。

それでも、まだ水が飲めるだけマシだった。

店員の対応も素晴らしく、建物も香港と違い、頑丈にできていて安心できた。

ひきこもりやニートという言葉も初耳だった。

無職の殺人ニュースも目立つ。

そんなエネルギーがあるなら就活しろと俺は思い、携帯でトニーさんに「こいつら全員スナイパー予備軍にせぇへん?見込みありそうな奴多そうやで」とジョークを飛ばしたほどだ。

銃社会じゃないのでナイフでの刺殺が多く射撃場の数は限られていた。

トニーは呆れて「ほんなら拉致して米軍の軍事訓練に行かしたほうがまだマシやろ」と笑われた。

豹の作った殺しの代行HPもニートからの依頼が多かった。

お金もないくせに。

その中で本当の殺人依頼もあるから人間は怖い。

そんな中、松田友美や智宏との出会いがあった。

そして西村がそのときに選んだのが政権交代で幅を利かせていたある政治家のSP的存在の右翼の暴力団で一番やばそうな3人を殺してほしいとの左翼団体の活動家からの殺害依頼が舞い込んできた。

西村はそれをチョイスして、俺達に一人ずつ殺すようにと提案してきた。

俺は香港で上海で起きた愛国的な民衆による抗日運動の日本店襲撃事件をTVでみたり、

アメリカの愛国的な国歌をよく歌う奴らを実際みてきたのでかなり戸惑った。

この国では国歌を学校で教師が歌わなかったりかなり信じられないニュースなどが報じられている。

アメリカや香港やシンガポールではそんな教師はクビにされるがこの国では逆だ。

しかし、依頼主が在日の韓国人と知って納得した。

ここでも民族どうしの争いがあるのか。

リンは否定していたが。

「日本人はみんな韓国大好きやで。タクヤをみてみぃ。好かれとるやん」とアリサや俺にむきになって言った。

アリサもフランス国歌はフランス人が大好きなのでなぜ日本人が国歌を歌わないのか疑問だった。

瞳もそこだけさすがに疑問を持ったようだった。

リンは「日本は戦時中は軍国主義君が代はその象徴だからや」と説明した。

俺はそれならなぜ国歌を新しく作らないのかとリンに質問したら「そんなん知らん。

天皇の圧力ちゃうの」と言葉を濁した。

たぶん台湾と一緒なのだろうと俺は思った。

香港と上海は一国2制度なので言葉も違う。

それと一緒だろうと思った。

俺は育ててくれた家族の影響で大陸の人間を田舎者扱いしていた。

野蛮でどうしようもない奴ら。

香港は独立すべきと勝手に思っている。

広東語が俺のもうひとつの母国語や。

闇社会だけしか知らない俺はあまり新聞も読まなかった。

ところで狙撃場所はどこかと思ってたら別府温泉街にある桜屋旅館に決まった。

来週あの3人は温泉に宿泊予定だ。

豹がハッキングして調べた。

奴らのサイトがあったから。

たしか「宇野翠会」という団体だった。

なんだか、陰謀論にでてきそうな名前だった。

俺は別府の真っ赤な血の池地獄温泉のチラシをみて、「ええなぁ。一度いってみたかったんや。松田友美さんと温泉デートといきますかいな、誘って。」と楽し気につぶやいた。

アリサは「あんた今まで禁欲してたんじゃないの。それに正体バレたらまずいって」と

軽蔑のまなざしで俺を責めた。

豹は「あの旅館の向かい側の旅館に泊まれ。紅屋(べにや)旅館な。血の池地獄温泉は日帰りで入ってきたらええ、紅屋は個室温泉もあるさかい。」と不敵な笑みを浮かべて命令口調で言った。

俺は「でも、向かいの旅館は入れ墨お断りちゃうの?リンとか俺とかまずいで。それに瞳は女湯と男湯どっち入るんや」と笑いをこらえて聞いた。

瞳はすかさず「個室温泉」とパンフレットまで用意して答えた。

「俺なら血の池地獄余裕でOKだね。彫ってないし」と余裕の笑顔をみせて俺達3人をちらりとみて楽しそうにパンフを眺めながら言った。

俺は頭にきてふと瞳に目をやったら、あいつは無言だったが怒りで体を小さく震わせていたので吹き出しそうになった。

よほど絶景の夕焼けが見える露天風呂に行きたいのだろう。

俺は瞳に「一応、遊びに行くんちゃうからな。あくまで仕事やから。忘れんといてや」と念を押した。

瞳は素直にうなずいた。

タクヤは病み上がりなので瞳の仕事の見張り役をやることになった。

アリサはリンの狙撃の見張り役。

俺は単独犯、のつもりだったが豹が見張り役をすることになった。

やはり友美を誘ったが断られた。

「今それどころじゃないの。また今度ね。」とそっけなくスマホを切られた。

いよいよ、狙撃の当日。

「宇野翠会」御一行様が桜屋旅館に宿泊した。

俺達は向かい側の「紅屋」旅館に宿泊した。

早速俺は血の池地獄の温泉を満喫した。

女将に俺はすごんで「なんであかんねん!俺ら海外からはるばるきたんやで」

と今度は中国のパスポートをみせたら急に態度が変わって男湯に案内された。

瞳は、だいたんにもアリサと仲良く女湯に入った。

豊胸手術と下半身の性転換手術をいつのまにかしていてちゃっかり裏声を出した女性と間違われていた。

露天風呂の中でリンは俺に「残念やったな、混浴やのうて」と言った。

俺も「ほんまやぁ。目の保養になったんに。瞳とは入りたないけどな」とわざとタクヤを見て言った。

「なんだよ、俺だってあいつとはいやだってば」と奥へと行ってしまった。

そのとき「きゃー。誰か死んでる!死体!」という悲鳴が女湯から聞こえてきたので

急いでリンと全裸のまま女湯に走ってしまった。

タクヤは「あの姿、瞳にみせたら喜ぶよね。。。」といいながら後に続いて

腰にタオルを巻いて脱衣所に行った。

俺とリンは慌てて女湯にタオルも巻かずに行ってしまい、

また女性客から悲鳴あがり、俺達は我に返って顔から火がでそうになってタオルを取りに男湯の脱衣所にもどった。

タクヤは男湯の脱衣所で様子を伺っていた。

たぶん、瞳やアリサを狙った刺客かもしれない。

俺達は自分達を狙った刺客だったらそいつらもまとめて撃とうということにした。

豹は一人びびっていた。

夕食も美味しくいただき、いよいよ決行の夜がきた。

俺達はこっそり、隣の桜屋に泊まっていた豹に客間を教えてもらい、

俺は寝ている右翼団体のヤクザを一人掛布団を狙い、撃ち殺した。

足音も立てずに急いで紅屋にもどってきて何事もなかったように布団を敷いて寝た。

酔わない程度にビール瓶1本を呑んでから。

豹は俺を見張りつつ、「さすが」とささやいた。

リンはアリサが見守る中枕を首に置き、音を立てないように銃で撃ち殺した。

紅屋にもどってきて何事もなかったように眠った。

瞳もタクヤがあたりを見張ってる隙にナイフで胸を突き刺し、桜屋をあとにした。

次の日の早朝、俺達は殺された死体を野次馬に混じって見学しに行ったら、地元警察がきていたので、刺客は刑事に任せることにして隣の旅館にもどりもう一度朝風呂に

浸かり、朝食をとって、旅館をあとにした。

昨日も俺は熟睡できなかった。

それは2年たった今も続いている。

日本のカラオケは一度しか行ったことがない。

そんな余裕はなかった。

東京から九州までの強行スケジュールだった。

後日、TVやネットでニュースをみたら大分の温泉殺人は俺達の殺した相手までその女性客を殺した連続殺人事件との地元警察がみており、犯人はまだ捕まってないようだった。

結局刺客だったのか単なる地元人の犯行だったのかわからない。

しかし、俺のポストに封筒が一通届いた。

封を開けたら「裏切者」と一行だけ書かれた手紙が入っていた。

差出人も住所も不明。

誰なのかいまだに検討がつかない。