薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~彼女と過ごした冬6~

「でも貴方が私がいるのに他の女とホテルに入ったのをみたときはすごく悲しかったわ。彼女の体を借りたいくらいだった。でも、私にその能力はなかった。

どうして私のことを半年で忘れてしまえるの」と俺を責めるように言った。

俺はもう開き直り、「俺は未亡人ちゃうわ。もう俺のことは忘れて成仏してくれ。

恨んでるなら今すぐ連れてってもいい。」とつい勢いで怒鳴った。

あの夜はマヤに京子が憑依したんじゃないかと錯覚を覚えたがやはり彼女と反応が違った。間違いなくマヤと寝たのだ。

マヤも多少、動揺していた。「今夜はどうかしてる。きっとお酒のせいだわ。」とつぶやいていた。ホテルに着く前に今どんな仕事をしてるか聞いたが「それは極秘任務だから言えない。命に係わることだから。貴方には関係ないことよ」としか教えてくれなかった。

昨日のことを少し思い出した。

京子は、「そうよね。死んでまで貴方をいつまでも縛り付けておくことはできないわね。貴方を迎えにきたんじゃないけど、もう一度会いたかっただけ」とため息をついた。

長い沈黙が続いた。

京子は話題を変えて「今日は仕事ないの」と聞いてきた。

「指示待ち」とだけ答えた。

そういえば、今日は誰からも連絡がこない。

マヤからも。お互いに連絡先を交換した。

次の日も指示はこなかった。

俺は仕方なくアジトへ行った。

誰もいなかった。

どういうことだ!?

ボスに電話をしたが、なかなか出ない。

嫌な予感がした。

急いで近くのインターネットカフェに入り、組織名を検索した。

案の定、香港警察に人身売買のことで摘発されていた。

彼らは大陸に拉致されるかもしれない可能性が高かった。

たぶん、生きて帰れないだろう。

あの国はすぐに死刑にされてしまうのだから。

どういうわけか俺にそっくりな男が雇った殺し屋として逮捕されていた。

偽名を使ってたので同じ名前の男がたまたま捕まったらしい。

そいつは半グレで香港をブラついていたそうだが警察側は嘘をついてると断定していた。

「糞!」拳でマウスのそばの台を叩いた。

「でも捕まらなくてよかったじゃない」と京子は呑気に言ったが無視した。

とりあえず、カフェをでて、近くの店に入って紅茶を頼んだ。

もしかして、マヤが密告したのか。。。?

だとしたら、昨夜は嵌められたのか。

急いで彼女にも電話をした。

留守電だった。

瞳達は国境付近に行ったが、俺の姿を見つけられなかったので

「もしかして、捕まったのかな」とトシヤはつぶやいた。

瞳は無言だった。

俺はマヤのいるホテルに行って部屋番号にまだいるのか確かめに行った。

「何?」マヤはこれから出かける恰好をしていたが、無理やり部屋に戻した。

「どういうことだ?俺のいる組織が捕まった。おかげで今は無職だ。」

マヤは「それは残念ね。次の雇い主を探せばいいでしょ」

と他人事のようにいわれた。

それ以上の質問を彼女は拒んでいるように見えたので苛立った。

マヤはまだアメリカのスパイ組織にいて、アメリカと中国との良好関係を維持するためにも反共の記事を書く香港の雑誌記者やその他の反政治的なことをしている組織を

調べ上げて密告していた。

キャリアも上がるし実績も認められつつあるのでやりがいがあった。

最近密告して捕まったマフィアが蓮のいた組織だと今知り、内心動揺を覚えた。

「不幸中の幸いね。これに懲りてまっとうな道を歩んだら?」平静を装って答えた。

「お前の仕事がまっとうには思えないけどな」マヤを睨んで言った。

マヤは目を伏せ、

「協力しあえるような関係ならよかったのにね、私達」と言った。

俺はそれ以上何も言えなかった。