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薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

小説2~青い血の香り~

  1. 蒼井栞奈(あおいかんな)は検挙率ナンバー1の女性の刑事だ。

    犯人を血の匂いで感じ、その直感に従って状況証拠を揃えると必ず真犯人を捕まえることができた。

    実際に匂いを感じたことはない。

    観念的なものだ。

    彼女以外にそれを感じることはできない。

    周りの刑事達や上司や部下には呆れられるが必ず成果をあげることができたので誰も彼女の捜査の仕方に最初は抵抗するが、最終的に成果を上げるので、驚愕される。

    彼女の部下で最近この部署に配属された、山下警部は彼女を最初の事件で一緒に捜査をしていて敬愛されている。

    彼は世界的に有名なロックバンド「ROSE-X」の熱狂的なファンで特にドラムとピアノと作詞作曲担当しているMITSUKIをほぼオタクと言ってもいいくらいに応援している。学生時代は海外までライブの追っかけとバンドのコピーまでしていたくらいだから筋金入りだ。

    コスプレまでしていたほど。2年前の日本ツアーは全部行ったと豪語していた。栞奈にもしつこく布教してくるのでうんざりしていた。

    栞奈はもうひとつ、ある思想を大事にしていた。

    それは日本を愛する心だった。

    毎回逮捕した犯人の中には在日韓国人やがいて、いつも本名でなく通名でTVでニュースで事件のテロップに本名じゃなく通名で流されることにいつも抵抗を覚えていた。

    いつも上司とそのことで揉めることがあった。

    日本人はちゃんと本名で新聞やTVで報道されるのになぜ在日の犯罪者だけ日本名で報道されるのか、納得がいかなかった。

    もちろん、韓国や中国は全員敵だと思っていた。

    そして歴史認識も保守と呼ばれる層と同じだった。

    毎年8月15日には英霊の為に靖国神社に参拝していた。

    知覧の特攻隊記念館や、広島の大和ミュージアムにも行ったことがある。

    国の為に散っていったたくさんの先人達ー。

    栞奈はいつも彼らに思いを馳せていた。

    今の仕事は左派よりの刑事に嫌われる勇気をもって自分の思想をつらぬかなければいけないから仕事上、やりにくかった。

    台湾は親日なので好きな国のひとつだ。

    今の地位に上りつめるまでに死体処理だけの仕事も任せられたこともあった。

    その中で一番やるせなかったのが自殺者の遺体処理だ。

    逮捕したくても自分で自分を殺してしまったのだから解決できない。

    どんな死体も美しいと感じたことはなかった。

    死の匂いは好きじゃない。

    もう2度とあの仕事には戻りたくなかった。

    そんな彼女に新たな殺人事件が発生した。

    現場に駆け付けると、刺殺死体の横に「T参上」とダイイングメッセージが書かれていた。

    「なんでしょうね?これは」と山下が尋ねた。

    栞奈は「なんかのドラマの観すぎで模倣したんじゃないの、字が下手だからたぶん外国人の仕業に違いない」と唇の端を上にあげて言った。

    死体とは違う血の匂いがした。

    「すぐに血痕の血液を採って鑑識に回して」と無表情で栞奈は周りにいた警官に命令をした。

    1人の警官は死体と血文字をカメラに収めた。

    当然事故現場の周りには黄色いロープが張られていた。

    次の日、丸井のデパートの中を歩いていたら部下の山下が

    香水売り場の所で立ち止まった。

    「あ、ROSEのMITSUKIの新しい香水だ。僕初回限定で買ったんですよ~。自分の血を一滴入れようとしていたみたいですよ。」また一個買おうかな。」といいつつ、一本の香水を手に取り、腕につけて薫りを嗅いでいた。

    栞奈は山下を白い目で彼をみながら看板の女装みたいな化粧をした男の顔を見て思った。

    自分の血ねぇ、面白い発想をする男だわ。

    もっとも彼は犯罪をするような血の匂いを発することはないから

    興味をそそらない。

    困ったことに栞奈は恋に落ちるときも相手の男に血の匂いを感じてしまうのだった。この場合は澄んだ血の匂いだが。

    栞奈はジャズピアノが大好きで寝る前もジャズが流れているスナックやBARに寄って一杯ひっかけるのが好きだった。

    「早く行くわよ、彼女にもプレゼントしたら」と笑いながら山下を

    からかいながら警察署に戻った。

    山下は慌ててあとを追って走ってきた。

    署内では死体の男の写真が白いボードに貼られてあり、その隣に血文字の写真が並んでピンで止められていて、上司が説明していた。

    栞奈は腕組みをして近くのクラブや夜間に起きた事件の詳細を熱心に聞いた。

    ここから血の匂いに無事たどりつけるだろうかー。