薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~サイドストーリー7~奇跡~

カメラマンの松本友也はノンフィクションライターの松田友美を嫌っていた。

父親の松本友明の本を出したからだった。

取材にこられたが断った。

にも拘わらず父親の友人達の証言を元に不倫ネタまで書かれて内心不愉快だった。

仕事場の廊下ですれ違うたびに悪態をついたが、彼女は無視してほほ笑む程度でうまく交わされた。

しかし、最近友美の周辺であの造船事故の真相を暴く連載を始めたとたんに、

何者かに編集長が刺されたり、友美がそこの雑誌社を解雇されたのであきらめるだろうと思っていたが別の雑誌社が彼女の記事を高く評価していて連載を再会した。

智宏のことも取材されたこともあって、友美への怒りは消えて彼女の身が心配になってきた。

松田友美はあるドラマのヒロインに似ていた。

仕事の鬼みたいな女性。

美人ではないが、なんだか守ってあげたくなるタイプだった。

同じ雑誌で写真の撮影をしていただけに急接近していた。

もし友也が結婚していなかったら付き合っていたかもしれない。

そんな中、また事件がおきた。

2016年5月1日の深夜、たまたま二人で生存者の取材に行き、原稿と写真チェックをしていたときだ。

1人の美人のサングラスをかけたグラマーな女性がピストルをもって部屋に近づいてきた。

深夜になろうとしていた。

「その原稿をこちらに渡しなさい」と、友美に銃口を向けて言った。

友美は青くなりながらも「もし、いやだっていったら?」と尋ねたら

「仕方ないわね、無駄な血は流したくないんだけど」と銃を机に向けて撃った。

友也はとっさに友美の肩を抱き、左側に押しながら「逃げろ!」と叫んで原稿をとろうとしたら今度は友也に銃を向けられた。

友也は両手をあげて顔をひきつらせた。

女性はピストルの引き金を人差し指で引こうとした途端、一匹の蝶が彼女の目をかすめて横切ってまわりを飛んでいた。

「え?」と女性は目で蝶を追っているうちに今度は女性の背後に凛達がきて、女性と撃ち合いになった。

他にも数人原稿を奪いにきた男たちがいたが凛達と応戦した。

友也は松田に「今の内に逃げよう、あいつらに任せとこう」と言って友美の手をつないで、非常口から逃げた。

友美は原稿を手にして、友也に手をひかれて逃げた。

背後で聞きおぼえのある声がした。

「マヤ!なんでお前がここにいるんや!?」

蓮の声だった。

それまで凛達と銃撃戦をしていたマヤはすぐに逃げて姿を消してしまった。

蓮はあとを追いかけた。

男達は凛に撃たれて倒れていた。

しばらく部屋を舞っていた蝶は姿を消した。

後日、女性の行方はわからずじまいだった。

できるだけ遠くへ逃げて、繁華街のところで足を止めて二人は息を整えた。

「ここまでくれば大丈夫だろ」と友也は松田に話しかけた。

「そうね」と松田。

友也は松田を痛々しく感じた。

あいつら、いつも智宏が以前働いてた店の常連客だけど何者なんだー?

友也はまだ凛と蓮の正体を知らなかったがあとで会ったら礼を言おうと思った。

「今回は凛さん達に助けられたわね」と松田。

「ああ、そうだな」と友也は相槌を打ちながら腕時計をみた。

ちょうど、あの女性がきてからちょうど0時を過ぎていて午前一時になっていた。

その時、友也はもしかしたらクロムハーツというロックバンドの元ギタリストのRUIが自分と友美を助けにきてくれたのかとふと思った。

2日はRUIの命日だった。

そのことを友美に告げたら笑われた。

友也はむきになって「だって普通夜中に窓から入ってくるか、この時期に」と言い返した。

「そう思いたくなる気持ちもわからなくないけど、偶然よ。ここ数年は異常気象だもの。」と友美は夜空を見て言った。

友也は釈然としなかったがあれはきっとRUIだと思うことにした。

毎年、墓参りに行ってるが必ず自分の周りに蝶が舞っていた。

まるで歓迎するかのように。

今日はお礼をいいに行こう。

友也は心に誓った。

ありがとう、RUIさんー。