薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

青い血の香り

翌日、栞奈達は田口英子が通っていた高校に出向き、教師や校長、クラスメイト達に

事情聴取をした。

校長や担任は事件が公になることを渋っていたが栞奈が熱心に聞きこみ調査をしたおかげで少しばかりの収穫を得た。

女子高だけど私服で登校する者もいる不良もいれば、今だにこの女子高は子ギャル風の

制服だったので山下にとっては目の保養になり、栞奈に睨まれた。

栞奈達は田口が半グレと呼ばれるグループとつるんでいたことを知り呆然とした。

クラスメイト達から聞いた。

とても外見からは想像がつかなかった。

いつも塾に行くふりをして渋谷センター街や池袋、新宿方面で遊びまくっていたそうだ。

真面目生徒からカツアゲまでされたとある女子生徒は怯えながら供述をしてくれた。

結構怖がられていた。

イジメはしていないみたいだ。

成績はいつもトップで優秀だったそう。

栞奈は今度はいつも遊び歩いていたグループの1人に事件当日のことと、喧嘩していたある女性について何か心あたりがないか聞いてみた。

「ああ、知ってる、英子はあの女性の付き合ってた彼氏と出来ちゃって元カノと修羅場になって喧嘩したけどもう自分の物だからって憤慨してたわ。

うちらもよく相談された。

ヤバイ系の男だったからやめとけっていったんだけど、あの子は惚れっぽいからね。」

それ以上は栞奈達を警戒したのかすべてを話してはくれなかった。

今は自粛してそこには行ってないようだった。

念の為に池袋に行ったかも栞奈は聞いてみた。

彼氏とカラオケBOXに行ったことはあるらしかった。

自慢されたらしい。

「なんだか、意外ですね」と山下。

「そうね。この年齢は思春期だし、窮屈で退屈な学校生活に息がつまりそうだったから逃げ出したかったんじゃないの。すべて日教組が悪いのよ」と栞奈。

「へ?」ときょとんと山下。

「まともな日本の近代史も教えてないし、自虐史観とか叩きこまれると非行化もありえるわ。元文科省大臣の言動に賛同する」と栞奈。

「蒼井さん、ネットに踊らされすぎじゃないですか。」と山下。

「これは私の主観よ」と反論しつつ、山下の前を歩いてタクシーに乗って今日も報告をしに署に戻った。

山下はスマートフォンでまたMITSUKIのバンドの曲を聴いていた。

タクシーを降りて、栞奈は署に報告書をデスクに座り、昨日と同じようにノートPCに報告書をまとめて書き、プリントアウトとUSBにコピーしてから上司に渡してから帰る時に玄関で山下と一緒になった。

山下はまたスマートフォンで五月蠅いメタルを聴いてるようだった。

「あんた、またなんとかっていうメタルを聴いてるの。少しは真面目に仕事しなさいよ」と注意せずにいられなかった。

「いや、さっきの事情聴取をしていて思ったんですけどやっぱりこれは名曲だなぁと思って。特にこの歌詞、聴いてみてくださいよ」と山下は片方のヘッドホンを栞奈に渡した。

栞奈は仕方なくヘッドホンをして聴いてみた。

サビの英詩が妙に心に響いた。

爆音で音は嫌いだったが。

「これがどうかしたの」と栞奈は山下が何をいいたいのか知りたくなった。

「この歌詞は何かに縛られてる奴らが聴いたら開放されるんじゃないかと思うんです。

例えば、好きでもないことを無理やり強いられて毎日自分を偽って生きてたら自由になりたいとか、例えばロボットみたいに命令されたことばかりに従って生きてた人達がこの曲を聴いたら覚醒して本来の自分に戻れるかもしれないって思うんです。さっきの女子高生達や教師達をみててなんとなくそう思った。」といつになく山下は熱く語った。

「そんな厨二病みたいなこと考えてたの?そんなんで少年犯罪が減るとでも?」と

一緒に渋谷署をでてある居酒屋で生ビールを呑みながら焼き鳥を食べながら話した。

「そこまでは考えてないですけどね。」と山下もビールを呑んだ。

「音楽で世の中が変わったら誰も苦労はしないわ」と栞奈は田口英子の顔を思い出しながら言った。

マンションに戻ってからその曲のサビのフレーズの歌詞だけ気になった。

(自由になる為に生まれてきた、か、、、それで人生が変わったら少しは犯罪も減るかしら。)酔った頭でぼんやり考えた。

栞奈の本棚には二人の生死を分けた映画化された特攻隊の原作本が置かれていた。

彼らにも未来があったはず。

今の日本の現状を知ったらどう思うだろう。

久しぶりにページをめくりながら、眠りについた。