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薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~彼女と過ごした冬8~

俺は一か月怪我を完治させるまで入院せざるおえない破目になった。

この間、瞳に殺されかけたやるせなさと恐怖とトシヤの行方も気になったり、自分もLAにいた頃に彼らに銃を向けて店を破壊したことも思い出していた。

まだ、恨まれていたのだろうか?

でもあの時は仕方がなかった。

ロイは冷酷で里緒と薫の命人質にしたのだった。

仲間を裏切ってしまったのは瞳達の命を守りたかったから。

マヤと寝たのは、彼女がわざと俺が逃げないように誘惑してきたから騙されたふりを

して、彼女の心をロイから自分に振り向かせて逃げようと思ったから。

意外にもマヤはあっさりと自分の正体を明かし、新薬の設計図をロイから奪って自分の組織に渡すときに隙をみて逃げて好きにすればいいといってきた。

なんで急にそんなことをいうのか尋ねた。

「貴方の気持ちが今なら痛いほどわかるから」といい、豹の詩集をみせながら「貴方、言ったわよね。なんで好きでもない男の本をいつも持ち歩いて読んでるのかって。

ずっと考えてた。本当は愛してた。今でも忘れられないの。あんなひどい事して傷つけたのにね」と独り言のように言いながら目の奥が揺れていた。

その時からお互いに利害が一致し、機会を伺いながら付き合ってる風を装った。

ロイが設計図を手に入れたのと同時にこっそりマヤは夜中に設計図を盗み、手下にみつかり、銃を向けてるうちに俺は隙をみて逃げた。

俺があの時に豹が俺の組織の仲間になったことを言わなかったら多分、気を許したり、

そんなことまで白状しなかったかもしれない。

夕方、凛とアリサが帰ったあとにそんなことまで思い出してたら、マヤが花をもって

見舞いにきた。

「蓮の花にしようかと思ったけどなかったから」といいながら、花瓶に花を挿した。

マヤを睨みながら「おい、その花は葬式用だろ」と悪態をついた。

彼女は黒いコートを着ていた。

マヤに「そうね。香港にきてから何があったの?」と聞かれて俺はしばらく無口になった。

横にいる京子に目をやりながら話すべきかどうか迷った。

京子は「好きにすればいいわ」と無表情で答えた。

もちろんマヤにはみえないし聞こえない。

「いや、別に何も。お前こそ、あいつのことが好きだったはずなのになんで俺と」と

シンガポールでの日々も思い出しながら逆に聞いた。

「あの時は、記憶を失ったあんたがいたいけにみえちゃって。豹と再会した時はまた心が揺れたけど、彼にだけは人を殺すような真似はしてほしくなかったから止めたの。

この街で再会した貴方は、まるで瞳と同じ目をしてる」と俺を見据えて答えた。

俺は「お前、今日はいやに素直だな。それにあいつと一緒にするな。」

と、瞳を思い出しながらふざけるなという気持ちで一杯になりながら反論した。

「そうじゃなくて、初めて瞳と出会った頃のことよ。あの子の経歴を当時聞かされたから、だから失うものが何もないような怖い物知らずのような印象を受けた。今の貴方もそんな感じがする。」と言われたのでうろたえた。

「俺を見くびってるのか」と言い返すだけで精いっぱいだった。

「そういう男はとても魅力的」と悪戯っぽい笑みを浮かべながらいわれて頬が熱くなった。

「じゃぁ明日も早いからもう帰るわね。」とマヤは忙しそうに帰ってしまった。

京子は「なんだか謎めいた人ね。彼女は何者?」としばらく彼女をみていたが俺の方をみて聞いてきた。

「FBIの2重スパイ。今はバランスをとって仕事をしてる悪女」とだけ答えた。

「そんな女と関係もったのは誰よ」と京子は両手をあげて呆れたようにいった。

窓が開いていて風がこちらに向かって吹いた。

自分でもよくわからず答えにつまった。

次の日、なぜかロシアンマフィアのアンジェラ達が香港にきていて、俺の兄貴に連絡先を聞いたのか見舞いにきてくれて周りがにぎやかになった。

個室で安心した。

 

瞳は別の病院の白い1人用の病室にいて呆然自失といった表情をしてベッドから起きて座っていた。

トシヤと知らせを受けて飛んできた豹が瞳の様子を見守っていた。

事の成り行きを聞いて豹は「なんでそんなことしたんや。断ればよかったやろ。他に仕事はたくさんあるはずやで」と絶句していた。

「俺達はボスに可愛がられてたから期待に応えたかったんだよ。

こっちにきてしばらく面倒をみてもらったから。蓮は敵も多いしやってる仕事の内容も許せなかった。蓮もおかしいよ、なんであんな仕事してたんだろ」とトシヤなりの見解を示した。

 

「とにかく、また妙な気起こさないように見張っとくか」と豹は瞳を心配した。