薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

青い血の香り

翌日の午後、新大久保にガイシャの写真を持って栞奈達は向かった。

飲食店街をたくさんの人々が歩いていた。

いつもの風景。

「この女性をみかけませんでしたか?」

韓国料理店のウェイターやウェイトレス達に聞いた。

「いやぁ、たくさんの客が毎日くるから覚えてないねぇ。

よっぽどの有名人でない限りは」とそっけなく返答が返ってきた。

「そうですか。お手数かけました。」と栞奈は仕方なく返事をして軽く会釈して店をでた。

「それにしても冷麺は美味しかったですねぇ」と呑気に言ってる山下。

「そう?プライベートでは絶対にこない店だわ。」と栞奈。

外にでてから無表情で山下に言った。

ゲームセンターやティッシュ配りの人にまで聞いて歩き回った。

もうすぐ3月。

喫茶店に入り、珈琲を注文して一休みをした。

「やっぱりここはいつきても日本人離れした人達が多いわね。

どう?夜にまたポンシンタンでも食べる?」と悪戯っぽく山下に話しかけた。

山下は顔がひきつって「いやぁ、あれは癖がありすぎるしちょっと」と遠慮した。

肉の材料を聞いて耳を疑ったが日本語訳を知ってドン引きした。

唐辛子とニラをたくさん入れた韓国独特の肉鍋。

山下は無理やりビールで流しこんだ。

「あれは韓国の食文化だし、民族性がよくでてる。

否定はできない」と流石の栞奈も悔しそうだった。

あの時栞奈は別の料理を頼んで食べながら山下の反応を興味深そうに見ていた。

「ま、私もイルカやくじらを食べる地域で育ったから非難される痛みはよくわかるけどね。それでも食文化だけは大事にするわ。食べてこそ供養」と栞奈。

山下はうかつにも一度だけ試してみようかと思ってしまった。

彼はグルメだった。

「ところで食事代もみんな経費で払うんですか?」と山下。

「当たり前でしょ。」と当然のように珈琲を飲みながら答えた。

勘定を済ませて店を出るときに「この女性を見かけませんでしたか」と栞奈は警察手帳と田口英子の写真を見せて質問した。

「あ、夜にみかけましたよ。道の真ん中で」とレジの女性。

「え!?」と顔を見合わせた二人。

「なんかお水系の女性と殴り合いの喧嘩をしてたねぇ、2~3日前に。」

「そうですか。なんででしょうね」と山下。

「まぁこの辺ではよくみかけるからね。珍しく制服姿だったから覚えてますよ。

それがどうかしたんですか。」と店員。

「実は港区の埠頭で死体で発見されたんです。」と栞奈。

店員は青くなった。

「物騒な世の中ねぇ」といっただけでそれ以上は言わなかった。

栞奈はその喧嘩相手の特徴と服装を詳しく聞いてから店をでた。

「今日はあたりね。ガイシャの友人関係も調べたいからこの制服の高校にも行ってみるわ」と目が光った。

山下は「なんでこんな夜遅くにこの街にきてたんだろ?」

と不思議に思った。

栞奈は「塾帰りに遊びに寄ったんじゃないかしら、友達と。なんで喧嘩になったのかわからないけど」と顎に手を当ててしばらく考えた。

ここは新宿駅から近い。

喧嘩相手は歌舞伎町にいる可能性が高かった。

彼女の仕業じゃないのは確かだろう。

だとしたら女の常連客か男ー?

まだ、血の匂いは感じなかった。