読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~彼女と過ごした冬4 「IV」~

トシヤは香港に来た頃、ルナマティーノが再結成記者経験をしたので香港のTVで観れて感激した。

それと同時にもうあのころの自分には戻れない淋しさも感じた。

でも、また絵を描いてみようと思い、油絵用の絵具とカンヴァス、スケッチブック、4Bの鉛筆を用意して書き始めた。

モデルはもちろん瞳。

前みたいに裸婦像を描けないので残念だった。

瞳以外の人間を描く気にはなれなかった。

でも画家としてもう一度やり直すには名前と顔を出すのはもう不可能だった。

自分の絵を気に入ってくれてなおかつ、名前を売りたいと思っていて信頼できる

人間をネット上で探したがなかなか返信が来なかった。

自分はゴースト画家として生きていこうと決めた。

ジョージに連絡してみようかと思った。

彼なら信頼できるし、いいパートナーになってくれそうだった。

しばらく瞳だけを描いていたが、レンを描きたくなった。

地べたに寝ていて蓮の花びらがたくさん体の上に置かれている絵だ。

デッサンを描いてる最中に不意に涙がこぼれた。

生きていてほしいー。

そう願いながら瞳とレンの対決を阻止したい気分だった。

 

一方、西村 豹も2010年にLAから日本の京都に帰国していた。

一時期は東京にいたが、如月薫の個展や松本友也の個展をみて、

刺激を受けた。

いい詩が書けそうな気がした。

それに「DRAIN AWAY」の京也の詩集も読んでみたが、プロ顔負けの

文才と詩人という概念にとらわれない自由な表現に衝撃を受けた。

こいつは面白いと思い、個展を見に行ったら写真や絵もあり、友也の写真と薫やトシヤの絵とは違う魅力を感じた。

周囲にいる詩人と違って豹は京也に邪道だとかいう怒りや嫉妬はなかった。

豹は詩人デビュー後、毎年行っていた退屈な自作の「朗読会」をsukerinoという名前の仲間とやったあとに食事をして、次の日に生まれて初めて自分の出版される詩集の表紙の挿絵を自分で描いた。

中身は今までLAやNY、シンガポールで書き溜めていた詩にした。

発売記念のサイン会が終わった次の日、京都に里帰りした。

自分の原点に戻りたいー。

そんな気分だった。

今は1人でいたかった。

そんな彼が11年末に香港に出向いた理由は瞳が病み気味だというトシヤのメールが

届いたので見舞いがてら、観光に興味ないが、リンの店にも行こうと思ったからだ。

レンとマヤのことなど思い出したくなかった。

皮肉にも一緒にまたトシヤ達と仕事をすることになった。

トシヤ達の話を聞いてるうちにこの裏社会を詩に書いてみたいと思った。

 

「フェイ」にレンが来ないと知った瞳とトシヤは今度は「ジャッキー」という店にレンを暗殺しに行った。

アリサとも久しぶりに会ったが二人はとても食欲がわかなかったので飲茶だけ頼んだ。

台湾料理店にも中華料理コーナーがあった。

「レンはよくここに来るの?」と瞳が聞いた。

「来るけど、昨日と今日はみかけなかったわ。」

「そう」瞳がいい、トシヤはため息をついた。

トシヤはいつになく饒舌にアリサと会話をした。

「そういえば今はカタギなんだってね」

「まぁね。貴方達も色々と大変みたいね。」とアリサ。

「それほどじゃないよ」とトシヤは笑顔で言った。

飲茶を食べた後も瞳は無言でレンが来るのを待ったが来なかった。

今日はこの店が血祭りにならなくてよかったー。

トシヤは安心した。

瞳は相変わらずあまりしゃべらず、笑顔だけみせてたが、その表情はいつになく固かった。

「美味しかったよ」とトシヤは気さくにアリサに挨拶をし、瞳は「また来るね」と一言だけ言ってそれぞれ帰った。

アリサはウェイトレス仲間から色々噂を聞いていたがレンのおかしな言動をトシヤや

リンには伝えなかった。

レンは今までずっと隠れていた。

「あいつら、もう帰った?」とレン。

「ええ、帰ったしもう来ないと思うけどあんた達どうしたの、喧嘩でもした?」とアリサ。

「ま、そんなとこ。俺も理由は知らないけどね。」

「瞳は気まぐれだから貴方のどこが癪にさわったのかしら」

「さぁ(こっちが知りたい)」とレンはいい、サングラスをかけてあたりを伺いながら裏口から出て行った。

京子から気をつけろとはいわれてたが、なかなか理由を教えてくれなかった。

急に隠れろと言われて、アリサにいたことを言わないように頼んで影に隠れて様子を伺っていた。

たしかに何かがおかしかった。

俺を探してるみたいだったがー。

殺し屋の勘が働いて今は瞳達に会っても声をかけたくないと思った。