薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~紫のナイフ8~

由美子の説明が終わったあと、楓に呼び出された。

別室に行くとたくさんの事件のファイルが各本棚におかれてあった。

楓は自分の机がある引き出しの中から「アドラー心理学」の本と「アンフェアじゃない」という映画のブルーレイ1枚を渡された。

「気になるんでしょ、西野さんの事が。」と腕を組みながら机に寄り掛かって見透かしたような目で言われて俺は赤面した。

「あの女は単なる仕事仲間やし、あんたに関係ないやろ」としどろもどろになりどもってしまった。

「それがあるのよね」といいながら二つのファイルを机に並べてあった中から取り出して俺に見せた。

それは京子の事件と俺の生い立ちが事細かに書かれてあり後頭部を殴られたような衝撃を受けた。

「彼女はあくまでも西野かんなという刑事よ。貴方の元恋人の京子さんじゃない。いかげんに目を覚ましてください。安藤さん」

俺は喉がからからに乾いていた。

「一体、あんたは何の目的でこの部署にきたんや?」と質問するのが精一杯だった。

「貴方の誘拐事件と迷宮入りの時効が過ぎた神戸の一家殺害事件をもう一度独自に捜査したくなったから。江戸川蘭子刑事も唯一解決できなかった事件よ。ここに来る前に香港に自腹で行って調査したの。あんたの親族は意外におしゃべりなのね」と初めて笑みを浮かべた。

俺は楓を睨みつけた。

赤の他人に古傷をえぐられた気分だ。

「なんでそんな過去の事件にこだわる?しかも時効だぜ。」

俺は最近、標準語と関西弁を使い分けているつもりだ。

いや、そういう問題じゃないか。

なんか常にみられてる気がした。

「彼女の無念を晴らしたいのと、貴方に人間として興味が湧いたから。」

と無表情でいってのけた。

「何、俺に気があるわけ?」とわざと顔を近づけた。

楓は「自意識過剰なのは生まれつきのようね。」と俺に背を向けて散らかった書類を整理した。

「じゃ、私は今与えられた任務をこなしてきます。貴方も気をつけて。敵は意外と近くにいるから」と言ってドアを閉めて出ていった。

俺は怒りのあまり拳で机を叩いた。

こんな本、誰が読むか。

心理学も役に立たない。

しかし、韓国や国内でもベストセラーになってる話題の本。

目を通しておいたほうが今のスカウトの仕事に役立つかもしれない。

俺と京子のファイルは楓が持って行ってしまったが本にしばらく目を通していたら、

スマートホンが鳴った。

トシヤからLINEがきた。

みたら、ホストの役をしているうちに二十歳すぎくらいの若い女の子に手をだしてしまい、焼きもちを妬かれて仕事に支障が出たらしい。

かんなとなんでもなかったことにほっとしたが、助けを求められてもどうしたらいいのか、それと高美のソロ曲がCMのタイアップになったことで彼女が喜んでいたとも書かれていたが今の俺にはどうでもいいことだった。

あいつの不倫もー。

俺は一目散にトシヤの住んでるマンションに走って行った。