読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~彼女と過ごした冬2~

依頼主は「場所は中共と北の国の国境付近にいるはず。奴は必ずその場所にくる。

それ以外は何処にいるかわからない。奴は『レッド・ウルフ』という名前で

香港マフィアの間では恐れられてる。

ここ半年足らずでターゲットは必ず仕留めるからな。

気を付けろ。報酬は500万ドルだ。」

それだけいうと、ボスは部屋を出て行った。

レッドウルフー。

赤い狼。

髪の色からそう名付けられたんだろう。

瞳は息を呑んだ。

かつては片想いしたこともあった。

いつも彼にはいじられてばかりいた。

でもそれで恨んだことは一度もなかった。

明日にも国境付近に行ってみようと決心した。

「彼の死体には蓮の花を添えるからたくさん用意しといて。」と無表情にトシヤに一言だけ言い残してホテルの部屋に戻った。

トシヤは頭を抱えた。

瞳はその夜、涙が溢れて止まらなかった。

リンならこんな時どうするだろう。

アリサやディーンは?

レンには教わったすべてを駆使するのがせめてもの友情だろう。

次の日、国境付近にトシヤと行って自分達を雇った組織を狙撃するレンの姿を望遠鏡

越しに覗いたがこの日に限ってきていないようだった。

ほっとしたような安堵の気持ちがあった。

蓮に会っても動揺しないように鏡をみて訓練してきた。

「よかった。今日はきてないようだね。」とトシヤは安心して言った。

「よくない。トシヤまでこなくてもいいのに。」と瞳は目を伏せて言った。

トシヤは「意地っ張り。花は用意しておいたから。」とため息をついた。

瞳達は偶然「フェイ」に立ち寄った。

ウェイターがリンだったので瞳とトシヤは驚いたが笑顔を作り、

「こんばんわ。久しぶり。」と挨拶をした。

トシヤも同様に会釈した。

リンも「久しぶり。瞳は相変わらず細くて綺麗やなー。トシヤもかっこええで。」と

日本語で愛想よく迎えた。

瞳は褒められて嬉しかった。

赤ワインを注文した。

「お、今夜はピッチが早いねー。」とリンは瞳の呑みっぷりに目を細めた。

トシヤはコロナのビールを注文して一気に飲み干した。

トシヤは「レンはいつもここに来てるの?」と真顔で聞いた。リンは

「いや。ここ一か月来てへんし、おうてへん。」と正直に答えた。

喧嘩して以来。

「そっか」と安心したトシヤ。

「ワインもう一杯」と瞳は注文した。

リンは何も知らずに用意したがなんか様子がおかしい。

「なんかあった?レンと。」と瞳に聞いた。

「別に何も。レンがきたらすぐに連絡して。会いに行くから」とトシヤは瞳と自分の携帯の番号を教えた。

「わかったけど。いつくるかわからへんしな」と答えた。

「あの人達は?」後ろのガラの悪い客達をみてトシヤはリンに尋ねた。

瞳は相変わらず無口でずっと呑みながら、辺りを見回していたが、

トシヤに目くばせをした。

リンは紙に書いて彼らの素性をコースターのかわりにワイングラスの下に挟んで渡した。

瞳はそれを読んでレンを雇っている組織の名前だとわかり、仲間の1人がトイレに行くのを見計らって瞳も男子トイレに行った。

トシヤもビールを呑むピッチが早かった。

瞳はトイレの中で小型ナイフで脅し「フォーチュンは何処?レッドウルフよ。」と聞き出した。男は「知らねえよ。」と言った途端、ナイフで頬を撫でられた。

男は「本当に知らないんだ。こいつだけはいつも突然にボスに呼ばれて現れるからな」とだけ告げると瞳は頬にナイフを傷つけて血を流れるのを見てトイレを出て行った。

トシヤはその間勤めて明るく振る舞い、「そういえばアリサは元気?」と尋ねた。

リンは「ああ、もう足を洗って”ジャッキー”という台湾料理店のウェイトレスをやってんねんけどな。」と言った。

トシヤはもう二人に迷惑はかけられないと思い相談するのをあきらめた。

瞳がトイレからでてきて「もう帰る」と言って店をでた。

トシヤは慌てて勘定を支払い「あいつは割り勘にしようって言ったのに」と言って瞳の跡を追ってでていった。

リンは二人の後ろ姿をみて胸騒ぎがした。