薔薇色の人生 Ⅲ

はてなダイアリーで書ききれないことを書きます。スピリチュアルなど。よろしく。

灰色の街~紫のナイフ18~

東京に帰って事務所に行ったら、由美子が登山から帰ってきていた。

日焼けした肌。

露出度が高めだ。

珍しくディーンが顔を出した。

ディーンは谷崎純一郎の「痴人の愛」と山田詠美の「賢者の愛」を最近は愛読していた。

本を薦められたが愛だの恋だのにはもう疲れていたので断った。

「この奈緒美と直己が面白い。『痴人の愛』は主人公の譲治がミイラ取りがミイラになる。

つまり心を奈緒美に支配されるんだ。

一方『賢者の愛』はヒロインの真由子が心を奪われなかったが体が不自由になる。

どちらも相手を幼い時から好みの男女に調教するんだよ」とディーンは熱弁を奮った。

俺は興味ないので適当に相槌を打った。

動物愛に目覚めたのか、ディーンはハムスターを飼って雄雌2匹をかってそれぞれにナオミという名前をつけた。

双子だそうだ。

「俺は男女を調教することにしたのさ」と待ち受け画像をみせた。

「どっちもナオミじゃぁ区別つかへんやんか」と呆れた。

ディーンは「雄はナオ。雌はナオミ。わかりやすいだろ。」と言った。

俺は顎に手を当ててなるほど、と呟いた。

俺もペットを飼ってるのが恥ずかしかったのでわざとぶっきらぼうに「俺も、、、実は子猫を飼ったんだ。野良猫の母親に捨てられてて、リーマンが虐待しかけてたから頭に血が上ってガン飛ばしたら、怖がって逃げたw子猫は俺になついてきたからほっとけなくてな。名前は迷ったけど『サイファ』。雄だけどな」と早口で答えた。

サイファ、お前それ少女漫画のタイトルじゃないか。」とディーンは笑いを堪えて言った。

俺はディーンを睨んだ。

瞳もポメラニアン犬を飼っていて、皐(さつき)と花の名前をつけてたので吹いたけど他人を嗤えないと思った。

トシヤは兎を飼っていて、キャッツアイと名付けてた。

略してキャッツ。

なんでうさぎなのに猫なんだと聞きたかったが怖いのでやめた。

楓に何か飼ってるか聞いたら「爬虫類全般飼ったが今はみどり亀に落ち着いた」と無表情で言ったのでクロコダイルもあるのかと微笑ましい気持ちになった。

名前を聞いたら「姫」というから、吹き出してしまった。

俺はサイファを飼ってからマンションルームに帰るたびに緊張が解けて和んだ。

サイファは雌みたいな性格だった。

キャットフードをあげたり、またたびをあげたりすると喜々とした。

一時期はミルクすら飲めなくて心配したものだ。

今は腰をトントンすると異常に興奮するし、たまにけっぽんと床にゲロを吐くので参ったが憎めなかった。

爪とぎも買ってやり、ストレス発散させている。

子供を育てるよりよほどいい。

豹は熱帯魚を飼っていたので人は見かけによらないものだと妙に感心した。

「朝から何ペットの話で盛り上がってるねん」と凛がきたので「お前何か飼ってる?動物」と聞いたら「たまごっち」と返事が返ってきたので回りはしんと静まり返った。

「なんてな。セキセイインコかな、ラッシー。」と笑顔で凛は慌てて言いなおしたがみんな無視して現場に戻った。

「あ、響ちゃん、ウィンナー珈琲」と笑顔で頼んだ。

響はカップに珈琲を淹れて俺の前に置いて「私も猫が好きなんです。バニーという名前」と一言だけ笑わずに告げて廊下に出て行った。

髪をかき上げて「ありがとう」とお礼を言ったから照れているんだろうと思うと可愛いと思った。

今日からHONEY-Xのtourが始まった。

九州全県を回り、感動の公演でアンコールが鳴りやまなかった。

募金箱まで用意し、マネージャーのまりあが区役所にもっていった。

SMクラブの千里まで俺達のバスに乗り込んで瞳に抱き着いたのでトシヤは

「きついよ」とぼやいていた。

旅は始まったばかり。

俺達はライブを楽しんでる余裕などなくあたりを見回した。

凛から聞いた、白鳥透と友美が心配だった。

拳銃はむやみに出さないようにした。

スタンガンも持ち歩いた。

友美に変わった様子はないか尋ねた。

今の所彼氏も無事らしい。